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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第一章 最弱異端児は・・・
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第十ニ話 心臓

 後ろから少し呆れの入った目で見つめられる。

 視線がすごい痛い……

 

 

「お主……ここにはなにがあるのじゃ?」

 

 

 薄暗い空間となっていて何があるかシュナにはまだ見えていないようだ。

 せっかくだし少しからかってやろう。

 

 

「奥にベットがあるよ。」

「まさか……お主……」

 

 

 冗談が通じていない。

 真に受けられても困る……

 頬を赤くしないでくれ……

 

 

「冗談だ。照明を付ければ見えるさ。」

 

 

 なんでだろう。

 シュナが少し残念そうになった。

 

 

 壁についているスイッチを押す。

 火属性魔法が発動し、周りを明るく照らす。

 

 

「うぉっぉぉぉっお主は……本当に何者なんだ……」

 

 

 シュナが絶句している。

 まぁそりゃそうだろう。

 見たことない魔法研究に使う道具がいっぱいあるからだ。

 初めて自分で付けた時もこんな感じだったのかな……


 

 この機械を見せた事はだれにもない。

 信用できない人を連れ込んで盗られたりしたら大変だからだ。

 幼馴染のサクラやマサトは信頼しているが、なぜか違和感を感じていまだに呼ぶ勇気が出ていない。

 それに対してシュナは僕自身にだいぶ信頼を抱いている……ようだ。

 だから、他の人にばらしたりはしないだろうと踏んだ。

 

 

「お前と同じようなもんさ。いろいろあるんだよ。」

「いくらなんでもこれは……国の最高技術がいろんなところにあるぞ。」

「まぁ、これもいろいろあってな。」

 

 

 こういうしかないだろう。

 とりあえず端の方に設置してあるソファの所に行き、座る。

 

 

「で、わらわにお主はなにをさせようとしておるのじゃ?」

 

 

 期待した目で見つめないでくれ。

 たぶん考えている事はしないから。

 

 

「魔法の研究の手伝いをしてほしいんだ。」

「なんでじゃ?魔法道具の研究ならわかるが、なぜ魔法・・の研究なんじゃ?」

 

 

 的確に僕の言った事の違和感を突いてきた。

 妙なところで鋭さを発揮する。

 ここは正直に言うべきだろう。

 

 

「僕はいろいろと変なところがあるんだ。」

「どんなじゃ?」

「魔法が使えないという事だ。」

「……なんじゃと!?」

 

 

 シュナがこれを聞いて再び絶句したようだ。

 信じられないという顔をしている。

 まぁ、当たり前の反応だろう。

 

 

 これまでに始めてこの事を聞いた人は絶句するか、または冗談だと笑い飛ばすかのどちらかだった。

 もはや、慣れてしまっている。

 

 

「待つのじゃ……なら……でも……もしや……」

 

 

 ぶつぶつと何かを呟いている。

 なにかものすごい考え事をしている。

 

 

 少したって、思考が落ち着いたようだ。

 

 

「お主よ。魔物と戦っていた時に剣を使っていたのは魔法が苦手どころか使えない……ということじゃろうか。」

「まぁそうだ。一応剣じゃなくてしっかりした銘があるからな。刀という。」

「疑うわけじゃないが一応念の為に調べてよいか?」

「ぜんぜん構わないよ。」

 

 

 シュナの目が赤く染まる。

 

 

「お主は本当に魔法が使えないのか?」

「あぁそうだ。」

 

 

 二度目なのでもう慣れた。

 

 

「……本当のようじゃな。でもなぜなんじゃろうか。」

「さぁ?自分にも分らないさ。」

 

 

 またシュナが考え出す。

 

 

「見た目も普通の人だから種族が違う事もないだろうが……親はしっかりとした人間じゃし……」

「あ、一応訂正していいか。僕はおばあちゃんに拾われた子なんだ。」

「なんじゃと!」

 

 

 これも予想外だったようで相当驚いているようだ。

 驚かせすぎで心臓に悪いだろうか。

 

 

「ふむ……調べてみないと分からんのう……お主ちょっといいか?」

「おぅ。なんでもいいぞ。」

 

 

 シュナの目が今度は青く染まる。

 

 

「ちょっとこう唱えてくれないか。『我、汝を信頼し体を通すことを許す。』」

「分かった。『我、汝を信頼し体を通すことを許す。』」

 

 

