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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第一章 最弱異端児は・・・
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第二十一話 精算

「そういやシュナあんまりしゃべってなかったけど何かあったのか?」

「あの人の目……何か怖かったのじゃ……」

 

 

 なんだかデジャウを感じる。

 

 

「欲望が混じった……いや欲望しか残ってない気がするのじゃ……悪いものでもないのじゃろうが……」

「完全に一致……」

 

 

 僕でしたぁぁぁぁぁ!

 

 

「とにかく早く帰りたいのじゃ!早く早く!」

「なんとなく予想はつくから一応聞いておくけど夕飯のため?」

「もちろんじゃ!」

 

 

 先にかけだして行ってしまった。

 

 

「ちょ待て!置いてくな!」

 

 

 意外と足が速い。

 少しずつ放されてしまっている。

 このままだと……迷子になる……

 

 

「あ。」

 

 

 シュナがいきなりブレーキをかける。

 予想外の展開に足がもつれて転んでしまった。

 シュナの足元にヘッドスライディングを決めてしまう。

 

 

「残念じゃったのぉ。今日はロングスカートで見えないのじゃ。」

「いや見ようとしてないからね!転んだだけだから!」

「ちなみに今日は黒。」

「なにがだ!?」

 

 

 数秒たって言った事を理解出来た。

 頬が赤くなってしまう。

 

 

「もちろん冗談だ。」

「おい!?思春期の男子学生に何を言う!」

 

 

 恥ずかしすぎる。

 

 

 呼吸を調えて落ちつく。

 

 

「で、なんで急にとまったんだ?」

「これが食べたいのじゃ!」

 

 

 目の前にあるのは駄菓子屋さん。

 なんとなく予想はついてたが……

 

 

「お前夕飯前に食べて大丈夫なのか?」

「大丈夫だ。問題ない。」

「そのセリフ何度めだ……」

 

 

 もはやテンプレートと化した。

 

 

「まぁ少しだけならいいか。」

「やったのじゃ!じゃあこれとこれとこれとこれとこれとこれとこれと……」

「二個まで!食事前にこんなに食べちゃダメだろ!」

「意外とケチじゃのぉ。」

「違う!!」

 

 

 とりあえず二つ選んだようだ。

 

 

「おばさんこれください。」

「まいどぉ~二つで20カルね。」

 

 

 財布から小銭を取り出して渡す。

 

 

「またいらっしゃ~い。」

 

 

 買ったお菓子をシュナに渡す。

 買ったのは飴玉二つ。

 自分はあまりいらないので二つともシュナに渡す。

 

 

「いいのじゃろうか?」

「いいよ全然。僕自身飴玉はあまり食べないし。」

「そうじゃったのか。ではいただくのじゃ。」

 

 

 包み紙を開けて口にほおりこむ。

 二つ同時に(・・・・・)

 

 

「おまっ二つ同時に食べて大丈夫なのか!?味がおかしくなるぞ!?」

「大丈夫じゃ。イチコとミルクを選んだのじゃから意外といけるぞい。」

 

 

 意外と考えてたらしい。

 

 

「て、僕からもらう事前提じゃないか!?」

「お主の優しさに懸けてみたのじゃ。」

「人でギャンブルしないで!?」

 

 

 末恐ろしい子・・いや末恐ろしい子供(大人)だ。

 

 

「ただいま~」

「おかえり。ご飯まであと少しだから部屋で待ってて~」

 

 

 部屋に二人で向かう。

 

 

「さて今日の使ったお金を計算するか。」

「お主もしっかりしておるのぉ。」

「てこれぐらい普通じゃね?」

「めんどくさくないかのぉ。」

「いつもどうしてるんだよ。」

「その場で稼いだお金はその場で使うのじゃ!」

「だめじゃねぇか……」

 

 

 とにかく机に向かって使ったお金を計算する。

 

 

「えっと……行商人のところで使ったのは5000カルで……ご飯が800カル……鍛冶屋でお金は使ってなくて……だいぶ得した気が……」

「後から思えば意外といい人じゃったしのぉ。」

「だから最初からいい人といったじゃん……」

「けど途中で会った人はひどかったのぉ……もうあいつの事はクズ野郎と呼ばせてもらおうかのぅ。」

「意外と容赦がないな……」

 

