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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第三章中編 偽救世主は……
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第七話 連鎖

「なに……これ」

「あ、客人さんですか……これは災難でしたね……」



国のみんなは、観ても無かった事の様に流している。そんな風に感じる。

涙を流し嘆き悲しんでいるのは、ごく一部。



胃がむかむかとしてきて、反乱を起こそうとしてくる。

視界に入っているシュナの顔は、青白く、唇がわなわなとふるえている。



シュナの体を片手で掴み、抱きかかえる。

これ以上……見せてられない。



視界を……冷静に上に上げていく。

そこには……感情のこもらない冷たい目で僕らを見下ろしている生首。

心を押し殺し、下に掲げてある看板の文字を読む。



「悪しき人間に組した者共、ここに処刑の後、生首晒しの刑と処す……何なんだよ……」



裏切り者には死を。これは、ここの国での鉄板なのだろうか。

確かに、悪い人間にこの国の場所……いや、存在などがばれたら大変な事になるだろう。

いや、多くの獣人が犠牲になる未来しか見えない。

でも……死はやり過ぎではないだろうか。



「うそ……」



肩に軽い重みが掛かり、囁きかけるような吐息が耳に入る。

横をみると、どこか見覚えのある顔がシュナとおなじような蒼白になっていた。目の焦点は完全に合っていない。



「うそ……うそ……」



肩から、そのウサ耳を頭に載せた少女が崩れ落ちていく。

慌てて、僕はしゃがんで少女を支える。



「だ、大丈夫!?」



ウサ耳がプルプルと小刻みに震え、少女は顔を絶望に彩らせている。

この少女は……前に会った……



焦点の合っていない目が、僕の顔をとらえて光を灯した。

一瞬、少女の表情が歪み、そして目から大粒の涙があふれ出した。



「えぐっ……えぐっ……」



泣き喚く事なく……少女は涙をこぼしていく。

嗚咽の声が喉から絞り出すように出て、僕の鼓膜をたたく。



「大丈夫……か?」



思い出した。たしか……名前をカグヤと名乗っていた……



「ひっ……!」



差し伸べた手は……パシリとはたかれた。

カグヤは……その場から涙の跡を地面に残しながら……駆け足で走り出していった。

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