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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第三章中編 偽救世主は……
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第十五話 落下

「あー……しまった」



段々と等加速度で落ちていく円盤に乗りながら、思わず呟く。

シュナが気絶したという事は、魔力の供給が切れたと同意義。

魔力の供給が切れた円盤は浮遊の効果を停止し……落下。



というわけで現在落下中。



「やばっ!」



慌てて、イスの下に手を伸ばし緊急用のスイッチを入れる。

スイッチに直結している回路がつながり、ひとつ常に入っている魔法石の魔力を一気に消費する。

それの代償に、円盤の下部分から膨大な風魔法が起動し、突風が巻き起こる。

下で風が渦を巻きながら、円盤の落下を旨く和らげ、落下速度を急激に押さえていく。

だが、それと同時に円盤にも突風の回転がかかり、少しずつ回り始める。

円盤の回転は落下の勢いと反比例するように強まり、目が回るような速さになったところで、円盤が地面に落ち、体がたたきつけられた。



「いたた……やっぱり荒削りすぎたか……」



風魔法の『風渦』をうまく使ったつもりだったけど、円盤が回転するという事を考慮していなかったせいで、少し大変だった。これは、また後で改良すべき点の一つだろう。



「シュナ……大丈夫?」

「むきゅう……」



シュナはやわらかい地面に完全に伸びていた。

円盤から落ちた様子は無かったけれど、たぶん落下の時に横に軽く傾いたから地面にころがり落ちたんだろう。

外傷も特にないし、たいした怪我もないかな……



「……大丈夫ですか!?」



落下に気がついたような何人かの獣人は、慌ててこっちに駆け寄ってくる。

目が回ってくらくらしているのと、目の焦点が合いにくくなっていたのが理由で顔は良く見えないが、頭の上に乗っている獣耳から敵ではない事だけは察する事ができた。



「なん……とか大丈夫……怪我はないから安心してください」



くらくらとするのを押さえながら、体を動かし立とうとする。

やっぱり……気持ち悪い。胃の中の物を出しそうになるのを抑えて、その代わりに立つのを諦めて体を横に倒す。



「おえっ……」

「大丈夫じゃなさそうですね……」



すこし検討はずれと言いたげな表情だったが、けっこう僕はやばい状況……

頭が……痛い……



「とりあえず……説明してもらってもいいですか?」



助けに来てくれた一人の獣人が穏やかな声ながらも、何かを問い詰めるように質問してくる。



「返答によっては……あなたを今すぐ殺します」



その目は……静かに燃え盛っていた。

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