第十八話 屋敷
家まで、男の子を担ぎながら少し速足で歩く。
見た目から考えられない軽さに、悲しみを覚えながらも家までの道を突き進む。
「すやぁ……」
すやすやと安らかな声が背中に響き、心が少しだけ和らぐ。
これまで、気を貼り続けた反動からかぐったりとしながらも安らかな寝顔が横に見える。
とりあえず、ぼさぼさとしてしまっている髪の毛を少し触って軽く調えながら、起こさないように歩くスピードを落とす。
髪の毛をいじり続け、気が付いたら家の門の前。
手で押しあけ、家の扉の前までいく。
私の家は、カケルほどではないけど、少し裕福だ。
大き目の家で、一応使用人もいる。
まぁ、奴隷を好まない人が多いので奴隷は一切いないが。
「ただいまー。帰ったわよ……」
「お帰りなさいませ。」
出入り口で掃除をしていた使用人がこちらを見つけて挨拶をしてくる。
背が高めのいい美貌の女の人で、俗に言うメイド服をいうのを身にまとっている。
メイド服って露出が少ないし、なのに可愛いといういいものだわね……
これまで個人的にきてみたいと思って、着ながら掃除をした事がある。
可愛さと小さなポケットの機能美があってなかなか良いものだったのを覚えている。
だが、この使用人の頭には特徴的な物が存在している。
立派で大きい……ウサ耳だ。
私の家は、過去に獣人に助けてもらった事があり、獣人を大切にする事になっている。
迫害されている獣人を招待したり、奴隷になっていた者を買い取って使用人として働いてもらっている。
もちろん奴隷紋が付いている人もいるが、作動させた事もなく、実質的に形骸化している。
「あら、その子は……」
「あなたたちと同じ拾ってきた獣人よ。わけあって匿いたくて……とりあえず、疲れているみたいだから寝床の準備をしてもらっていい?」
「事情は良くわかりませんが……了解しました。とりあえず、その子を私が持ちます。」
「迷惑をかけるわね……」
「いやいや、大丈夫ですよ。あなた達のおかげで私達獣人が生活できているんですし。」




