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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第三章中編 偽救世主は……
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第十九話 準備

なんとか今かける分をもう一話

「こいつは殺すべきだ!そうだろう!」

「いや、生かして情報とかを奪うべきだ!」

「いいや!この人がそんな悪いことをする人に見えるの!?こっちの味方になって戦ってくれるならば、これ以上心強いことはないでしょ!」



あちらこちらから多くの意見が飛び交う。

傍から見たら険悪な雰囲気だと即座に感じられるだろう。

だが、この話の標的が僕自身とあっては、それどころではない。

今は、僕の命運がこの話し合いにかかっているのだ。

そこまで楽観的にいられるような状況ではないだろう。



「一応言っておくけど、僕は情報を流したりなんてしていないから。別にそんなことをやっても意味がないし」

「信用出来るわけないだろ!これまで俺らをずっと虐げてきた人間だぞ!どうせ嘘八百だっ!」



状況の改善はこの状態だと難しいかな……



今、僕たちはひとつの大きな建物を貸し切って大会議を行っていた。

まず、タイムリミットまでにできる事。

そして、僕たちの処遇。



「一旦黙れっ!」



森の中で僕たちを案内してくれていたおじさんが声を張り上げる。



「ひとつ、明確にしておく。あいつらは、俺らの味方だ。そして、この状況を改善できる唯一の手段とも言えるだろう。」

「こんな奴に頼りたくなんてねぇよ!なんなら、俺らがなんとか……」

「てめぇが何とか出来んのかっ!生ぬるい日常に浸された、牙の抜かれた獣がっ!!」



パンと乾いた音と共に、おじさんが振り下ろした拳が机を真っ二つに割っていた。



「お前らなら、あの結界を破壊できるというのか!お前らが……あの人間を追い返せるのかっ!」



これまでの、穏やかな表情が一変し、修羅のような表情になる。

……これが本性なのだろうか、それとも本気の怒りなのか。



「なら、あいつらに頼れって言うのかよっ!」

「そうだそうだ!こんなガキに何ができンだよ!」



「……こいつらはお前らの何倍も強いぞ」



静かに……おじさんはそう言った。



空気が静まり返る。

このおじさん……僕たちの戦いを見ていたのだろうか。



「ぶしつけな頼み……聞いてくれるか?」

「えっと……はい」

「頼む……俺らを救ってくれっ!」



おじさんは地面に頭をこすりつけた。



「ちょ、おじさん!」

「外からきた客人とはいえ、こう言う事を頼むのはお門違いだと分かってる。でも……たのむ……俺らを救ってくれっ!」



どうすればいいのだろう。

シュナと思わず顔を見合わせる。



「まぁ、いいじゃないのじゃろうか」



シュナは気易くそう言った。



「タイムリミットはあと、18時間じゃ。やるなら……今すぐ取り掛かりたいのじゃが。」

「あぁ、分かった。何か頼みがあったらすぐに言ってくれ。」



あっさりと僕たちは解放される。

そして、一気に今の家まで駆けだした。



「シュナ!計画はある?」

「結界崩しを小規模の物でいいから今から作るのじゃ!お主には一つ円盤以外で移動手段を作ってほしいのじゃ!空を跳ぶ機能のなく、勢いのある馬車の様なものじゃっ!」

「了解!」



頭の中で設計図を組み立てながら、走る。

時間は短い。

素材は出し惜しみせずに……全力で作る!

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