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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第三章中編 偽救世主は……
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第五話 終了

「とりゃっ!」



瞬間で判断を下し、地面を思いっきり蹴って膝ぐらいまで流れてきた水を回避する。

魔法陣の中心から、際限なく水はあふれ獣人たちの膝を飲み込んでいく。



「チッ!なんだ!」

「うろたえんな!どうせ足止めだ!」



さすがに、長時間の対空はできずに、足を水に突っ込んでしまう。

これは……そういうことか。



「お主!」

「分かった!」



もう一度力を込めて地面を蹴り、体を水の中から出す。

水しぶきが中に飛び……ぴちょりと飛び散った。



「やっぱり……」

「くそっ……やられた!」



高くなり、硬くなった地面。

いや水面に足を下ろす。



流れ込んだ水は一瞬の内で氷に変貌し、獣人の足を厳重に固めた。

これで……攻撃は終了だろう。



軽装備がこんなところで役に立つとは思わなかった……



「お疲れ、シュナ」

「大丈夫じゃ、少しだけ無理をしたのじゃがな……」



シュナは平静を装っているみたいだけど……軽く肩が疲れたように上下している。

結構、あの技も疲れるみたい……だね。



「おい!出せよ!」



飛んできた剣を、一瞬で見切って柄をつかむ。

あらかた武器も氷で抜けなくなっているが、上に持っていた獣人は氷に突き刺して脱出しようとしている。



氷で摩擦が低くなっている地面に、刀を突き刺し、支えにして獣人に滑って接近し、刀で持っている剣を吹き飛ばす。



「くそっ!」



苦し紛れに投げたナイフをよけきれずに、俺はほおに小さな怪我を負う。



「お主、大丈夫か?」

「大丈夫。大した怪我じゃないよ」



貫通した左手の痛みにもすでに慣れた。

手当は早くしないといけない……かな。



「それより、この人たちはどうしようか……」

「う~ん……集団で襲ってきたのじゃから……何かわらわ達を倒すというような目的があったという事でよいのじゃろうか?」



視線を襲ってきた獣人の方に向ける。獣人たちは目を合わせないように首を動かした。

すでに、戦闘は放棄しているみたいだが、諦めてはいない……かな。



「で、何のために僕たちを?誰の命令?」

「ペッ。だれが、お前らなんかに話すかよ」



つばをぺチャリと氷にたたきつける。

……完全に憎まれているな……嫌われるような事をしたっけ……



「これは、ダメじゃな……情報を聞き出すのは難しそうじゃな」



……とりあえず、この人たちをどうすればいいんだろう。

たぶん、襲ってきたメンバーは全員凍らせたからもう、警戒の必要は……



「あと一人!」

「どうしたのじゃっ!」



体の向きを変えて、ある方向を向く。

直後……高速で飛んでくる物が視界に入った。



「やっぱりっ!」



残された一人。

第一射を打った人は……たぶん攻撃には出ていない!



矢の軌道を飛んでくる様子から読み取り、着地地点を予想する。

風はほとんど吹いていない。なら、着地地点は……シュナの心臓!



「チッ!」



滑る地面を蹴り、シュナに体当たりの様な形で場所を変えさせる。

そして、手を宙に突き出しタイミングを見計らって……握る。



手が摩擦で少しむけるものの、しっかりとした物を掴む。

手の中に……矢がすっぽりと収まった。



「あぶな……」

「お主、痛いのじゃ……」



下からシュナのうめき声が聞こえる。

……大丈夫かな。



「ごめん、シュナ」

「大丈夫じゃ、お主が助けてくれた事は分かっておるのじゃから」



地面を軽く蹴って、シュナの上から下りる。

手にある矢は遠くに放り投げた。



「何者だっ!」

「くそっ反乱軍かっ!」



ばたばたと林の方から、きちんとそろった制服を着た獣人たちがやってくる。

……味方かな。



「だ、大丈夫ですか!?」

「大丈夫です」



隊長の様な人の声に、気張って答える。



「手を怪我していますね……後ろに治療班がいますので、そちらで対応してもらってください。後の処理は私達に任せてください」

「ありがとうございます」

「まったく……近くに通りかかった人が私達を呼んで下さったので、死者も出ずに済みましたから、本当に良かったです」



ようやく……一息が付けた。

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