第二十三話 食卓
三人で家の食卓へ向かう。
食卓は家の中で一番大きい部屋で、机も相当大きいのを使っている。
まぁ、理由は私の家では使用人もいっしょに食事を取る事にしているからだ。
普通の家では、奴隷は絶対に同じ食卓につくことはなく、使用人が同じ食卓につくのも普通ではないらしい。
まぁ、ちいさい頃からこの家で育ってきたから、価値観が変わっているという事だろう。
「あら、遅かったわね。」
「ご相伴にあずかります!」
「いやいや、変に気張らなくてもいいわよ。さぁさぁ、座って。」
大きな横長の机には、数多くの食事が並べられていている。
確かに豪華な気がする。
大きな鳥の丸焼きや、焼き魚にヘルシーなサラダまでいろいろそろっている。
全部で十……十五種類ぐらいあるようだわね。
大きな皿と食器が一つ一つのイスの前に置かれている。
イスまで歩いて近づき、ゆっくりと腰掛ける。
マサトも同じようにイスに腰掛けるが、ユウトは突っ立ったまま動いていない。
「ユウト。座っていいんだよ。」
「だって……僕は奴隷だし……」
「ここは、奴隷とか関係ないわよ。これから時間の許す限り、自由に過ごしてもらって構わないわ。」
母さんが助け舟を出すものの、まだユウトは戸惑っている。
仕方ないわね……
「うわ!」
「つべこべ言わずに座る!」
肩を掴んで、軽く持ち上げる。
そのまま、イスの所まで運び強制的に座らせる。
「でも……こんな薄汚いのに……」
「気にしない気にしない!今も十分きれいだし。」
マサトからの助け舟で少しだけ落ちついたようなユウト。
「これまで、大変だったんだからたらふく食べて元気出しなさい!」
「そうよ。食べれるときに食べておかないと本気が出せないわよ。」
気が付いたら使用人の人たちも既に席に着いて、軽い談笑をしている。
もう、頃合いかな。
「じゃぁ、母さん。」
「いくわよ!この世の全てに感謝をこめて、いただます。」
「「「いただきます。」」」