 

 脱線してしまったようなので元の路線に戻す。

 

 

「えっと……他の雑費が4920カルって……ほとんどお前の食費じゃあねぇか。」

「ごちそうさまだったのじゃ。」

「ご粗末さまでした……って何か違わねぇか?」

 

 

 まぁいいか。

 本来の予算よりもだいぶ安く済んだし。

 ただし、失敗したらお金が一気に……

 

 

「明日から学校だけど、シュナは家で留守番だな……」

「つまんないのう……」

「ならちょっと研究の手伝いをしていてくれないか?このままだと時間が足りなさそうだし。」

「分かったのじゃ。何をしてほしいのじゃ?」

 

 

 頭の中で考える。

 

 

「えっと……冒険者選定大会までに何とかしなければいけない問題をノートの裏にメモがしてあるからそれをしてもらってもいい?」

「分かったのじゃ。あと道具の使い方とかも教えてもらっていいかのぉ。」

「分かった。後で道具のマニュアルだけ置いておくね。」

「あと今日買った本とかも読んでもよいじゃろうか。」

「お前が欲しいって言ったから買ったんだろ。別に自由に読んでいいよ。」

 

 

 買った本と機械を魔法袋から出す。

 機械は思ったより重かった。

 

 

「イツキ~シュナちゃ~んご飯出来たよぉ。」

「「今行くよ(のじゃ)」」

 

 

 階段を少し速足で駆け降りる。

 

 

「「「いただきます。」」」

 

 

 空腹の時にこの匂いは反則だ。

 今日はバードの丸焼きにオーク肉のサラダなどだ。

 香辛料が程よく効いていて、肉汁もしっかりと中に入っていてとろけるようだった。

 いつも通り最後の方にはシュナに半分くらいあげることになったのだが。

 

 

「で?冒険者選定大会の準備はできているのかい?」

「物は集まったけどまだ決め手が足りないんだよ……」

「そうかい……困ったら手伝うからねぇ。」

「いや、いいよ別に。じゃあ部屋に戻っているね。」

 

 

 階段を上り部屋に戻る。

 

 

「今日も美味しかったのぉ。」

「毎日あんな感じだしね。今日もちょっと遅いし寝る?」

「そうじゃのう。」

 

 

 就寝の準備をチャっチャと済ませる。

 

 

「おやすみ。」

「おやすみなのじゃ……ってお主は寝ないのじゃろうか?」

「ちょっとこの本だけ読み切りたくて。」

 

 

 今日買った本だ。

 内容は体に魔法道具を埋めこんだ人々の観察日記みたいなようなものだった。

 

 

「これは……無属性魔法の魔法陣!?」

 

 

 意外な収穫。

 失った腕に魔法道具を埋め込んだ人が腕の取り外しができるようにしたもののようだ。

 重力魔法。

 無属性の中では比較的有名なものだが所持者は意外と少ない。

 

 

「けど……使えそうにないな……」

 

 

 無属性魔法の魔法道具は適性の無い人が操作するととてつもない魔力を消費する。

 普通の人は重力魔法道具を使って0.5秒持てばいい方だろう。

 

 

「まぁ一応メモしておくか。」

 

 

 ノートに収穫だけメモしておく。

 半分ぐらい読んだだろうか。

 そろそろ眠気が強くなってきた。

 

 

「視覚の確保が問題だな……」

 

 

 片目しかない僕は視界の立体感が失われている。

 遠近感が欠けているのだ。

 攻撃を避けるのは攻撃の点、または線に体を置かなければいいだけだ。

 だが、刀で攻撃を防ぐには点に線を持ってこなければいけない。

 核が見えないだけでなく近くまで来てるのか遠くなのか分からなければ意味がない。

 

 

「これも課題の一つかな……」

 

 

 もう体の限界だ。

 本をベットの横の机に置いて倒れ込む。

 横でシュナが寝息を立てているがもう慣れた。

 若い衝動は簡単に抑えられる……はず。

 

 

「おやすみ。」

 

 

 一人呟いて眠りに落ちた。

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