第二十五話 父親
ペラペラと本をめくりながら、目的のページを探す。
基本は、奴隷、解呪、解除の三つの単語が見つかったらそこで止めている。
お、これは解除……
えっと……無属性魔法の精神干渉の解除……
恐ろしい事は書いてあるなと思いながら、次のページへ移動する。
「あれ、サクラ。仕事が早いね。」
「あんまり、時間がないからね……早めに見つけた方がいいし。マサトはいつここから出るの?」
「それなんだけど……その作業も手伝うって事で、泊めてもらう事になったんだ。」
「……まぁ、いつもの事だからいいけど。隣の部屋がいつものようにあいているからそこを使うのよね。」
「もちろん、あ、そこに解除って文字が……」
「まさか!……これは違う物の解除だわね。」
ページをペラペラとめくりながら、目を働かせ続ける。
なかなか当たりが来ないわね……
「読めば読むほど興味深い物が出てくるわね……」
「気を取られすぎないようにね……あ、これは!」
探し始めて数時間経っただろうか。
ついに、マサトが見つけてくれたようだ。
「奴隷紋の解呪方法……完璧だわね。」
「方法は、簡単にまとめると特定の物を正しい量で混ぜ合わせて、それを奴隷紋にかければいいようだね。とりあえず、一つ一つ集めていこっか。」
「そうだわね。たぶん、この辺りの物はお父さんの仕事場にあると思うから。」
「本当に?これほとんど相当貴重な物ばかりだし、値段も相当な物だと思うよ。この相当強いボス級魔物の牙をすりおろしたもの何て、めったに手に入らないだろうし。」
「そこも安心していいわよ。魔物のドロップはいっぱいあるから、どうせ一つはあるだろうし。」
お父さんの仕事場に二人で向かう。
「お父さん、いる?」
「おう!いるぞ!」
元気な声が響き、仕事場の奥からお父さんが顔をにょきりと出す。
見た目は普通のごく一般的なお父さんなんだけどね……研究熱心で、食事よりも仕事って感じなのよね……
仕事よりも、私たちの家族だんらんを優先しているところから、文句も言えないし……
「おぉ、マサト君か。いらっしゃい。」
「おじゃましています。」
「で、何の要件かい?」
「この材料がいろいろあって必要なんだけどある?」
「どれどれ?奴隷紋の解除方法?」
少しお父さんがいぶかしむような顔になる。
「いろいろあって必要になって……」
「まあ、自由にやらせた方が成長は早いっていうからね。犯罪でなければ自由にしなさい。時には、グレーゾーンを走り抜ける事も大切だから。魔物の牙に……蝙蝠の羽……たぶん、あると思うけど、ちょっと探してくるわ。」
そう言って、お父さんが棚などをごそごそとやり始める。
この量の物を……どうやって管理しているんだろう。




