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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第三章前編 客人は……
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第三十三話 獣人

「シュナ、一応見てみる?」

「気になるのう……魔法陣という感じでもないじゃろうし……」

「魔力反応も、そこまでないからね……魔境眼を通しても薄い光が漂っているだけしか見えないからね……」



ぱちぱちという音も共に響いてきたり、なんだか嫌な予感しかしない。

だれか、同じように罠を攻略してきた人がいるのだろうか。

でも、すべて解除の時に使った道は閉まっていた。

僕らが通った後も、開いた状態が続いている。



「とりあえず、ちょっとだけ見てみようか。」

「そうじゃな、そこまでビクビクするようなものじゃないじゃろうし。」

「まぁ、ここまで来たという事は相当の実力者ということだろうし、一応用心はしないと。」



獣耳をつけた状態で、ぴょこりと曲がり角から顔を出す。

そこにあったのは……



「焚火と……あのシルエットはまさか……」

「獣人……じゃな……こんなところにいるとは珍しいのう……」



あのいろいろな形の耳に、尻尾の影……

どっからどう見ても獣人だ。

ちょっと、近づいてみようと思ったが、ある事を思い、踏みとどまる。

シュナは……獣人に対してどう思っているのだろうか。



「そういえば、シュナは獣人に対してどう思っているの?」

「獣人じゃろうか、別になんともおもっていないぞい。わらわと同じに人ではない種族ってだけじゃろうか。わらわは分類的には一応魔族じゃし。」

「対して気にしていなかったけど、たしかにそうだね。」

「ただ、種族が違うだけで奴隷扱いするのは酷いと思うのじゃ。同じ生き物じゃし、奴隷制度が無くなるべきとは思わないのじゃし、奴隷を使うのも悪い事だとは思わないのじゃが、種族が違うだけで侮辱されるのはあまり心地よいものじゃないのじゃ。」

「まぁ、簡単に言うと、獣人でも仲良くしたいという事?」

「そういうことじゃ!」



最近、遠まわしなシュナの発言も分かるようになってきた気がする。

心が読めるという事だろうか。



「まぁ、一応接近してみる?」

「そうじゃな、何事も始めが肝心というのじゃしな。」

「でも、獣人から、人は嫌われているからね……意外と大変かも……」

「悩んでも仕方ないのじゃ!とりあえず行ってみるのはどうじゃ?」

「そうだな、じゃぁ行こうか。」



体全体を乗り出して、少しずつ接近していく。

とりあえず、最初は……



「あのーすみません。」

「な、何者!?」



急に戦闘態勢を取られてしまう。

突然声をかけたのは失敗だったかな……



だが、すぐにこちらの方を見て武器を下ろし安堵したような表情になる。



「なんだ……同族の方達でしたか……」

「人だったら斬りかかっていたところだったわ……」

「このお兄ちゃんたちだれー?」



なんだか、誤解されているような気がする。

まさか……僕らは獣人として思われている?

ふと、一つだけ思い当る事がある。

頭の方に手をやると……ふさふさの耳。

……この獣耳で勘違いされている?

これまで、自然に使っていたからなんとも思っていなかったけど、もしかしたら……

一応、シュナの方をチラリとみてみる。

すると、見た目は完全に普通の獣耳。

頭に着けるときにあった部分は、体と同化したようにどこにも見当たらず、本来あるべき、人の耳はどこにも見当たらない。

この装備って……本当に獣人みたいになれるという事かな……

これは、いい発見をしたなと思う。

これで……獣人の人たちと普通に話せる!



念のために自分の耳があるべき場所に手を伸ばしてみる。

やっぱり……ない!

これで……これで!



「あなたたちは、どうしてここに来たんですか?国への来訪者ですか?」

「えっと、国って……なんですか?」

「え!?知らないんですか!?ってことは……自力でここまでの罠を乗り越えてきたという事……」



とりあえず、この場にいる人達を確認する。

獣人の男の人が、3人と、女の人が2人。

そして、小さな男の子が一人だ。

全体的に強そうな人が一人しかいないけど、顔がいい人が多い気がする。



「あなたたち、お強いんですね……」

「ここまでの罠を通り抜けるなんて……」

「ちょっと、いろいろありましてね……」



一応、お茶を濁しておく。



「あなたたちは、元奴隷という所ですか?なにかがあって逃げだしてきたとか、主人が死んだりとかしたとか。」

「まぁ、そういう感じです。」

そろそろ物語が加速し始めます。

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