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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第三章前編 客人は……
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第四十話 決着

獣耳の力を少しだけ引き出して、体を加速させる。

そのまま、流れに逆らわないように刀を抜き男たちに斬りかかる。



刀の柄を敵の一番前に立っていた男の首筋に向けて振り下ろす。

男は防ぐ事も出来ずに壁に吹き飛ばされて、そのまま崩れ落ちる。

一人の無力化に成功っと……

今思ったんだけど、この刀の柄って意外と強い気がする。

何回も人を叩いたりしているけど、傷も付いていないし、へこみもどこにも見当たらない。

刃の部分は全く傷がつかないけど、柄までとは……カキタさんの刀はやっぱり凄いな……

最初に使っていた刀の壊れた原因は確か、柄の部分と刃の部分が取れてしまったんだっけ。

あまりいい金属は使っていなかったのに、刃がほとんど欠けなくて手入れもしていなかったのを覚えている。

柄も傷一つなかったという事は、昔からカキタさんの腕はすごかったという事だろう。



そのまま、次の男に向かって走り出す。

少し離れたところにいるから、攻撃が飛んでくる前に移動しないと……

後ろに嫌な光が見えるけど、まぁ、無視してもいいだろう。

移動しつづけようとする体を、足を地面に突き刺す事によって強制的に止め、体を次の目標へ向ける。

そのまま、全力で駆けだす。



「うわぁぁぁぁ!?」

「こっち来たぁ!」



ようやくこの状況を理解したのだろうか、慌てて魔法陣を展開させ始める男たち。

だが、もう遅いだろう。

次の男に向けて刀を構え……



「お主!避けるのじゃ!」



シュナの声が響きわたり、ほぼノータイムで体を前屈姿勢にかがませる。

直後、頭の上ぎりぎりを風の刃が通り過ぎ、千切れた髪の毛と共に、高揚していた気分も一気に覚める。

あぶなかった……あと少しで相当な怪我を負っていたであろう。

自分だけが加速していた世界観も冷静になったからか、一気に元の速度になる。

たぶん、男の一人が念のために背中の後ろで魔法陣を展開させておいて、それを保持していたんだろう。

ちらりと見えた光はその魔法陣だったのか……



今度は冷静になりながら、刀の柄を振るい、男の脇腹に直撃させる。

至近距離の攻撃に反応しきれなかったのか、くの字になった状態で前の男の上に衝突する。



「ぐへぁ!」

「おぶぅ!」



二人分の苦痛の声を確認し、次の男へ……と思ったけど、先に未知数の無属性魔法を使うやつの方がいいだろう。



「なんで、お前には『気分降下テンションドロップ』が効いていいないんだよ!」

「しらねぇよっと!」



叫ぶ男に遠慮なく刀を叩きつけ、一瞬で気絶させる。

うん……無属性魔法はなかなか強力だったが、そこまで力とか防御力は強くなかったな……

あんまり、柄でなぐった時の抵抗がなかったからね……



飛んできた魔法を首を傾けて避ける。

残る敵は……一番強そうだった男だけ……

一気に……決める!



「おりゃぁ!」

「とい!」



敵が振り下ろしてきた短剣をぎりぎりで避け、その手を刀の柄で真上に突きあげる。

短剣は男の手からはずれ、真上に回転しながら飛んでいき、天井に突き刺さる。

もう、この男には武器も魔法しかないし、防具の位置は把握している。

真後ろで構築されている魔法陣を一瞬で確認し、射線上から体を外す。

そのまま、この男に唯一防具が付けられていないであろう場所。

脳天に向けて刀の柄を振り下ろす!



魔法の構築に集中していたからか、男はこの攻撃を防ぐこともできずに、刀の柄は男の頭に突き刺さる。



「うっ……」



男の体はドサリと倒れ、金属の当たる音が回りに響き渡る。

相当固い防具をつけているんだな……



「とりあえず、こいつらを縛りあげるぞ。」

「了解じゃ!」



魔法袋から縄を取り出して、半分をシュナが居るであろう方向に投げ渡す。

気絶している男たちをほどけないように頑丈に縛りあげて、一か所に転がす。



「最後の戦いはさすがじゃったのう。」

「ちょっと危なかったけどな。」



一か所に集め終わった男たちを上から眺める。

なかなかいい装備をもっているな……

特に、一番強そうだったこの男が持っている防具と、無属性魔法をつかった男が持っている本が……

見た事も無い本だし、少し読んでみたい。

まぁ、どんな風になっているのか知らないから、もしかしたら文字も何にも書いていない物かもしれないけど……とりあえず欲しい。

この場合、持っていったら泥棒になるのだろうか。

でも、襲ってきたのは向こうだし……正当防衛とかで持っていってもいいよね……?


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