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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第三章前編 客人は……
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第四話 崩壊

「お主、どうじゃった?」

「うん……病気を治すためにとってくるというわけ。」

「どんな病気なのじゃ?」

「……言うなら治らない石化の呪いってところかな。」



扉を押しあけてマルクスさんがやってくる。

沈んだような顔……病気の進行が速かったのだろうか。

死ぬまでじわじわと追い詰められていく……

むごすぎる……



「すまないな、時間を取らせて。」

「別に……いいです。でも、娘さんを助けるために崩壊草が必要ってことは分かったんですが、なぜ崩壊草が必要なんですか?早めに病気の場所を砕いてあげた方がいいのでは?」

「それでは……たぶんだめだ。石の部分が少し残ってもたぶん病気は進行するだろうし、多めに切るってのは……俺にはできない……」

「……」



部屋に沈黙が漂う。

気まずいけど……なんだか、あの娘の事が可哀そうすぎて何も言えない。



「でも……なんで崩壊草なのじゃ?」

「崩壊草の効果は、石を砕くというが実際はぼろぼろにして砂みたいにバラバラにするってのが正しい。不足する事がないぐらいに作ってかければ、足はなくなるかもしれないが余分な肉は削られたりすることはないというわけだ。まぁ、すべて机上の理論だから必ず成功するというわけではないが……やるしかないというわけだ。」

「……ものすごい調べたんですね。」



一気にクルレスさんが饒舌になる。

娘を助けるために……全力になったのかな。

親子愛というものだろう。

シュナともこんな風になりたいな……

つい頭に浮かんだ事を振りはらい話に戻る。



「一応整理しようか。俺がお前に頼むのは、崩壊草を多めに持って帰る事。それの報酬は、あのツルハシ。まぁ、金貨一枚まで値段を下げると言ったがもうタダでいいだろう。」

「いいんですか?そんなに。」

「俺が持っていても無駄だしな。必要なら先に渡してもいい。それほどまでしても取ってきてもらいたいからな。」

「……信用してもらえるのはいいんですが……しないけど、持ち逃げなどをされる心配はしないんですか?」

「町中での噂もいろいろあるからな。約束を守る為だけに盗賊が戯れているとても危険な場所にひとりで乗りこんでボコボコにしたり、どこだったか分からないけど大波乱を起こしたりしたらしいな、しかも約束は絶対守るという噂までついている。」

「だれがそんな事を……」

「まあ、お前の目は少々濁っているように見えるものの純粋だからな。酷い目に会っているけど人の欲望などにのまれきっていないような雰囲気だ。」

「なんですかそれ……」

「これまでも、娘のために怪しい話まで手を出してことごとく騙されてきたからな……人の目を見れば、どんな事を思っているのかおおまかに分かるようになったんだ。皮肉なもんだな。」

「なぜ、皮肉なのかはわかりませんが、大変だったんですね……」



同情を誘う話だ。

さすがに大変な事になってる人をさらに困らせるとは……

泣きっ面に蜂というか……よく、気が持っているなと思う。

人を信用できなくなってもおかしくないのに……まだ僕たちを信用できるなんて……

なんだか、騙したりする気はないけど絶対に失敗してはいけないような気持ちになってくる。



「まぁ、いいか。このツルハシはお前が持って行け。ダンジョンでも使えるかもしれないしな。穴をあけて通れば少しだけでも楽になるかもしれない。お前が買おうとしていたロープとか回復薬もタダにしておくからその子が持っていた分だけ持って行ってくれ。あと、そこの本に崩壊草の取れるダンジョンについての取れる物や出現魔物、そして最近の噂などを全て調べてあるから持って行ってくれ。」

「分かりました。できる限り早く持ってきます。」

「猶予は……二、三カ月ぐらいだから、命にだけは気をつけろよ。あとは、最近は謎の魔物や、異常現象、人の消失なども起きているそうらしいから警戒だけは怠るなよ。」

「了解です。じゃぁこの辺で、早めに向かわせてもらいます。」

「本当に……本当に頼むぞ!」

「もちろんです。」



木の箱と分厚い本を受け取る。

そのまま、シュナと共に店の表から出ていく。



「お主、大丈夫なのか?」

「まぁ、断れる気がしないし、ちょっとクルレスさんに無茶言えば……ってあ!」



すっかりクルレスさんを探す事を忘れていた。



「シュナ、クルレスさんを探すぞ。」

「それじゃ、お主が忘れてしまったかと思ったぞい。」



手に持っていた本と箱を魔法袋に突っ込んで、町を歩く。

もう、三日ぐらい立ってるからクルレスさんは着いているだろう。

今日は、このまま探して……見つけたら事情を話して、ちょっとこの町で商売をしてもらえばいいだろう。



「じゃぁ行くか!」

「そうじゃな!途中で飯は食べるぞい!」



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