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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第一章 最弱異端児は・・・
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第二十九話 刀身

「で?銘はどうするのじゃ?」

「お前が作ってくれたんだからお前が考えていいんじゃないか?」

 

 

 シュナが頭を抱えて考え始める。

 

 

「う~ん……じゃぁこれはどうじゃ?」

「なんだ?」

「エクストリームアイじゃ!」

「却下。」

 

 

 そんなダサい名前は絶対に嫌だ。

 というより恥ずかしい。

 

 

「なんでじゃ!わらわが考えていいと言ったじゃろう!」

「あくまで限度がある。せめて魔眼とかそういうのにしてくれ!」

「そんなのはシンプルすぎるのじゃ!」

 

 

 この後だいたい一時間ぐらい話し合った。

 そこで、シュナの予想を超えるネーミングセンスのなさに絶望しまくった。

 

 

「じゃぁ妥協してこれでどうだ?魔法の境の映し目。略して魔境眼。」

「ふむぅぅぅ。そこなら……」

 

 

 結果出た妥協案。

 魔境眼。

 意外とかっこいい。

 

 

「で、お主。作ったからには報酬はあるのじゃろうな。」

 

 

 全く考えていなかった。

 なにを出せばいいのか思いつかない。

 

 

「……出来るものならあげるけど……何が欲しい?」

「スライムグミじゃ!」

 

 

 思ったよりしょぼかった。

 とりあえず魔法袋からあるだけ出す。

 

 

「お主、どんだけ持っておるのじゃ……」

 

 

 魔法袋にあるのを全部出したら予想外に多かった。

 全部で50個越え。

 

 

「とりあえずこの箱に入れといたら?」

 

 

 近くの空の箱を取り寄せる。

 そこにスライムグミを入れたらちょうどいっぱいになった。

 

 

「これで当分おやつには困らんのう。」

 

 

 単純計算で50日は持つだろう。

 

 

「一日10個で5日は持つのう。」

「食べすぎだ!これでせめて一カ月は持たせてくれ!」

「しょうがないのう……」

 

 

 しぶしぶといった顔で言う。

 それでもこれは譲れない。

 

 

「で、お主鍛冶屋には行かなくてよいのじゃろうか。」

「確かにな。昼ごはん食べたら行くか。」

 

 

 ちょっと記憶から消えていた。

 とりあえず下に降りておばあちゃんに出かける事を伝える。

 

 

「わかったわ。遅くならないようにしなさいよ。」

 

 

 許可は取れた。

 あとは待つだけだ。

 

 

「昼ごはんはもうすぐ出来るから食卓で待ってなさい。」

「分かった。」

 

 

 食卓に座り足をぶらぶらさせながら待つ。

 

 

 今日の昼ごはんはターメン。

 一週間前に食べた事は言ってなかったからかぶってしまった。

 

 

「このターメン美味しいのう。先週食べたものより味わいが深くなってるぞい。」

 

 

 シュナもご満悦のようだ。

 相変わらずの速さだ。

 

 

「ごちそうさま。じゃぁ行ってくるね。」

「いってらっしゃい。」

 

 

 玄関から出て鍛冶屋に向かう。

 なかなか遠い場所にあるのでゆっくりと向かった。

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「失礼します。」

「おう、イツキか。待ってたぞ。」

 

 

 扉を押しあけてシュナと中に入る。

 

 

「刀は出来たんですか?」

「おう、完璧だ。まぁお茶でも飲んで落ちつきな。」

 

 

 ティーカップを置き、お茶を注いできた。

 前のは緑茶だったが、今回は紅茶のようだ。

 香りが心地よい。

 

 

「美味しいのう。MPも回復速度が上がっているようじゃ。」

「妻のお茶のコレクションの中の一級品だ。ばれたら怒られるかもな。」

 

 

 笑いながら言ってるが大丈夫だろうか。

 奥さんがとっても怖いのが知っている。

 

 

「で。これが完成品だ。」

 

 

 机の上に一振りの刀が鞘ごとゴトリと置かれる。

 少し謎の装飾がついている黒い柄がかっこよく見える。

 

 

「抜いてみろ。たぶん満足できると思うぜ。」

 

 

 言われるまま机から持ち上げる。

 手にズシリとくる感触が気持ちいい。

 ちょうど降りやすい重さになっている。

 

 

「せ~の!」

 

 

 掛け声とともに鞘から刀を一気に抜く。

 黒い刀身がスラリと姿を現し、そのまま横なぎに移動する。

 黒光りする刀身が光を吸いこむようで魅惑的な輝きになっている。

 

 

「これは……最高じゃないか!」

 

 

 強度もしっかりとしていて申し分ない。

 

 

「素振りしてみてもいいか?」

「あぁ全然いいぞ。あそこの空いてるスペースでやってくれ。」

 

 

 鞘に一度刀を収め、空いている空間に移動する。

 

 

「うりゃ!」

 

 

 勢いで抜き、そのまま横なぎ。

 手のひらを返し、左下からの切り上げ。

 そのまま上段からの縦に大切り。

 そのまま方向を変えて鞘に収める。

 

 

「完璧だ。重さもちょうどいい。」

「ふふふ。だがそれだけでないぞ!」

「お!なんだ?」

「柄を強く握ってこう唱えてくれ。『解除』」

「えっと……こうやって……『解除』」

 

 

 となえた瞬間足元にゴトリという音が発生する。

 下を向くと謎の四角の物体。

 

 

「これは?」

「いくつかの魔法が使いたいといったじゃろう。だから魔法の切り替えが出来るようにしたんだ。そのミラネウム金属に魔法陣を刻んで柄にセットすれば魔法が使えるというわけじゃ。」

「おぉすげぇ!」

 

 

 まさかの要望まで応えてくれた。

 本当に本気で作ってくれたようだ。

 

 

「完璧だ!ありがとう!」

「おう、これがプロの鍛冶屋というもんだ!」

 

 

 刀を魔法袋にしまう。

 

 

「もう少し話したいけどなぁお店開かんと。ここ一週間開いてないしな。」

「え!?まさか……」

「おう!その刀に文字通り全力を尽くしたというわけだ!」

「ありがとうございます!」

 

 

 土下座するぐらいの感情だが、さすがに人前では出来ない。

 

 

「じゃあ失礼します。」

「おう!大会がんばれよ!」

「はい!」

 

 

 こうして新たな武器を手に入れたのであった。

次回!犯罪者!

こうご期待!

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