第十九話 鉱石
レベルアップの後、次々と現れる魔物を倒しつづける。
少しばかり手ごたえがあるものもあったが大抵一度の攻撃で、もしくは二、三回の攻撃で死んでいった。
……なんだか作業みたいで面白くない。
「そういえば、シュナ。クラスは何にしてるの?」
「クラスじゃったか……ちょいとばかり待ってほしいのじゃ。」
シュナが宙を手の甲で叩き、赤黒い窓が現れる。
色が違いってなんだかかっこいいと思う。
魔王の娘だから一応、魔族ってことになるのかな……
ステータスプレートはいろいろな条件によって色などが変わる。
赤黒いステータスプレートは魔族用と聞いたことがある。
勇者のステータスプレートは金色らしい。
「今思えば、ステータスプレートを開くのも久しぶりじゃのう。お主と過ごしていると忘れてしまうのじゃ。」
「確かに、僕はステータスプレートでさえ出せないからな……クラスも何もないんだ。」
クラスは、自分のステータスにいろいろな影響があるらしい。
そして、町にある専用の施設で変えてもらえる。
中にはお金がかかったり、特別な条件のあるクラスもある。
有名なところで行くと、先生とか火魔術師とかだ。
中には、暗殺者などもあるらしい。
火魔術師だったら、火魔法の扱いが少しだけ上がったり、暗殺者の場合、素早さが少し上がったり、クラスボーナスって物が意外と美味しいとも聞いている。
クラスの変更は一度決めたらほとんど不可能だ。
上位のクラスへのグレードアップてものも可能らしい。
炎魔術師などが有名だが、レベルの条件などもあり、なかなか少ないらしい。
だから、ほとんどの人はある程度大きくなってからクラスを選択するらしい。
「わらわのクラスは……ん?なんか変な風になっていて読めないのじゃ。」
「……?聞いたことのない現象だね。なにか特別な職業なのかな……」
まぁ、考えても分からない事なのでしょうがないだろう。
「あと、シュナっていつもどうやって技能を使っているの?ステータスプレートを介して使ってる事なんて見た事ないけど。」
「それは、頭の中で特定の技能が使いたいと願うのじゃ。すると、自動で発動するのじゃ。まぁ、これも技能の一つで、『脳内起動』ってものなのじゃがな。」
シュナの技能の数が多すぎて覚えきれない。
……うらやましいぐらいのチートっぷりだ。
「また、草なのじゃ。これは違うのじゃろうか。」
「それは崩壊草じゃなくて、薬草だな。回復薬の原料となるものだし一応持って帰ろうか。」
道の端に生えていた草をちぎって魔法袋に突っ込む。
なかなか当たりが来ないな……
「イツキ。あれはなんじゃ?」
「青い鉱石か……見た事がないね……一応持っていくとしようか。」
魔法袋から木の箱を取り出して、開ける。
マルクスさんからもらったツルハシ。
ついに使うときがきた!
「えっと……使い方は、取りたい鉱石の周りにツルハシの先端を叩きつければいいんだっけ?」
「たぶん、そうじゃ。」
ツルハシを構えて……鉱石の近くの砂に叩きつける。
その直後……ボコという音と共に、壁が崩れ落ちる。
「……は!?」
「壁がキレイに崩れたのう。」
叩きつけたところからキレイに球体の形に崩れ落ちている。
壁は細かい砂の粒に変わっていて、ごろりと鉱石の塊が二つ落ちている。
……銘付きの力ってすごい……
落ちているのは透き通るように青い鉱石と赤黒い鉱石の二つ。
一つは壁の中に埋まっていたのだろう。
確か、赤い鉱石は本に書いてあった気がする。
「シュナ、鑑定できるか?」
「もちろんじゃ。ちょっと待ってもらえるじゃろうか。」
シュナの目が緑色に染まる。
これは、鑑定しているときの目だな。
「まず、青い方の鉱石は『水結晶』じゃな。水魔法の魔力が中に蓄積されていて、砕くと水が発生するようじゃ。こっちの赤い方は、『燃焼結晶』じゃな。熱などにさらされると発火し、高温の炎を発生させるようじゃ。」
「どっちも使い道は分からないけど、赤い方は危なそうだね。とりあえず、閉まっておこう。」
魔法袋に両方の鉱石を突っ込む。
道の少し先を見渡すと、他にも点々と鉱石があるのが見える。
この当たりは鉱石が多いのだろうか。
……いっぱいあつめて何か作るのが楽しみだ。




