第八話 知名
簡単に必要な物を確認しながら、町の中を歩き続ける。
えっと……回復薬も準備したし、武器の調達も完了。
そして、お土産用の鉱石を取って持って帰る為のツルハシも運よくもらえたし、もしもの時のロープも準備完了している。
後は……もらった本を確認するだけだ。
パラパラと手元で本をめくって確認していく。
えっと……ダンジョンの構造は完全ランダム型……めんどくさいやつか……
ダンジョンによっていろいろ変わる構造だけど、完全固定型、部屋の場所がいろいろと変わる配置ランダム型、トラップ等がいろいろな場所に変わる設備ランダム型、そして、すべてが変わってしまう完全ランダム型。
一から探すことになるから面倒そうだな……
出る魔物……なかなか面倒な効果がありそうだな……毒を使うモンスターが多いから……解毒剤も買わなきゃ……
麻痺回復薬も必要だし……シュナ用の分も買わなきゃいけないし……
酸を使うモンスターもいるから……一応、代わりの服も必要……あ、でもダンジョン内で防具を隠す必要もないから大丈夫だかな。
この防具は酸なんかじゃビクともしないからな……
「あ!あの店!」
「どうしたのじゃ!」
「ちょっと一個だけ買ってきていい?」
「別に良いのじゃが、 何かあったのじゃろうか。」
「ちょっと、一つだけ買っていなくてね。」
店の前に展示されていた皮の手袋。
汗などで刀が滑らないようにするのにぴったりだ。
少しだけ翼の装飾が入っているのがかっこよかったので一セットだけ買っておく。
マサトからもらった今も付けている翼のネックレスとおそろいだ。
そういえば、マサトもサクラも元気にしてるかな……
なんだか、懐かしくなってくる。
サクラからもらった黒い腕輪も腕に着けていてしっくりくる。
なんか、当たり前になっていて付けている事を忘れていた。
触った時に手に来るひんやりとした感じがいいんだよね……
そういえば、マサトがこのネックレスの意味を『飛翔』って言っていたな……
なんか、その通りになっている気がする……
建物の上を飛翔しているからな……
つい、過去に浸ってしまった。
お金がだいぶ減ってきた気がする。
金貨を崩すしかないかな……
ドラゴンの遺品は……王都で高値で売る事にしようと思っているからここで売るわけにはいかない……
「とりあえず、残った必要な物は適当に買っていくか。」
「そうじゃな、食べ物もいろいろ食べたいのじゃ!」
「ほどほどにしてくれよ……」
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あの後、頑張ってやりくりして、金貨を残しながら必要な物を全て買いそろえる事に成功した。
金貨以外はほとんど無くなって、もう出発まで買い物はできないだろう。
今更ながら町の中で少しだけ有名になっていて良かった……
値段を割り引いてくれた店の店主さんには頭も上がらない。
金貨はもしもの時に残しておきたいからな……
宿屋に入ってゆっくりと休む。
もう、だいぶ日にちが立ったからか変な視線は減ったと思う。
まぁ、嫉妬の視線が常にこちらに向いているのは変わらないが。
「明日から出発じゃのう。」
「そうだな、今日は最後の確認をしないとな。」
「わらわは疲れたので先に寝させてもらうのじゃ。」
「おう、お休みー」
「お休みなのじゃ。」
シュナがベットに倒れ込み、その直後にゆったりとした寝息が聞こえてくる。
こういうところはシュナも子供だな……
マルクスさんからもらった本を今一度読んで確認しておく。
飛行系の魔物は僕は苦手だからシュナに任せる事になるかな……
でも、一応対抗策として投げナイフか投げるようの釘を持っていくべきかな……
これも行く時のどこかで買っていくこととしよう。
遠距離攻撃ができる魔法が使える魔物はシュナをメインに、近接攻撃がメインの魔物は僕が戦う事になるだろう。
数日ぶりだけど体がなまっていることはないだろう。
ひさしぶりの冒険に気分が高揚してくる。
ダンジョン探索はやっぱりロマンがあるし、どれだけ稼ぐことができるかも楽しみだ。
崩壊草がメインなんだけど、見つかるまで時間がかかりそうだからそれまでにいろいろな物を集められるだろう。
「できる限り早く崩壊草を見つけられたら先に届けて、もう一度ダンジョンに行ってこんどは稼ぐために中を探索するってのもありかもしれないな。」
考えれば考えるほど夢が膨らんでいく。
だが、突然頭の中にあの悲しげな少女の事が浮かぶ。
「……無事に治してあげたいな。」
寝ないで過ごしても体に影響があるだけだから、ベットにむかう。
「おやすみ。」
返事のないベットに声をかけ、そのまま横になる。
そのまま、眠りの海についた。




