第二十二話 解読
「ユウトはどう?」
「ユウト?」
「勇気という言葉の最初の二文字と、度胸の最初の一文字を合わせてユウト。濁点が無くなっているのは気にしないでね。」
「ユウト……僕の名前はユウト……?」
「うん、それでよし!」
とりあえず、名前が決まったから次は……
「おじゃましまーす!」
「あら、マサト君。いらっしゃい。お久しぶり。」
「あ、サクラのお母さん。お久しぶりです。」
「どうぞどうぞー。サクラはこっちにいるわよ。」
「どうもです。」
足音が少しずつ大きくなりながら接近してくる。
マサトが来るのは意外と早かったわね……
扉が開き、手に大きな本を持ったマサトが入ってくる。
「あれ。もう手なずけたの?」
「手なずけたって……人聞きが悪いわね……」
マサトに名前の事とかを簡潔に説明する。
「というわけで、この変な男の人はマサトって人。仲良くしてあげてね。」
「よ、よろしくです。」
「こちらこそ、よろしく。」
簡単な挨拶が終わったというところで、本題に入る。
「マサト、その本に奴隷紋を破壊するために必要な情報が乗っているの?」
「うん、でも大変そうなのはみれば分かるでしょ?」
「このページ数は……」
いかにも千ページ以上はありそうな物。
これは、探すのも一苦労だわね……
「まぁ、始めるしかないよね。」
「そうだわね。」
ペラペラと紙をめくる音が響きわたる。
退屈しないように、ユウトには本を貸してある。
二つの本の音が響き渡り、きがついたら外の風景もすこしずつ暗くなっている。
「サクラーご飯よー!みんなおりていらっしゃい。マサト君も!」
「はーい!今行く!」
「えっと、僕も行っていいの?」
「もちろん。マサトはいつもの事だしね。」
「ごちそうさまです。」
「まだ、食べてないからね……」




