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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第一章 最弱異端児は・・・
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第十六話 睡眠

「ふぅ。」

 

 

 近くにあった魔法道具、湯沸かし器を使ってお茶を入れて一息つく。

 いろいろありすぎて暴走していた頭を落ちつける。

 

 

「そういえば忘れていたのじゃが、研究内容を見せてもらってないのじゃが。」

 

 

 すっかり忘れていた。

 本棚の中から箱を取り出し、そこから何冊ものノートを取り出す。

 

 

「これが研究の成果をまとめたやつだ。」

「よくこれだけ出来たのう。」

 

 

 一つ一つシュナは手に取って調べている。

 

 

「各魔法の魔法陣の形や読み取り方、魔法道具の原理から応用までこれはすごいのう。」

 

 

 これだけは言える。

 8年間の研究は伊達ではないと。

 

 

「でも、これじゃぁ問題があるのう。」

「そうだ。対抗策が一つも見つかってないのはさっきも言ったな。」

 

 

 しっかりとした事実だ。

 魔法を使うものに攻撃を与えられる範囲に入る前に魔法で返り討ちにされてしまう。

 魔法そのものをどうこうすることはほぼ(・・)できないと言っていい。

 

 

「一つだけ解決できる方法がある。」

 

 

 ほぼ(・・)できないのである。

 実力と運とがあれば出来ないわけではない。

 

 

「魔法の核を攻撃すればいいんだ。」

 

 

 魔法の核。

 魔法を形成する時の元となる場所で魔力の玉とも呼ばれる。

 魔法陣の中心に生成され、特別な命令式を入れずとも自然に生成される。。

 見えないぐらい小さいがそこを中心として魔法現象が発生するのである。

 

 

 そのため核を攻撃すると魔法はそのまま空中分離するというわけだ。

 反抗魔法で魔法を防げるのはそれが原因である。

 特定属性の核を破壊する膜を指定した所に発生させるのが反抗魔法の正体だ。

 ただし反抗魔法も違う属性に対しては効果がものすごく下がる。

 

 

 また、複数属性の複合魔法の作りにくい原因でもある。

 魔法の核を作るのは無意識に出来る。

 だが、一つの普通の魔法の核に対して生成できる現象の属性は一つだ。

 そして、二つの魔法核を同時に生成すると反発しあって消滅してしまう。

 例えば水と火の混合魔法で有名なものがある。

 ”蜃気楼”だ。

 水の現象と火の現象を同時に生成し、周りの空間の見え方をゆがめるというわけだ。

 だが、普通にやると反発して消えてしまう。

 ここでやるのが魔法核の同時合成生成である。

 魔法核を火の核と水の核を同じ場所に生成し、混ぜ合わせるというわけだ。

 だが、ただの論理だと簡単そうに聞こえる。

 実際は同じ場所に核を生成してもそのまま反発してしまう。

 そこを意識して混ぜ合わせるというわけだ。

 

 

 だが、普段無意識でやっている事を意識してやる。

 これほど難しいことはない。

 実際これができる人は一万に一人ぐらいだ。

 そして複数属性を所持する人も限られている。

 だから本当に貴重である。

 

 

 少し脱線してしまったようだ。

 

 

「魔法核を攻撃。それは物理的に叩くことでもできるということは知っている。」

 

 

 これは偶然気がついたことだ。

 

 

 授業での出来事だった。

 刃系の魔法はたいてい物にぶつかっただけでは止まらない。

 なのでその練習の時は大抵藁人形などを使う。

 大きめの藁人形だったら三分の一ぐらい切り込んだぐらいで止まる。

 だが、たまに不思議な現象が起きるのだ。

 藁人形に当たった瞬間魔法が消え去るのだ。

 調べると魔法が消えた藁人形は大抵どこかの結び目がほころんでささくれが出来ている。

 そこからいろいろな仮説を立てて、時には藁人形に細工をして調べたりしてこの結論にたどり着いたのだ。

 

 

「お主・・・本当にすごいのう・・・」

 

 

 褒められると恥ずかしい。

 

 

「でも、問題があるのじゃろう。」

「あぁそうだ。それは魔法の核が目視出来ない事だ。」

 

 

 目視できれば落ち落とせる自信がある。

 だが見えない(・・・・)

 魔法の中心に魔法核が位置するがそれを見つける事は非常に難しい。

 それについての対策を考えているのだ。

 

 

 冒険者選定大会まであと約一か月。

 それまでに何とかしなければいけない。

 

 

「というわけで協力してほしいんだ。」

「了解じゃ、出来る事をしてやろう。」

 

 

 これで大丈夫だ。

 

 

「ふぁぁぁぁ……だいぶ眠くなってきてしもうた。そろそろ寝るかのう……」

「あぁそうだな。」

 

 

 部屋にあるのは少し大きめのベット一つ。

 どちらかが床の上に眠るしかないと思う。

 

 

「しょうがない。お前がベットを使え。僕は床で寝る。」

「なんでじゃ?二人で寝ればいいじゃろう。」

「え!?」

 

 

 いきなり衝撃発言。

 にやにやしているのは気のせいだと信じたい。

 

 

「しょうがない。ちょっと狭いかもしれんけど我慢してくれ。」

 

 

 シュナが満面の笑みになる。

 だが、そんなことはしない。

 

 

 二人で一緒に寝るだけである。

 

 

 シュナに背を向けて目を閉じる。

 

 

「じゃぁお休み。」

「……おやすみなのじゃ……」

 

 

 残念そうな声だったが気のせいだろう。

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「これは……少しは興味を持ってくれてもよかろうに……」

 

 

 呆れた声音が漏れる。

 

 

「これは……色欲の悪魔に憑かせるのが良いのじゃろうか……」

「悪魔って自由に憑かせる事が出来るのか?」

「ふぇぇ!?」

 

 

 突然かけられた声にビビるシュナ。

 意外と可愛い。

 

 

「ふぅぅぅ。」

 

 

 少しシュナの息も落ちついてきたようだ。

 

 

「これも説明したほうがよいのじゃろうな。」

「あぁ」

 

 

 これはやる気はないが知ってみたい。

 知識欲が再び発生する。

 

 

「悪魔との契約が出来る場所があるのじゃ。”魔宮”と呼ばれるやつじゃ。」

「あぁ名前だけは聞いた事があるな。」

 

 

 魔宮。

 各地にあるダンジョンと呼ばれるものの中でも凶悪な難易度があるといわれている。

 そこが契約の所だったのか。

 

 

「魔宮は全部で七つあるのじゃ。そのうち四つは国によって今は管理されておるようじゃがな。」

 

 

 確かにそれが当り前だろう。

 下手に開放していると悪魔との契約を結ぶ人が続出するだろう。

 これは正常な判断だと思う。

 

 

「そうじゃ!お主悪魔と契約を結ばぬか?」

「断る。そんな事したら俺がどうなるんだ。」

 

 

 そんなハイリスクな事をしてたまるか。

 

 

「大丈夫じゃ契約しただけじゃなにもおきぬ。」

「ならどうしたら発動するんだ?」

「前にも言ったじゃろ。感情じゃ。」

 

 

 そういえばそんなことを言っていたな。

 

 

「この話題はあまり詳しくないのじゃがな、そろそろわらわも眠くなってもうた。」

「そうだな今度こそおやすみ。」

「お休みなのじゃ。」

 

 

 静かな部屋に二人の寝息が響き渡る。

 

 

 そして夜は過ぎ去り新たな朝がやってきた。

まぁ展開は決めてありましたけど大幅な路線変更を決定した為大変なことになりました。

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