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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第一章 最弱異端児は・・・
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第二十話 鍛冶

「ここが鍛冶屋だ。」

「大きいのぉ。」

 

 

 とっても大きい鍛冶屋が目の前にそびえ立っている。

 鍛冶をするスペースがとても大きいからか、迫力のある構造だ。

 

 

「そんな剣作れるか!とっとと出てけ!!」

「二度と来るか!こんな店!」

 

 

 やっぱり、あいかわらずのようだ。

 たぶん、またトラブルでも起こしたのであろう。

 

 

「……この鍛冶屋だいじょうぶじゃろうか……」

「ここのおじさんいい人なんだけどね……少し偏屈なんだよね……」

 

 

 シュナが少し怯えてしまってる。

 頭を少しなでて落ちつかせる。

 髪の毛がさらさらで手触りがいい。

 何分でもワシャワシャできそうだ。

 

 

「お主……いつまで髪の毛を触ってるのじゃ……」

 

 

 ついつい触りすぎてしまったようだ。

 手を離すとシュナは髪の毛を直している。

 

 

「髪の毛が絡まってしまったのじゃ……」

 

 

 しょうがないので手伝ってやる。

 手をくしにしてすいてやると気持ちよさそうな顔をしている。

 毛並みを整えられている猫みたいだ。

 ……可愛い……

 いや、ロリコンじゃないないないない……

 

 

「なに葛藤しているんじゃ?」

 

 

 シュナは思考を読めるようになったのか……

 これは気をつけないといけないかも……

 

 

「まぁいい。行くぞ。」

 

 

 鍛冶屋の木の扉を押しあける。

 

 

「おう。だれだ?ってイツキか。久しぶりだな。」

「お久しぶりです。カキタさん。」

 

 

 久しぶりの再会である。

 

 

「さっき出て行った人いましたけど何かしたんですか?」

「おぉ聞いてくれよ!さっきの客が剣に……」

 

 

 聞いたところ、剣に魔力の伝導性能を限界まで付加して魔法を発動する媒体にできるようにしてほしいといわれたそうだ。

 つまり、剣を杖代わりに出来るようにしたいというわけだ。

 魔法道具の元にするぐらいならまだしも魔法に完全に頼るものにするのは我慢ならないらしい。

 たしかに魔法が発達してから剣の需要が極端に少なくなったのは事実だ。

 その中でまだ生き残ってるのはそうとうな実力者だからだろう。

 

 

「まぁ。相変わらずですね。」

「全くひどいもんだ。」

 

 

 共感は出来ないが一応頷いておく。

 機嫌を損ねると後が面倒だ。

 

 

「で?今日は何の用だ。刀のメンテナンスか?」

「えっと、冒険者選定大会に使いたい刀の製造を頼みたいんです。」

 

 

 金属を手に入れたのはこのためだ。

 

 

「えっとじゃあサイズは?」

「いつもと同じ大きさの1メートルより少し長めの刀身でお願いします。」

 

 

 言った事をメモしている。

 さすがの速さだ。

 

 

「えっと材料は?」

「えっと僕から出してもいいですか?」

「全然構わないよ。」

「じゃあこの金属でできますか?」

 

 

 行商人から買ったミラネウム金属を魔法袋から出して見せる。

 

 

「おぉこの金属か。」

「少々癖が強いけれど出来ますか?」

「普通の剣なら無理だけど刀だから逆にきれいに反って頑丈になるだろうな。」

 

 

 ここからが勝負だ。

 失敗すると作ってもらえない可能性がある。

 

 

「なにか特別にやってほしいことあるか?」

 

 

 必ず聞いてくるこの事。

 相手の顔色をうかがう。

 ストレスが少し抜けてすっきりしているようだ。

 さっきの人を追い出した時にストレスが発散できたようだ。

 これならいけるだろう。

 

 

「少し機能を付けてほしいんだ。」

「ほうどんなのだ?」

 

 

 深呼吸を一回挟み、切り出す。

 

 

「魔法道具の元に使えるようにしてもらえませんか?」

 

 

 カキタさんの額にしわが寄る。

 やはりきつかっただろうか。

 

 

「一応聞く。どんな魔法を刻むんだ?」

「風魔法の応用の加速や火の魔法をまとわせたりなど刀そのものの力を伸ばすような術式です。」

 

 

 額にさらにしわを寄せて考え出している。

 緊張の時間が流れる。

 何秒たっただろうか。

 

 

「ふっ、いいだろう。お前の場合しょうがないしな。面白そうだし。」

 

 

 なんとか難所を突破できた様だ。

 

 

「確かにこの金属は魔力の伝導性能が高いから便利だろうしな。」

「ありがとうございます!」

 

 

 成立だ。

 

 

「形状は?」

「刀身がそのままで柄の部分に魔法陣を刻むスペースと魔石を埋め込む場所が欲しいのです。」

 

 

 正直に答える。

 

 

「魔法陣はどれぐらいの大きさだ?」

「だいたい普通の刀身に入りきると思います……だが、複数の魔法陣を刻むのは……無理でしょうね。」

「分かった。出来る限りやってみようじゃないか。」

 

 

 無事に出来た。

 

 

「歩き回って疲れたようだな。お茶でも飲むか?そちらのお嬢さんも。」

「ありがとうなのじゃ。」

 

 

 近くにある魔法ポットからお茶を淹れてもらう。

 

 

「いただきます。」

 

 

 出されたお茶に口をつける。

 ちょうどいい温度になっていて飲みやすい。

 火照った体に少し暖かいお茶が染みわたる。

 

 

「これは……美味じゃのう。」

「分かるか。魔力の回復を増幅させる効果のある特別な植物から作った茶葉だ。体に染みわたるんだよこれが。」

 

 

 シュナがステータスプレートを確認している。

 

 

「本当じゃ。倍の速度で魔力が回復しておる。」

 

 

 さすが奥さんがお茶好きな事はある。

 おばあちゃんと組んだら敵はない……だろう。

 

 

「では、お値段どうしましょうか。」

 

 

 できれば所持金で済ませたい。

 高すぎない事を願おう。

 

 

「う~ん本来ならだいぶ高くなるけどな……」

「そうですか……」

 

 

 家に一回帰って親から借りないといけないかもしれない。

 だいぶ悩んでいるようだ。

 

 

「そうだ!少し早めの冒険者選定大会優勝祝いとしておこうじゃないか!」

「つまり?」

「優勝したらタダ!だめだったら後で支払いでどうだ?」

 

 

 ギャンブルみたいになってきた。

 

 

「……がんばります。」

 

 

 今はこう言うしかないだろう。

 

 

「よし、じゃあ今日から作り始めるからだいたい……一週間後に取りに来てくれ。」

「あれ?いつもより時間がかかりますね……」

「ちょっと面白いこと思いついたからな。」

 

 

 顔がニヤついている。

 この顔は確かろくでもない事を考えてる顔だ。

 

 

「変にいじりすぎて壊したりしないで下さいよ……」

「安心しろ。その可能性は半分しかない!」

「安心できません!」

 

 

 心臓に悪い冗談だ。

 

 

「じゃあそろそろ失礼します。」

「おう気をつけて帰れよ。」

 

 

 出入口まで見送ってくれた。

 僕たちが出て行ったと同時に扉に看板をかけて行った。

 ”臨時休業”

 どうやら本気で作ってくれるようだ。

鍛冶屋さんめっさいいたぶん

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