第八話 決断
不定期更新です。
「シュナ……食べるか?」
家。
一時的とはいえ、安心できる家に僕らはいる。
「少し……食欲はないのじゃ」
「そっか……無理もないよね」
あれはさすがに、精神的にきつかった。
僕らが、身を守る為にやったとは言え……間接的に僕らが殺したという事に変わらない。
今も心が締め付けられる。
……カグヤって子の……知り合いがいたのかな……
少しだけとはいえ、知っている人の悲しんでいる姿は……心に刺さる。原因が自分にもあるという事実が……さらに心をすりつぶしていく。
ガチャン。
「お主……大丈夫じゃろうか」
「うん……大丈夫」
手から落として割ってしまったコップの破片を手で拾っていく。
手に冷たいガラスの感触が伝わり、それと同時にある熱い感覚が手を襲った。
「あ……」
指に一筋の赤い線が刻まれ、血がぽたりと床に垂れる。
コップの破片で切ったのかな……
「お主、ちょっと手を貸してほしいのじゃ」
「う、うん。いいけど」
シュナに手を差し出す。
体から手を放してみると、軽く震えているのが分かった。
……やっぱり、精神に影響が出ているのかな……
「今日は……早めに寝るか」
「そうじゃな……」
温めた魔物の乳をコップに注いで、寝室に持っていく。
震えている手を抑えながらゆっくりと階段を上り、ベットの横にある机にコップをコトリと置く。
「あんな事になるとは……思ってなかったのじゃ」
「さすがに……即座に死刑とかは……想像していなかったな」
ベットに二人で浅く腰かけて、温めた乳をのみ込む。
ほのかな甘さと、温かみが喉を通り、体をあたためていく。
手の震えも少し収まり、心の落ち着きも戻ってくる。
「なんなのじゃろうな……この複雑な気持ちは」
「この悩みは……永遠に解決しないと思う……」
人の命。
これは、いろいろな見方がある。
自分以外の命はゴミと思う者。
自分以外の命を守る為に自分の命を投げ捨てる者。
命が何よりも大事だという人。
命は金で買えるという人。
どれが正解かは分からない。
間接的に命を奪った事は……どう償えばいいのだろうか。
いや、これは間接的と言えるのだろうか。大本は……僕たちが悪いのじゃないか。
それとも……僕らは悪くないのだろうか。
僕ら二人の命が助かった代わりに……襲撃者の大勢の命が失われた。
犯罪者には……命を持たせる価値はないと言っている人がいた。
でも……だれにも赤い血が流れ……心臓が動いて……生きている。
その命に……何の差があるのだろうか。
命の天秤は僕らに傾いた。
それは……僕ら二人の命の方が重いという事だろうか。
その違いは……どこから生まれたのだろうか。
答えの無い問が頭の中で次々と生まれていく。
「この悩みは……永遠に解決しないと思う……」
もう一度同じ言葉が喉から洩れる。
「そう……じゃな」
シュナがコップを置き、ベットにばたりと倒れ込む。
……よっぽど疲労していたのか、寝息は即座に聞えてきた。
起こさないように……慎重にベットから立ち上がり、武器を持つ。
……知る責任が僕にはある。
諸事情により、しばらく更新が停止してしまいます。
理由には受験が近いということもありますが、パソコンが故障してしまっているということも上げられます。
何か手段が見つかった場合、不定期に更新するかもしれませんがあまり期待しないでください。
受験が終わるか、パソコンが治り次第、プロットは考えてあるので、高速更新をするので気長にお待ちいただけると幸いです。
本当に申し訳ございませんでした。




