第十話 捜索
机の上にある紙類を探る。
だが、本来の目当ての物は全く見当たらない。
いや、目当てというものもないけど……ピンとくるものがないのだ。
あの人達の目的や……最終地点。
国を倒すという事は前の潜入の時に分かっている。
でも……それは何のために?
国を倒して……新たな王様になるため?
それとも……他の理由?
「ん……?」
手元にコツンと硬い物の感触が伝わる。
見てみると……使い方も何もかもが謎の……言うならばリモコンの様な物。
ところどころ手作りの様な感じがするが……不穏な感じが漂っている。
何に――繋がっているのかな。
厳重に安全装置の様な物が繋がれているようにも感じる。
魔法を使って何かを操作するというのはなんとなくわかったが、これを勝手に触ったらどうなるのかな。
爆弾とかに……繋がっているのかな。
頭によぎった嫌な予感に従い、変に刺激しないように横に逸らす。
下には、いつもとおなじような資料があるが、なんか見る気がしない。
「はぁ……」
手元にもった資料を放り投げる。
たいした手掛かりが……見つからない。
「この部屋ははずれってところかな……」
扉から出て、次の部屋に向かう。
床の冷たさが靴を通して足に伝わり、体が軽く震える。
「ここは……研究室か?」
見たところ、いくつかの機械が置かれている。
どうやら……見覚えがある。
コツリコツリと調べていくにつれ、何かが大体分かって来た。
「これって……僕がもっている物と似ている……少しずつ違う場所もあるけど……魔法道具とか武器とか作る装置だ……」
少しの間使われていないからか、うっすらと埃がつもっている。
「しかも……魔力を注ぎ込む代わりに、魔法源となる植物を入れる口までついている……魔力の扱いに慣れていない獣人でも使えるようになっているのかな……」
他にも、ごちゃごちゃとしているがいくつかの機械があるのは見える。
大まかに把握したところでは……武器の残骸の様な物も地面のあちこちに転がっていて、気を抜くと足を少し切ってしまいそうだ。
「使い方とかは、僕が持っている物とは違うと思うけど……」
なぜか、使おうとは思えなかった。
自分でもなぜだかはわからない。
下手に触れたらどうなるかという恐怖心があったかもしれない。
いや、もっと別の物かも……
「はぁ……」
ため息一つ。
足をクルリと回転させ、元来た扉の方へと戻ろうとする。
直後……バンと硬い音が響いた。
長らくお待たせしました。
受験が終わるのが来週となっていますので、あと少しお待ち下さい。
いまだに読んで下さる人がいて有りがたい限りです。




