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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第三章前編 客人は……
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第十八話 魔物

「シュナ!戦闘態勢!」

「了解じゃ!」



事前に話し合っていた戦闘の並び方に変わる。

左前方に僕。

右後方にシュナ。

この態勢は、最善の手を選びつくした結果だ。

僕は右利きだから、右への攻撃が旨く出来る。

だから、もしシュナに向かって突進攻撃をしてきても簡単に対応できる。

シュナの前にいて守るという手もあるが、その場合だとシュナの魔法を体でさえぎってしまう事になる。

シュナを守りながら、攻撃も両立するという態勢というわけだ。



現れたモンスターはグロックベア。

熊型モンスターの一種で、少しだけ弱い分類に入る。

まぁ、ダンジョンによって同じモンスターでも強さが変わる事もあるが。



でも、ある程度警戒すれば怪我も無く倒すことができるだろう。

でも、雑魚であろうと体力を使いすぎない程度に本気を出す。

なめてかかって、やられたら意味がない。



魔法袋から耳セットを収納している箱を取り出し、パカリと開ける。

シュナには狐の耳を投げ渡す。

自分は猫耳を取り出して、頭に着ける。

戦闘態勢はこれで完璧。



「行くぞ!」

「了解じゃ!」



体を前のめりにして、刀に手をかける。

グロックベアがこちらに気が付き突進してこようとするのをじっと見つめる。

弱点は……普通に首だろうか。

首に隙ができた……今だ!

地面を思いっきりけって、グロックベアへ突撃する。

世界が急にスローになる。

というか、まったく動かなくなったように感じる。

グロックベアもほとんど動いていないように見える。

前のダンジョンで戦っていた時に速度に慣れたのだろうか。

というか、グロックベアの動きがあのときのダンジョンのモンスターとは段違いに違うのだろうか。



「うりゃ!」



首に向かって思いっきり刀を振るう。

刀は何の抵抗もなく振りきることができ、グロックベアの首があっけなく切り落される。

……弱すぎないか?

あのときのダンジョンのモンスターは首を落とそうとしても一瞬で防御されるか、刀が当たっても少ししか切れなかった。

中には、首を切り落されても生きている魔物もいたが。



やっぱり……慣れが重要なのだろうか。

……罠の方がよっぽどましな気がする。



世界の速度が元に戻り、グロックベアの体がドサリと倒れ込む。

なんだこの手ごたえの無さ……警戒した自分がバカみたいに思える。



「……わらわの出番が見事になかったようじゃな。」

「まぁ、魔物が弱すぎただけだろう……」



シュナの申し訳なさそうな顔に、なんだかこちらまで申し訳なくなってくる。

とりあえず、フォローしておいたから大丈夫だろうか。



ぴくぴくと動いていた魔物も少しずつ動かなくなって、ついには完全に止まる。

その瞬間、ピロリロリンという音が鳴り響く。



……レベルアップか。

モンスターなどを倒したりすると、経験値が溜まりある程度たまると急激に魔法や身体性能などが上昇する現象がある。

それが、レベルアップでレベルはこれまでのレベルアップの回数を現している。

急激と言っても、特訓などで上げるよりも多いが、急にとてつもなく強くなるというわけでもない。

だが、あげるのも大変で、無茶なモンスター狩りをしても1.2.3か月に1上がるかどうかぐらいだ。

大抵は半年から1年で1あがる程度だろう。

さらには、低いレベルは簡単にあげることができ、一か月で5~10レベルぐらいあげる事も可能だがレベルが高くなればなるほど、必要となる経験値が多くなる。

強い魔物などを倒せば、手に入る経験値も増幅する。

だが、強い魔物を倒すには、それなりの荷物なども必要になるため効率が悪くなってしまう事もある。

まぁ、毎日上がる物ではないからそこまで気にすることはないと先生は言っていたな……



ちなみに、僕はレベルアップなどは全くない。

ピロリロリンという音が自分になったり、レベルアップを実感した事もない。

まったく……本当にめんどうな体だ。



「そういえば、今のシュナのレベルは何?」

「今は、96じゃ。」

「96!?どれだけ魔物を倒しつづけたの……」

「父さんと一緒にいたら気がついたらなっておったのじゃ。」

「そういえば、同行者にも半分ぐらいの経験値が入るとも聞いたことがあるな……」



父が魔王だから……まぁ、当たり前なのかもな。

ふと、頭の中に疑問が浮かんでくる。

僕の本当の父は誰だったのだろうな……

いや、父だけではなく母も……両親も僕と同じように魔法が使えなくて苦労したのだろうか。



少しだけ考えてみるものの、今は考えても無駄な事だと切り捨てる。



「まぁ、おめでとう。」

「ありがとうなのじゃ。でも……前より2レベルぐらい上がっているような気がするのじゃ。」

「え……あぁ。前のダンジョンのドラゴンと戦ったときに気絶していたから聞こえなかったんじゃない?僕も戦いに熱中していたから聞き落していたかもしれないし。」

「そうかもじゃな。」

「でも一カ月以内に2レベルって……やっぱりすごいな。」

「でも……身体能力がまったくと言っていいほど上がらないのが悩みなのじゃがな……」

「それは、しょうがないんじゃない?平均的で何の取り柄も無いよりは何十倍もいいと思うよ。」

「それもそうじゃな。」



とりあえず、グロックベアの死体から牙と爪だけを取って、後は放置する。

まぁ、自然に肥料になるだろう。

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