第十九話 料理
なんとなく本日二話目
「あら、サクラ。お帰り。」
「ただいまー……」
家の居間に入った瞬間に気が抜けて、ふかふかのクッションに飛び込む。
なんだか、何もかもどうでも良くなってくる……
って、うとうとしている場合じゃない!
クッションから体を跳ね起こし、同じようにごろごろとしている母親の方を向く。
母さんって……私を産んだようには見えないような若さだね……
ちょっとうらやましくなってくる。
「母さん、ちょっといい?」
「どうしたの?サクラ。」
「ちょっとわけあって、奴隷の男の子を連れて来……」
「いいわよ~全然かまわないわよ~」
「……せめて最後まで言わせてよ……」
あまりにものほほんとし過ぎている母さんに少し呆れが出てくる。
まだ、問題はあるのに……
「その奴隷の子が……今も奴隷なんだけど……」
「それは、大変ねぇ……奴隷紋を作動させたりしたら大変じゃない。」
少しだけ母さんが顔をあげて、こちらを見る。
やっと、事の深刻さを理解したようだわね……
「ちょっと、くわしく聞かせてほしいわね……」
「うん。えっとね……」
簡単にここまでの経緯を母さんに教える。
主に、カケルが僕らに標的を当てて襲おうとしている事。
奴隷の子を使って僕らを殺そうとしてきた事。
その奴隷の子を無力化したけど、可哀そうに思えて連れてきた事。
そしてタイムリミットが……明日という事。
「それは、大変だわね……とりあえず、今日はゆっくりさせてあげなさい。ご飯は少し頑張るわ。あとは……どうせサクラの事だから何か企んでいそうだし、大丈夫だわね。」
「ありがとう……」
「まぁ、明日の知能戦の為に高めのご飯を多めに作る予定だったからちょうどいいわよ。」
ゆっくりと立ち上がり、母さんは料理場へ向かう。
使用人に任せるのが普通らしいのだが、料理好きなので使用人と協力して作っている。
イツキのおばあちゃんほどではないけど……美味しいことには変わりがない。
「あと、あの子の様子はちゃんと見ておきなさいよ。暴れたりしないようにね。」
ちなみに、この番外編は途中でいったん中断します。
だいたい、知能戦直前ぐらいです……
第三章は二部構成なので、その合間に続きを入れる予定です。
まぁ、オーバーラップの結果しだいでもありますが……




