第二十八話 光板
「ちょっと、こっちにきてもらえますか?イツキさんもシュナさんも。」
カルロさんに言われるままに、近くまで移動する。
「じゃぁ、ペンダントをこんな風に持って、近づけてきてもらえますか?」
そう言ってカルロさんは、ストラップの部分を指で掴み、ひし形の板が水平になるように持った。
みたとおりにペンダントを持ち、水平に保つ。
シュナも同じようにしたのを、カルロさんが確認してこちらに手を伸ばしてくる。
「ここを、こうやって……」
そう言いながら、カルロさんはペンダントを掴み、僕のひし形の一辺をシュナのひし形の一辺とくっつけた。
「次は俺らだな。」
「僕もですね。」
そう言って、マルスさんとカルタさんも、同じように持ち、僕のひし形のまだくっついていない一辺とくっつけてくる。
この形……まさか……
「そして、最後に僕がやればいいんですね。」
カルロさんが持っていたペンダントをぽっかりと開いていた場所に差し込む。
すると……ペンダントが星型になり、美しい光景を作り始めた。
ほんのりと輝き、手に暖かさが感じられるようになる。
周りに、小さなきらきら光る点が少しだけ現れ、幻想的に演出しているようにも感じる。
すごい……きれい……
「知っていたとは言えこれほどとは……」
「これは、いいじゃないか!やっぱり、残しておいて正解だったな!」
「幻想的じゃのう……これはいいものじゃな。」
皆が、口ぐちに感想を言う。
本当に……すごいな……
しばらく眺めていたら、少しずつ光が弱まり、ついには消えてしまった。
きれいだったな。
「これが、このペンダントの効果です。、まぁ、一か月に一度しか使えませんが。」
「という事は……」
「次に会うときは、また、これをやりましょう!五人全員で!」
なかなか楽しそうな事になってきた。
「俺はいいと思うぜ!」
「異論なしじゃ。」
「僕もいいと思います。」
「えっと……僕も。」
全員一致で決定。
「じゃぁ、話もここまでにして次に進みますか。」
「そうですね、夜までには一旦ここを出たいですし。」
少しだけ、足首を動かして準備体操をし、戦いに備えておく。
まぁ、そこまで気張るような敵ではないけど、念のためというやつだ。
……よし、これぐらいでいいだろう。
「よし、行きますか。」
「そうですね。」
五人でぞろぞろとダンジョンの中を進み始める。
途中途中で現れる魔物は、カルロさんの魔法か、僕の刀で打ちのめされていく。
カルタさんの察知能力で場所が簡単にわかる為、警戒もそこまで必要がないから気楽だ。
途中途中に出てきた宝箱も分配してすでに渡してある。
「次!二体来ます!」
「よいしょっと!」
足をたわめて、一気に突撃し、魔物を真っ二つに切り裂く。
……手ごたえがない……
「ナイスです!『電弾』!」
黄色の魔法陣が速攻で展開され、黄色の弾が打ち出される。
それは、綺麗に直線を描き、魔物の頭に風穴をあける。
……雷属性の魔法は久しぶりにみた気がする。
扱いが難しいし、魔力の燃費も悪いため、この属性の適性がある人は苦労が多いと聞いている。
それにしても全属性が使えるのは便利そうだな……
どんな魔物にも対応できるから、魔物戦では相当の戦力になるだろう。
いくつかの魔法属性への耐性がある魔物でも、それ以外を使って倒せばいいからな……
倒れた魔物の中の一つがドロップを落とす。
「えっと……普通の銅の剣ですか……」
「これの扱いは困りますね……」
対してレア度が高いわけでもなく、というかレアでもなく、売っても大した値にならず、ある程度攻撃力が強くても耐久性がそこまでなく、強い武器を持っていたらすぐにお役御免になるような物で、極めつけは、大きいからかさばるし、銅といっても金属製なので重みもある。
まぁ、魔法袋のある僕には大して苦にはならないが。
「これ、どうしますか?」
「一応僕は、魔法袋を持っているんで、かさばりはしないんですけど……僕が貰っていいですか?」
「いやいや、全然構いません。僕らが持っていても使いこなせませんし。それより、魔法袋を持っているんですね。なかなか高価な物なのに。」
「ちょっと、いろいろありまして偶然手に入ったんですよ。いろいろと重宝しています。」
ちゃちゃっと、刀について滴っている緑の血を振るって落とし、鞘にしまう。
そういえば、この鞘も特注なんだったな。
デザインもかっこいいし、作ってくれたカキタさんには感謝しかない。
足をあげて、再び道を歩み始める。
そして……このダンジョン初の分かれ道が現れた。
諸事情により、これからの更新は7時になります。




