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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第三章前編 客人は……
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第十一話 突進

「うりゃ!」



小さな声と共に足を曲げて屈んだ状態から剣をふるい、突進してくるブルタスの四本の足を切り落す。



「ブモ!?」

「シュナ!今だ!」



青い豚が足を失って、突進の勢いをそのままに体を地面に擦りつける。

停止したブルタスの真下を狙ってシュナが魔法陣を展開させる。



「これは『火覆ファイアーカバー』か……」



本で一度だけ見たことのある魔法陣。

この魔法を愛用している人はあんまり居なかったな……



「ブモブモ!?」



ブルタスの周りを火が囲み、ふたのようになる。

その直後、ジュワジュワと肉が焼けるような音が出てくる。

この魔法は防御壁が使えなくて移動速度が遅い魔物だったら効果は絶大だけど、魔法陣が形成され終わるまでに効果範囲から出られたり、捕まえられたりしても中で防御壁を貼られたら全くの意味がない。

魔力の消費も大きいし、魔法陣も大きいから構築に時間がかかるし、効果範囲もそこまで広くなく、対人戦でも対魔物戦でもほとんど使わないものだ。

でも、一度とらえられたら魔法を止めるまで永遠に中で焼き続ける事ができるけど。



「これぐらいでいいじゃろうか。」



シュナの一声と共に、火の壁が解除されて中があらわになる。

すると、こんがり焼けた青い豚が縮んでいく様子が見える。

これは、ドロップアイテムになるのだろうか。

ブルタスは確か、ドロップアイテムになることと、そのまま巨体で残る事があったはず……

巨体は量は多いけど解体する手間がかかり、ドロップアイテムの方は小さくなるが解体せずにすみ巨体のよりもとっても美味しかったはずだ。

まぁ、ブルタスは結構強い魔物だからな……

脂肪が厚くて旨く切れないし、最終的にはシュナの魔法に頼る事になった。



「どれぐらい来たのじゃろうか。もうだいぶ進んだ気がするのじゃ。」

「だいたい……3分の2ぐらいは進んだと思うよ。もう、歩き始めて一時間ぐらいじゃないか?」

「時計とか買っておくべきじゃったな。」

「買えるわけないじゃん……聖金貨までする物だよ……」

「お主の持っている道具も十分聖金貨レベルなのじゃがな……」

「今はシュナがいるからどれも使えるし、売ったとしても買ってくれるような裕福な人は……ほとんどいなかっただろうからそんな発想は出なかったな……まぁ、居たとしても売らなかったと思う。」

「まぁ、町に一台設置されていたらいい方じゃしな……自分の魔力を使って動かす時計もあるようじゃが、常に着けてないと止まってしまうじゃろうし、吸い取られる魔力も相当で10分も持たないと聞いておるのじゃ。」

「さっきまでいた町にも中心に大きく設置されていたからな……お金のない町だと設置がきつそうだな……」

「でも、お主の住んでいた町には二つぐらいあった気がするのじゃ……」

「それは、昔勇者が作って、勇者が繁栄させた町って言われているからね……昔から二つも残っているらしいよ。」



勇者はやはりすごいと思う。

精神的に弱い面があるとも聞くが、肉体的にはそうとう強い。

まぁ、悪の勇者になったものも過去には居るらしいが……最終的には同じ時に召喚された勇者が説得で治したらしいが……



そういえば、勇者ってこれまでに何人居たんだろう。

覚えているかぎりだと……今の5つの国がある時代には10人ぐらいだったはず……

昔に栄えていた帝国だと……あと5人ぐらい存在していたらしい……

この町を作ったのも帝国時代の中の5人だった覚えが……

一番新しく召喚されたのは本になっている四人の勇者だったはずだ。

召喚されたのは僕が生まれたであろう時の少し前だったはず。

最近は異常現象と大変な事になっているらしいけど、勇者が召喚される兆しはないからね……



「まぁ、あと少しだから行こうか。」

「そうじゃな、ところでずっと思っていたのじゃが円盤は使わないのじゃろうか。」

「さすがに目立つし、こんな細い道じゃ使えないよ……」

「でも、空を飛べばよいのではないじゃろうか。」

「……実は、ちょっと今壊れていて……前に使ったときに着地と共に魔法陣に傷がついちゃったみたいなんだ……治そうと思ったけど、修復用の材料を使いきっちゃってて治せなかったというわけさ。ダンジョンで修復用の物は取れるからいいけど。」

「聞いてほしくなさそうな顔していたのじゃから、ここまで聞かなかったのじゃが。」

「お前は心を読めるのか……」


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