第二十二話 学校
「……おはよう。」
「おはようなのじゃ。」
目を覚ますとすでに着替えを済ませたシュナがベットの上で体育座りをしていた。
着ているのは女子の制服。
「えっと……一ついいか?」
「なんじゃ?」
「なぜ女子の制服を着ているんだ?」
「なんでっておばあちゃんから借りたのじゃ。」
良く見たら型が古いものだ。
サイズが少し大きいのかだぶだぶ感が微妙に出ている。
「ってそこじゃねぇ!なんで着ているんだ?」
「なんでって学校に行く為じゃろうが。」
おばあちゃん……なぜ制服を渡したんだ……
「お前学校の生徒じゃないでしょ……というか昨日留守番頼んだだろう……」
「まぁいいじゃろうが。」
「よくねぇよ!?」
学校にシュナがきたらいろいろな意味で大問題になりそうだ。
「とにかく学校には来ちゃだめだぞ。留守番をしっかりしてれば帰りにお菓子買ってくるから。」
「分かったのじゃ……」
だいぶ声が沈んで残念そうにしているがこればっかりは譲れない。
「イツキ~シュナちゃ~ん。朝ごはん出来たよ~」
「今行くのじゃ!」
シュナが駆け足で下りていく。
食欲ってすげぇ。
「「「いただきます。」」」
今日は学校があるため軽く食べられる朝食になっていた。
卵かけご飯に味噌汁、卵焼きだ。
卵焼きの卵は魔鳥の卵を使っている。
ふんわりとしていて口の中でとろけていく。
半分ぐらい食べて卵かけご飯にうつる。
卵かけご飯に少しだけ醤油を垂らす。
それを一気にかけ込む。
簡単な料理なのにものすごい美味しく感じるのはおばあちゃんの女子力(熟女)のおかげだろうか。
味噌汁で口の中を調える。
赤みそがとても美味しい。
いつも通り卵焼きの半分はシュナの胃の中に溶けて行った。
「「「ごちそうさまでした。」」」
学校に行く準備は玄関に置いてある。
「じゃあ行ってくる。シュナは留守番兼研究して待っててね。」
「分かったのじゃ。」
少しだけ機嫌が直ったようだ。
おばちゃんの力、恐るべし。
「行ってきます。」
「行ってらっしゃいなのじゃ。」
伴侶(仮)に見送られる。
くすぐったい気持ちは何だろう。
「お主……顔が赤くなっておるぞ……」
顔を叩いて表情を直す。
ロリコンという名のレッテルは燃えるごみにポイだ。
「じゃぁこんどこそ行ってきます。」
「行ってらっしゃいなのじゃ。」
同じセリフを二度言われるともはや慣れた。
少々熱いが汗はまだ出てくるほどではない。
ゆっくりと足を踏み出していく。
今日の授業は座学ばっかりでつまらない。
やることはないから研究ノートをまとめようかと思う……がノートをシュナに渡していた。
とりあえず頭の中だけでもなにか考えようと決意した。
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「魔法道具の定義について……分かる人いるか?」
「「「はい。」」」
当たり前の事を聞かれてもつまらない。
ここは寝た振りに限る。
「じゃぁ……カケル。」
「はい。魔力を消費して特定の動作をする道具です。」
「残念、半分正解。体内の魔力を消費する道具だ。じゃあ道具自体で魔力を自給自足、または溜めた魔力を使うものの名称はなんだ?」
「魔法機械?」
「正解。ただし大型のものばっかだから使う場面は少ないけどね。」
暇だ。
いやな奴の声でイラッとする。
「失礼するのじゃ。」
突然、扉が開く。
クラスの視線がそこに集まっているようだがどうせだれかの親だろう。
ん?
聞き覚えのある声に口調。
ま……さ……か……
「イツキ!ちょっと良いじゃろうか。」
ウソだろ……
来るなと言ったのに……
「えっと……君ちょっといいかな?えっと誰だい?」
カケルが優しい声で語りかける。
優しい男アピールをしたいのだろうか。
それともシュナの見た目に度肝を抜かれたのか。
だが、事前に知られているシュナからしたら逆効果だろう。
汚いものを見る目を一瞬むけて答えた。
「わらわはイツキの生涯を誓った者じゃ!」
僕の平和(?)な学校生活はガラガラと音を立てて崩れ去ってしまった。
人が死ぬまであと……話
勝手にランキングで120位ぐらいをうろちょろしてるのをにやにやしながら見ています。
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