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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第三章前編 客人は……
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第四十五話 地下

暗い道を歩き続けて数十分。



「この道ってどこまで続いているんですか?」

「たぶん、もうすぐですよ。向こうに見える小さな光が出口ですから。」



その言葉を信じて歩き続ける。

たぶん、シュナは足が疲れているだろうな……



「シュナ、大丈夫?」

「大丈夫……なのじゃ……」



大丈夫と言っているが、顔が汗とかが出て辛そうなのと、足がプルプルしているところから完全に疲れきっているところが目に見える。

まったく……意地を張って……



「ほらよっと。」

「ひきゃ!」



シュナを両手で抱き抱える。


お姫様抱っこという体制だ。



「なんじゃ……少しぐらい声をかけてくれても良いじゃないか。」

「意地を張られても困るからね。」

「リア充爆発しろ……」



後ろから聞こえてくる囁き声を無視して軽いシュナを手に歩き続ける。

なかなか遠いな……

重さは大して変わらないと言え、変な風に持つわけにはいかないから少しばかり気を使っている。



さらに歩き続けて数分。

ついに、光の下までたどり着く。



「ここの屋根をこうやってと。」



母親が固めた拳を天井に叩きつけ、そのまま、天井を貫く。

いや、貫いたのではないな……天井のふたが高速で吹き飛ばされたという方が正しいだろう。



「こっちです。」



あいたふたに向けて、母親はジャンプで飛び込み綺麗に着地をしたのが見える。

……あの人、身体能力高すぎでしょ……

手を差し伸べてくるが、シュナを抱えた状態では掴む事ができないからな……

とりあえず、シュナをポイっと上に放り投げる。

ちょうど、着地した時に痛くない高さまでだ。



「よいしょっと!」



ジャンプで穴の反りを掴み、体を前に揺らす。

そのまま、後ろに向かって思いっきり体を揺らし、そのままの勢いで穴を越える!



「ってうわ!」



体が勢い余って、上昇する時に勢いを殺しきれずに地面に体が叩きつけられる。

背中を強打したからか肺から息が漏れ出てしまう。

これは……ちょっとばかり痛い……



「手を貸す必要もありませんでしたね……」

「まぁ、他の人たちには必要そうですね。」



ぽいぽいと、母親は他の人達を上にほおりあげていく。

もちろん、ほおり投げられた人は地面に叩きつけられ、一様にうめき声をあげている。

最後に、小さな子供が上に引き上げられた後、母親は開いていたふたを閉じた。



薄暗い部屋……

ここはどこだろうと頭を動かしてみるも、見えるのは、詰まれた樽だけ。

……ここはなんなのだろう。



「えっと、たしか起動魔法陣が……これですね。」



そう言って、母親は壁に手を当てる。

何をするんだろうと思った瞬間、壁が薄く輝き始めた。

これは……魔法道具を起動させている?

魔法陣の形に光が広がり、完全に広がった瞬間、ボッという音が連続で響いた。

何が起きた!?

そう思って、周りを見渡すと壁のあちらこちらに設置されていた明りが点灯していた。

火魔法の応用か……

そこまで明るいとは言えないが、部屋の中の物とかは完全に見渡せるようになったな。



ようやく見渡せるようになった部屋の中を確認する。

瓶がたくさん並んでいる棚に、大量の樽。

壁一面に設置された杖などに、防具らしきもの。

ここは……よくある……倉庫というものだろうか。



「ここって……」

「ここは、城の地下の倉庫です。まぁ、ここから直接王に会いに行っても大丈夫でしょう。少しばかり人前では偉そうですが、本当は優しいですし。」



そう言って、ためらうことなく倉庫の出口らしき所へ向かっていく。

初めて見る光景に見とれていたであろう獣人たちも慌てて立ち上がり、その背中を追いかける。

この上には……夢の光景が……

期待感を胸に抱きながら、その背中を僕も追いかける。



押しあけられた扉を通り抜け、一本の通路を通り抜け、そして階段を上り始める。

城とかに良くある螺旋階段……

これだけでも高揚感が募っていく。



一段一段踏みしめる様に歩み続ける。

シュナも前まで疲れていた様子がうその様に消え、ワクワクした表情を見せている。

やっぱりこういうのはワクワクしてしまうものなのだろう。



「たぶん、もうそろそろ地下から出たところですね。もう少し行けば、階段のところに窓があるので外が見えますよ。」

「本当ですか!?」

「なかなかいい景色ですよ。まぁ、こっち側だと農業エリアと林業エリアしか見えませんが。綺麗なのに代わりはありませんよ。」

「行くぞ!シュナ!」

「もちろんじゃ!」



体を早く動かし、高速で階段を駆け上る。

他の獣人たちも追い抜かし、一気に上った先にあったのは……

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