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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第三章中編 偽救世主は……
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第十八話 撤退

僕らは、城の前まで少し時間をかけながらも到達した。

ある程度、落ちついて、避難が進んでいると思ったけど……



「おい!ここの扉を開けろ!」

「出して!出してよ!」

「ふざけんなっ!早く開けろ!」



飛び交う怒号に対する答えはなく、扉はビクリともうごかない。

何をやっているんだ……

時間は一日。

そこまでゆったりとしている時間なんてもう無いはずなのに……



「……これは……王が怯えたのじゃろうか……立てこもって、自分たちの身だけでも守ろうという意図じゃろうな……」

「うん……魔境眼を通してみると、高い塀の上にもなんやら魔力が働いているみたいだね……」



そう言っているそばに、背中に羽をはやしている獣人が塀を乗り越えてまっすぐと中に入ろうとした。

だが、空中で小さなスパークが発生し、獣人は少し離れたところに弾き飛ばされた。



「あの作用は……結界じゃろうか……」

「比較的流通している無属性魔法の一つだね……けっこう高価だし、常時魔力を流し込まないといけないし、強度もそこまでというわけではないから……」

「お主はあれを破壊する事はできるのじゃろうか」

「たぶん無理かな……結界石とはまた別種のものみたいだし、まず結界石は遺産だから別物と考えた方がいいかな……」



結界石は一応あるにはある。

でも、設置が面倒ということと、効果時間が圧倒的に短い事を考えるとあんまり使う意味はないだろう。



「シュナの魔法だと無理?」

「分からないのじゃが……少しやってみるのじゃ……」



そういって、シュナは空中に青い魔法陣を描き始める。

そこまで難しい物ではないが、規模が対人用とは思えない物だった。



「い……くのじゃっ!」



魔法陣が作動し、人の大きさほどの氷の杭が空中に出現。

直後、急激に加速し、放物線を描きながら結界に突き刺さった。

ビリビリとした衝撃波が、風となって僕らの体にたたきつけられる。

だが、風が起きたのも一瞬で、氷の杭は結界に食い込んだ。



「開いたか!」

「いや……あれはだめじゃ」



その言葉を受けて、魔境眼を凝らして氷の杭を今一度見た。

すると、食い込んだように見えた氷の杭は魔力の霧になって周りに魔力を散らしていた。



「無力化されているのか……」

「相当強力な物のようじゃのう……あの攻撃だろうとも結界は歪みさえしなかったのじゃ」



氷の杭は完全に消滅し、霧は見えなくなって消えた。



「どうするべきなのじゃろうか……」



ただ、途方に暮れるしかなかった。

少しだけ更新です。

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