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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第一章 最弱異端児は・・・
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第一話 始動

 周りを海に囲まれたひとつの島フェルト島。

 五つの国と一つの崩壊した都市で成り立っている。

 数多くの人々が生活する空間としては小さいような感覚だが、ある金持ちが暇つぶしにどれぐらい広いのか調べたことがあるそうだ。

 だがその調査結果をみた金持ちはあごが外れてしまい、生涯しゃべることができなくなってしまったと言われている。

 その広さは今ではもう伝えられていないが、大変な大きさだと予想できる。

 

 

 その中の一つの国”ヴィント国”

 またの名を臆病者の国

 なぜそのようなあだ名がついたのかは分からないが、他の国から冷たい扱いを受けているのは事実のようだ。

 

 

 その国の外れにある一つの町。

 いくつかの集落が合併してできたこの町はハルス町と呼ばれている。

 武器屋や料理屋などの多くの誘惑の中に存在している大きめの学校。

 町の中で生活している子供は全員いくここは、辺境の町とは思えないぐらいに設備がよく、人気の場所だ。

 しかし、子供達はそんなことなどどうでもよく、学校には行きたくないというのが当たり前。

 登校途中の僕。

 少し特別な少年”イツキ”も例外ではない。

 ただし他の子供達とは少し……いや相当違う理由だが。

 

 

 全10学年で構成されたこの学校。

 商人や農家、そして冒険者など数多くの人材を育てている。

 この学校に通えば何かしら仕事が得られるとしても有名になっているが、何事にも例外は付き物。

 

 

「起立、気をつけ、おはようございます。」

「「「「「おはようございます。」」」」」

 

 

 学級委員のカケルの号令と共に朝のST(朝の会)が始まる。

 なんの変哲もない学校風景。

 今日はどんな授業があるか楽しみにしている生徒、

 寝不足で大きなあくびをしている生徒、

 給食の事を考えてよだれを垂らしている生徒、

 多種多様な生徒が過ごしている中、とてつもなく憂鬱そうな顔をしている生徒。

 僕だ。

 黒髪に身長も平均よりすこし高いぐらいで見た目も変なところは少なく、自分で言うのはなんだが、中の上ぐらいだろう。

 だが、僕はクラスの中で”異端児”と呼ばれているのであった。

 その理由は……

 

 

「さて、皆さん。おはようございます。じゃあ出席を取りましょうか。皆さん『ステータスプレート』を開いてください。」

 

 

 緑の髪をした若い女性。

 僕のクラスの担任、アイカ先生だ。

 アイカ先生の言葉を受け、一人の生徒を除いた全ての生徒が空中を指でなぞるように動かす、手の甲で叩く、など何かしらのアクションを起こす。

 すると、一人ひとりの生徒の前に紫色の薄い板が出現した。

 

 

『魔法』

 体の中の魔力を消費して、普通には起こせない現象を起こすことができる術。

 だれでも使うことができ、出来る事に個人差はあるが基本的な魔法はだれにでも使える。

 大部分の魔法がまったく使えない人はごく稀にいるが、何かの魔法に必ず特化している。

『ステータスプレート』は基本中の基本で、使えない人はこれまでに一人もいなかったといわれている。

 

 

 だが、一人だけ何も出来ていない生徒がいる。

 僕だ。

 異端児といわれる理由。

 それは、魔法がまったく使えない事。

 魔法が全てを支配しているここでは、生活さえもろくに出来ないぐらいのハンデとなっている。

 

 

「イツキ君はいつもの紙のカードでいいからね。」

 

 

『ステータスプレート』のカレンダーに先生がマークを打っていく中、自分だけは紙のカードにサインを書いてもらう。

 慣れているのだが、やはりちょっかいを出すやつは存在するようだ。

 

 

「異端児さんはやっぱり無能だねぇ。何にも出来ないクズはいつまでもクズだなぁ。」

 

 

 少し青みのかかった髪をしているキザな髪型の少年。

 顔も嫌味なぐらい整っている。

 そしてクラスの中の問題児、ソウタはいつものようにからかってくる。

 

 

「ソウタ君、人をいじめるような事を言ってはいけませんよ。彼だって好きでなったわけではないんですから。」

「へ~い」

 

 

 アイカ先生が少し怒ったように言うも、ソウタは反省のかけらもないようだ。

 

 

 自分だって何でこうなったのかは分からない。

 聞いた話だと自分は森の中にリュックぐらいの少ない荷物と共に捨てられていたらしい。

 その場にいたお爺さんがいうところでは、魔物に左目を食いちぎられていて大変な状態だったようだ。

 だがそこで幼い僕の体から薄く輝く結界が突然広がり、魔物も一瞬にして塵になったそうだ。

 結界が消えてお爺さんが近づいた時には意識を失って倒れていたという。

 顔の左目周辺がぽっかりと無くなっていて、見るも無残な姿だったようだ。

 その後お爺さんは僕を町に運んで帰り、神の使いのように祭ったらしい。

 その時に町一番の治療師からいろいろな物を犠牲にして左目を治療してもらったようだが、完全に失われた左目は治らなかった。

 今では眼帯をつけて隠しているが、左目の部分は空洞のままだ。

 だが、町人の期待は大きく裏切られた。

 魔法は全く使用することができず、特別な力を持っている様子もない。

 しかしまだ分かっていないだけかもしれないだけかもしれないと淡い期待はあったようだが、今はそんな期待はどこにもないだろう。

 もはやただのお荷物としか思われていないと思うが、追い出すわけにもいかない。

 一度、神の使いとして祭ってしまったからには最後まで面倒を見ないと行けない。

 今はお爺さんの妻の家に居候している状態だ。

 

 

 ”無能異端児”

 いつからか呼ばれるようになったそのあだ名。

 なんでこんな事になったのか。

 自分は何にも悪い事をしていないのに。

 

 

「何かいい事起きないかなぁ」

世界観の説明を織り込みながら進んでいく予定です。

※一部訂正しました。

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