 唱え終わると同時に体の中に違和感が生じる。

 認識とは違い、体の中にもやもやとしたものが残った気がする。

 

 

 シュナは目を閉じていたと思いきやいきなり目を見開く。

 それと同時に体の中から違和感がなくなる。

 

 

「まさか……そんな事は……」

「ん?どうかしたのか?」

 

 

 なんか再び絶句している。

 驚きの連続で見飽きてきた。

 

 

「けど……そんなはずは……」

 

 

 なんかものすごい言いづらそうにしている。

 

 

「なんだ?言ってくれないとなおさら不安になるんだけれど……」

「本当にいいのか?」

 

 

 そう言われるとなおさら不安になる。

 

 

「分かった。覚悟はした。」

 

 

 シュナも意を決したようだ。

 

 

「お主の……心臓が半分ないのじゃ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……え!?」

 

 

 予想外すぎる言葉。

 体に悪魔が取り付いているとか言われた方がまだ信憑性がある。

 だって、心臓が半分になっていて生きていられるはずがないのだ。

 

 

「こんなところで冗談を言わないでくれ……まじでビビる。」

「いや、本当じゃ。」

 

 

 シュナの目がとても真剣になっている。

 これが本当だったら……

 

 

「お主よ。人間の体のつくりは知っているか?」

 

 

 いきなり話題を変えてきたようだ。

 とりあえず答えておいた方がいいだろう。

 

 

「あぁ一応。」

「なら心臓の役割を知っているじゃろうな。」

「えっと、体中に血液と魔力を送り出す……だっけ。」

「そうじゃ。じゃあ血液と魔力が送り出すところが別々になっているも知っているじゃろうな。」

「あぁ。」

「そして一般では血液を送りだすところが血心臓、魔心臓といわれているとこまではいいじゃろうな。」

 

 

 当たり前の事を聞かれて戸惑ったが一応答えられた。

 

 

「お主はその半分、魔心臓がかけておるのじゃ。」

「えぇ!?なんで!?」

「そんなのはわらわにはわからん。だが、言えるのはぽっかりとその場所が空白になっている事だけじゃ。」

「えぇぇえぇぇ!!??」

「周りに傷も見当たらないところからしてなにかしらお主に起きたということじゃろう。」

 

 

 一気にいろいろ言われて頭がオーバーヒートしそうになった。

 

 

 いったん整理しよう。

 僕が魔法が使えないのは、心臓の魔力に関する部分がぽっかり無くなっているから。

 そのため体に魔力がいきわたらなくて魔法が使えなくなっている。

 空白になっているってことは昔はあったって事。

 

 

「一ついいか?」

「なんじゃ?」

「魔心臓だけが無くなるってことはあるのか?」

「想像もつかないじゃろう。知っての通り血心臓と魔心臓は密着にくっついておるのじゃから剣や魔法などで破壊しようとしても血心臓も同時に傷つけてしまう事が多いのじゃ。だから知ってる限りではこんな現象は初めてじゃ。」

「そうか……」

 

 

 嘘をついてるとは思えないがあまり信じたくなかった。

 悪魔が憑いているとかだったらお祓いで治すなどの望みがあったが、体自体が傷ついていると治しようがない。

 

 

「まぁそこまで気を落とんじゃなかろう。禁術の中に神と契約して体の欠損部位をなおす魔法があったはずじゃが……」

「使っちゃだめだろそれ!」

 

 

 ノリツッコミは気分が沈んでも健在である。

 

 

「もうこの話はここまでにしよう。これ以上聞くと絶望しそうだから。」

 

 

 すでにしているのだが……

 

 

「そうじゃな。では一つ聞いていいじゃろうか?」

「ん?なんだ?」

 

 

 再び真面目な顔に戻って聞いてくる。

 

 

「お主はなんで魔法を使えないのに研究しておるのじゃ?」

 

 

 来るかなと思っていた質問がやってきた。

 思ったより遅かったような気がする。

 

 

「いくつか理由はあるんだが、その中で一番大きいのがあるとすれば……。」

 

 

 少し間を持たせかっこつけようとする。

 決め台詞はしっかりと言いたい。

 少々真面目な顔にして・・・

 

 

「彼を知り己を知れば百戦殆からず……だろ」

 

 

 ふっ決まったようだ。

 

 

「それだけじゃ意味がわからないぞ。」

 

 

 盛大に滑ったようだ。

主人公の体の欠陥発覚!!


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