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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第三章中編 偽救世主は……
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第十一話 逃走

「っ!?」



声にならない驚きが体を突き抜ける。

何か爆発音のような……耳をつんざく音がひびいてきた。

方向は……僕が入って来た入り口方面。



「まさかっ!」



死の気配で寒気がしている中に、かるい熱がこもる。

流れ込んできた爆風が扉を開けた瞬間顔に辺り、生ぬるさを感じるようになる。



それと同時にどたどたという大きな足音が響き、ガチャリガチャリという音が響き始める。



「残りを……一網打尽にしようって寸法かっ!」



だが、見たところこっちに来る気配はない。

分担して調べるところを変えたという感じの、バラバラな足音はなく、全員で同じところを目指しているような足音だ。



まさか……あの少女が目的という事だろうか。



「ちっ!」



慌てて飛びだそうとして壁に手を突く。だが……その冷たさに我に返った。



僕が今出て行って……何ができる?

あの少女が善なのか?

それなら話は早い。少女を助けに行けばいいだけだ。

けど、あの追手は悪なのか?

国を乱す者をとらえる為に来たなら……それもまた善だろう。



「どうすれば……」



考える間にも足音は近付き、自分のいる通路に向かっているのが分かる。



その音に焦らされ、僕は……逃げの一手を選んだ。

Uターンをして、さっきまでいた部屋に慌てて入り、扉を閉める。



何も干渉しない。

最悪とも最善とも取れる一手。

でも……この判断しかできなかった。



扉の向こうから響く足音から必死に耳を背け、罪悪感に押しつぶされないように心を抑える。

また、助けたいと思う心を、無理やりに少女を悪と思い込む事で抑え込む。



自分では手を下さない。

責任逃れの一手を無理やり続け、足音が全部過ぎ去るのを待つ。



「……止んだかな」



ゆっくりと扉を押しあけて、通路を確認する。

何も……ない。



無我夢中で地面を蹴り……少女の悲鳴を耳にしながらもただ逃げの一手を選び続けた。


更新再開いたします。

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