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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第三章前編 客人は……
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第四十七話 新居

国の者に案内されながら、僕たちが歩き続けた。

城の正しい出入り口から出て、そのまま美しい町の中に入っていく。念のために僕は猫耳、シュナは狐耳を付けている。

おかげで、新入りと思われているのか知らないお姉さんとか子供とかが駆け寄ってくる。

人間という事は……あとでしっかりと教えてあげた方がいいだろうか。さすがに子供が……人間だからって石を投げたりすることはないだろう。



「すごい人じゃのう……これは相当の人が暮らしていると考えていいじゃろうな」

「今見てる場所もこの国のほんの一部らしいからね。もっともっと広いならおなじようにもっともっと人がいてもおかしくないな」



国の端はここからじゃ全く見えない。何か特殊な魔法道具を使って、壁が空に見えるように細工がしてあるのだろうか。

まぁ、簡単に見破れたら意味がないものだろう。

足を動かして歩み続けるよ、急に国の者が止まり、左の他の家より少し大きい家を指差した。



「ここの家は現在開いております。滞在期間の間、ご自由にお使いください。念のために、警備の魔法道具は作動させておきますが、何かあった場合はご連絡を」



そう言い残した後、国の者は僕に鍵を手渡して即座にどこかへ飛んで行った。いや、高く跳んで建物の上にのり、そこから別の建物にを繰り返していた。

国の者に頭についていたのはウサ耳。たぶん、跳躍力が高い種族なのだろうか。

って、こんな事を考えている場合じゃないな。今は……新しい家!



「いくぞ!シュナ!」



足を思いっきり使って家に向かってダッシュ。シュナも、どこからそんな力が出てるのかと思うぐらいの速さで追いかけてくる。たぶん……一時的な新居の期待を力に変えているのだろうか。

受け取った鍵を思いっきり鍵穴に差し込む。そのまま、うまくひねる。ここでは魔法製の鍵などを使う事がないから、物理的な鍵しかない。でも、かちゃりという心地よい音が響き、扉が自由に動くようになる。



「お主!開けるなら一緒に開けたいのじゃ!」

「分かった。じゃぁ、いっしょにあけようか」



ドアノブを二人で掴み、うでに軽く力を入れる。



「せーの!」



二人で同時に扉を押しあけると……そこにはこじゃれた玄関に……いかにも長そうな通路があった。これを……ふたりで使いきるのは難しそうだな……



「これは、広いのう。部屋も多くありそうじゃのう」

「たしかにね……シュナも好きな部屋を選んでいいと思うよ。景色のいい部屋でも、きれいな部屋でも。少しばかり空き家になっていた場所っていってもそこまで汚れていたり、埃が散っているようでもないし」

「そうじゃのう……じゃぁ、先に探索させて貰うのじゃ!」

「じゃぁ、僕は二階から回るね」



笑顔で走り回るシュナを横目に見て、僕は階段を上り始める。キシリと、前まで暮らしていた家とおなじような音がひびき、少しばかりなつかしい気持ちになる。

おばあちゃんは元気かな……病気とかになっていないかな……

まぁ、こんな事を考えても仕方がない。考えるよりも足を動かせ。



「って、何考えているんだろうな……」



止まった足を動かして、二階に上がる。近くのドアノブを掴んで開き……そっと閉じる。

……なに?今のは。なんか緑の煙とか変な生き物とかあったけど。



もう一度確認の為に開けて……そっと閉じる。

さらにもう一度確認の為に開けて……そっと閉じる。



「見間違い……だよね」



赤い謎の煙とか、白い液体の詰まった瓶とか、火花が散り続けている縄なんてなかった!

でも……いや、ないない。

最後の確認の為に開けて……そっと閉じる。

最後の最後の確認の為に開けて……そっと閉じる。

最後の最後の最後の確認の為に開けて……そっと閉じる。



「って、なんだよ!これ!」



思いっきり開けはなって……中をみる。そこは……みるからに科学実験場。動物のミイラとか、変な薬剤とかがいっぱいある。魔法の類の物ももちろんだ。

僕らがここに来る前に住んでいた人が……あやしい物を作っていたのだろうか。下手したら爆発とかもありうるから……そっとしておいた方がいいかな。



こんどこそ丁寧に……そっと閉じる。

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