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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第三章前編 客人は……
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第十三話 円盤

シュナを肩に丁寧に担いで、風通しの良いところまで移動する。

少し開けた空間だから、魔物がきても何とか対処できるだろう。



「キュイィィィィ!」

「……面倒な奴が来た……」



倒すのが大変な飛行型魔物がこちらに気がついて接近してくる。l

確か、ハニービーってやつだったはずだ。

甘いものが大好物で、それに向かって飛んでいくという特性を持っていたはずだ。

しかも、弱いながらも麻痺という面倒な毒を持つ針を使って攻撃してくると聞いている。



「シュナは疲れて寝ているから……自分がやるしかないか。」



腰にさした刀を抜こうとして、一つの事を思い出す。

そういえば町で買った釘があったな……

ちょっと使ってみるか。



刀をさしている側と反対の腰に着けている魔法袋に手を突っ込んで、釘のセットを取り出す。

接近する魔物を横眼に見ながら、釘を箱から取り出して手に収める。

手にフィットしてちょうどいい大きさだ。



「キュイ!キュイィ!」



こっちに向かって直進してくる魔物に狙いを定める。

もう少し……あと少し……今だ!

手首のスナップを利かせて釘を投げる。

まっすぐと矢のように釘は飛んでいき、魔物の頭を貫く。



「これで!とどめだ!」



動きが不安定になった魔物が落下してきた所に向けて、刀を速攻で抜いて切りかかる。

黒い刀によって、魔物はお腹から二つの塊になった。

刀に着いた緑の液体を振るって落とす。



「弱かったからいいものの、もう戦いたくないな。」



シュナの元に戻って、座り込む。

だれかを守りながら戦うのも大変だな……



「むぅ……まぶしいのじゃ……」



シュナがゆっくりと目をこすりながら起き上ってくる。

少しだけ疲れが顔に出ているものの、だいぶ回復したようだ。



「大丈夫?だいぶ無理したようだけど。」

「なんとか大丈夫じゃ、ちょっと体が動かしにくいのじゃがな。」



ぎこちない動きでシュナが立ち上がる。

なんだか操り人形みたいだ。

ガタリと倒れそうになったシュナを慌てて支える。



「しょうがない……試作型だけど使うか……」



魔法袋から小さい円盤を取り出す。



「なんなのじゃ?これは。」

「あの円盤を小さくしたものだよ。速度調整もできないし、バランスも悪い。そこまで高いところも飛べないし、速度もそこまで出ない。魔力消費量とまったく機能が釣り合っていないんだ。シュナ、魔力は大丈夫?」

「魔力の方は全然大丈夫なのじゃ。ちょいとばかり体に無理をさせすぎただけじゃ。」



ちょっとした必殺技みたいなものだろうか。

体への負荷がものすごいかかりそうだ。



「よいしょっと。」

「なんなのじゃ?」



シュナをお姫様だっこの要領で持ち上げて、円盤の上のイスに腰掛けさせる。



「使い方は前の物とまったく一緒だよ。じゃぁできる?」

「もちろんじゃ。」



シュナが魔法陣を起動させて円盤を動かし始める。

速度はだいたい僕の小走り程度。

全然追いつける速さだ。



「それじゃぁ行くかのう。」

「そうだな。」



シュナの右側を同じ速度で走り続ける。

左側から出てくる魔物はシュナが玉魔法で吹き飛ばし、右側から出てくる魔物は僕が刀を振るって切り落す。

大した苦労もなく、数分ぐらいでダンジョンの入り口へたどり着いた。



「ここがダンジョンだな。」

「なかなか大きい山じゃのう。」



山に不自然に開いた穴。

ここがダンジョンへの入り口になっている。

人の気配は、噂が流れているからか感じられる限りは見つからない。

近くに王国軍がいたら面倒だからな……

道具をいびられたら本当に面倒だ。



「で、早速行くのはどうじゃ?」

「それもそうだが、野宿の場所だけ決めておこうよ。」

「そうじゃな、暗い時はいい場所を探すのは面倒なのじゃ。」



入り口から離れて森の中を進む。

なかなかいい場所が見つからないな……



「ここはどうじゃ?」

「ちょっと空き地が狭すぎる気が……って後ろ!」



シュナが僕の言葉に反応して体を逸らす。

その直後、シュナのいた場所に魔物が切りかかってくる。



「うりゃ!」



そのままこっちに向かってきた魔物に向かって刀を抜いて切りかかる。

魔物は、刀にそのまま突進し、真っ二つになった。



「あぶないあぶない……ネイルモンキーは木の上から襲ってくるからな……」

「助かったのじゃ……あと少しで危なかったのう……」



気を取り直してもう一度探す。

だが……やっぱりいいところが見つからない。



「どうしたのじゃ?急に止まって。」

「もう、歩き疲れた。作ろう。空き地を。」

感想とかをいただけると狂喜乱舞します。

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