第二十一話 冒険
鉱石がごろごろと置いてあったエリアを抜け、ツルハシを魔法袋にしまう。
相当の収穫にうはうはだ。
「あの大きい鉱石はいいな……」
「いろいろ作れそうじゃのう……削る道具に問題がありそうじゃがな。」
「たしか、魔法袋に昔から入っていた機械の中にいいのがあったと思うよ。魔力消費量が多すぎて、使ってなかったな……」
「何て物なのじゃ?」
「錬金装置って物なんだけど、設計図を特定の材料で書いて中に入れ、使う材料を適量入れると自動でその形にしてくれるという不思議な装置だよ。まぁ、植物で魔力を補っていたころは消費量が多すぎて一度使ったら魔力枯渇を起こして半分だけ造形された物が出てきた事があったけど。」
「わらわも使えるかわからないのじゃが、やってみる価値はありそうじゃな。」
たわいのない話をしながら道を進むと、いつものように魔物が出現している。
面倒臭いので、刀を抜かずに肉弾戦で挑もうかな……
相手はゴブリン。
緑色の体に緑色の血。
オークと同じような存在だが、オークはパワータイプ、ゴブリンは小さいながらの体でスピードタイプというわけだ。
刀でも余裕で倒せそうだが、振るまでの時間が掛かるしここは肉弾戦がいいだろう。
「うりゃぁ!」
猫耳も、刀も使わない状態で、魔物に向かって突撃する。
そのまま、まずは持っているサーベルに向かって全力で拳を一突き。
サーベルはゴブリンの手から抜けてどこか遠くに飛んでい……かずに刃の部分だけが吹き飛んでいく。
……サーベルの状態がわるかったのだろう。
だが、完全には武器を封じ切れていない。
サーベルの刃の部分は少しであれ、まだ残っている。
とりあえず、体をひねって宙で横周りに反回転し、反対の手の甲をゴブリンの肩に叩きつける。
ゴブリンがよろめき、バランスを崩したのを確認して一旦ゴブリンの後ろに回転しながら着地する。
そのまま即座に方向転換し、背後から胸のあたりを強打する。
続けざまの攻撃に反応できていないのか、何の攻撃も繰り出してこない。
このまま一方的に……決めてやる!
二三回殴り、そのまま足を使ってゴブリンを股間から真上にけり上げる。
そのまま上に飛んで行ったゴブリンを追うように飛び上がり、決めのかかと落としをゴブリンの頭部にかけ、そのまま自分の足と共にゴブリンを落下させ、地面と足で押しつぶす。
グチュリという音と共に、ゴブリンの頭の中が破壊され少量の緑色の血が飛んでくる。
ピクリピクリと動いていたのもすぐに止まり、完全に動かなくなるのを確認する。
「見事な戦いっぷりじゃったのう。」
「そうですねぇ、お見事です。」
「意外と大変だったけど、まだまだ楽だったね……ってえ?」
声の数が一個多かった気がする。
恐る恐るシュナの方を見ると……シュナの後ろに三人の集団がいた。
「おっと、驚かせてしまいましたか。どうも、冒険者のカルロという者です。ランクはAです。」
「えっと……どうも、旅人のイツキです。冒険者にはもうすぐなる予定です。」
リーダー格の人へ形式上の挨拶を警戒しながら放つ。
気配があまりしなかった……
何者なのだろうか。
「ここまでの罠のいくつかが解除されていると思ったらあなたたちですか。本当に助かりました。」
「いえいえ、こちらも必死でしたんで。あなたたちはなぜここに?」
「ちょっと、素材集めとレベル上げにこっちの方面のダンジョンを巡っていましてねぇ……あなたたちはどのような要件で?」
「あるものを探していまして、このダンジョンを巡っているんですよ。」
「そうですか、もしよろしければ素材などの交換が致しませんか?欲しいけど手に入っていない素材などがこちらにもいくつかありますので。」
「本当ですか!こちらとしても大歓迎です。」
本当にいいところにきてくれた。
神の恵みというものだろうか。
運が良ければ、速攻で納品できる……
そして、あの少女を助けられる……
「おっと、自己紹介をしていなかったな。俺はこのパーティーの一人のマルスという者だ!ランクはB。よろしくな!」
「僕も自己紹介を……同じくこのパーティーのカルタです。ランクも同じBです。」
「わらわも自己紹介した方がよさそうじゃのう。イツキとパーティーを組んでおるシュヴィナじゃ。シュナとでも呼んでほしいのじゃ。」
簡単に自己紹介が済んだところで、交渉へうつる。
鉱石類はいっぱいあるからどれだけでも出せるからな……
「あなたが探している物の名前は何ですか?」
「崩壊草ってものなんですけど……ありますか?」
「えっと……あぁ、流通量が少なくなっていてほとんど売っていない物ですね……」
マルスさんがごそごそとバッグの中を探り始める。
……ありますように!
明日、新作投下します。
宜しければご覧下さい。




