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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第一章 最弱異端児は・・・
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第十一話 説明

「僕はそんなこと決めてない!まだ、自由がいい!」

「まぁまぁいいじゃないの。こんな可愛い子が相手にしてくれてるのだからぁ」

「可愛い子……」

 

 

 おばあちゃんがにやにやしながら言うとシュナは少し嬉しそうに照れている。

 なんか可愛く見えてしまった。

 

 

「まだ、そんなのはいやだぁ!ロリコンにはなりたくない!!」

「大丈夫だ、問題ない。」

 

 

 全然大丈夫ではない。

 もし僕がロリコンだと学校で知れ渡ったら大変な事になる。

 

 

「もう……お婿にも学校にもいけなくなる……。」

「大丈夫じゃ!わらわがもらうから!」

「問題大ありだ!このやろう!」

 

 

 もう困ったもんだ。

 

 

「まぁ冗談はここまでにしておいて。」

 

 

 おばあちゃんが仕切りなおす。

 

 

「シュナよ。あなたは何歳なんだ?」

 

 

 そこを突いてくるとは思わなかったようでシュナは頭を悩ませているようだ。

 見た目は12歳の少女だ。

 だが、本人いわく20歳のぴちぴちの大人だそうだ。

 これを普通に言っても信じられないだろう。

 自分でさえ半信半疑なんだから。

 

 

「えっと……わらわは見た目とは全然違うが実際は20歳なのじゃ。」

 

 

 だめもとで言ってみたようだ。

 

 

「ちょっと特殊な事情で体が幼い見た目になっておるのじゃ。」

「そうか……」

 

 

 おばあちゃんも悩んでいるようだ。

 半信半疑なのは同じようだ。

 12歳で伴侶を探す旅には普通は出ないと思う。

 だけど、20歳っていうのも信じられない。

 

 

「実演してもいいのじゃが……」

 

 

 とても嫌な事を思い出したような顔で呟く。

 その顔を見て少し前の記憶が脳裏をよぎった。

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「そんなことよりなんでこんな山道を歩いているんだ。伴侶を探すなら普通は街中で合コンを探すだろ!」

「………」

「どうした?」

「……わらわを見てかんたんにプロポーズしてくるやからは何人かいたぞ……」

「ならいいじゃないか……」

「だが!わらわの事情を話した途端馬鹿にしたような目でこっちを見たり、それを主張し続けて証拠を出したりしたら化け物のように扱ってくるんだぞ……」

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 町に連れ帰っている途中の会話。

 彼女自身の悲しい過去を物語っていた。

 

 

 あの言葉セリフからして証明することは可能。

 だが、それによって彼女が苦しむことになる。

 または、人が出来るようなことではない事が起こせる。

 それによって人が怯えるような反応をするということだろう。

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「お主は……穢れた血についてどう思う……?」

 

 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 この言葉セリフは自分自身はただの人ではないと表していたのはその時に分かった。

 別に自分はなんとも思わない。

 本人に罪があるわけではない。

 

 

 だが、他の人から見たらどうだろうか。

 獣人族の場合、大丈夫な人もいるだろうが穢れた物として見る人もいる。

 それだけでも辛いだろう。

 

 

 だが、シュナは獣人族である事を一度も肯定しなかった。

 ”穢れた血”としか言っていない。

 獣人族ではない。

 が、人間でもない。

 というところだろうか。

 

 

 これでいくつかの出来事に理由がつく。

 ウルフとの会話が成立した事。

 使い魔が複数存在していること。

 嘘を見抜く能力を持つ事。

 これらもこの仮説が正しければ証明できる。

 

 

 穢れた血の正体は完全には分からない。

 だが、いくつか候補を出すことができる。

 ”魔族”

 本などでしか読んだことはないが、悪を具現化した生物で教会の信じる神や天使への反逆者として扱われている。

 魔物などを操って、人などの生物を襲う事もあるらしい。

 この魔族の特徴は背中に黒い翼があり、強力な破壊魔法を使うらしい。

 この魔族との契約を結び代償とともに強力な力を使う事が出来る黒魔術というものがあるが、これは国から禁術指定されている。

 俗に言う禁断の魔法ってやつだ。

 だが、この可能性は低いだろう。

 背中に翼が見当たらないし、人を襲う様子も見られない。

 どちらかといえば人間らしい生活を営んでいるように見える。

 

 

 今の状態じゃなにも分からない。

 本人の口から聞くしかないだろう。

 

 

 おばあちゃんはとても温和な人だから、獣人だろうがなんだろうがさげすんだり差別したりはしないだろう。

 だが、あってから一日も経ってないおばあちゃんをシュナが信用できるかわからない。

 

 

「シュナよぉ~別に言うのがつらいなら言わなくてもいいからねぇ。私は別にあなたがなんだっていいのよぉ~私が信用できるようになったら話してくれればいいからぁ~」

 

 

 おばあちゃんもシュナの様子から理解したようだ。

 シュナは予想外の対応に涙腺が破壊されそうになっている。

 

 

「じゃ、じゃあお言葉に甘えさせてもらうのじゃ……」

 

 

 涙目になりながらもしっかりと答えた。

 

 

「おばあちゃん、シュナと一緒に先に部屋に戻ってるね。後から布団もう一つ持ってきてね。」

「大丈夫だ。問題ない。」

「まって!何の事!?」

 

 

 シュナとおばあちゃんがアイコンタクトで会話をしているようだ。

 おばあちゃんの表情が変態親父のような顔になっているのは気のせいだと思いたい。

 頼む……にやにや顔でこちらを見るのはやめてくれ……

 

 

 おばあちゃんの視線から逃げる様にして二階へ駆け上がる。

 もちろんシュナも一緒だ。

 大丈夫。間違いは犯さない覚悟だ。

 ……たぶん。

 年齢(見た目)が対象外だ。

 

 

 入ってからいつもどうり魔法実験のために『認識』を始めようとして思いとどまる。

 いつもなら一人だが、今回はシュナが一緒にいるのだ。

 

 

「シュナ。今から見る事は秘密にしてもらえるか。誰に対しても言うんじゃないぞ。」

「了解じゃ。夫婦の秘密事ってわけじゃな。」

「それは違う。」

 

 

 一応注意だけはしたが、効き目は分からない。

 まぁ言いふらす事はしないだろう。

 最終手段は離婚(まだ結婚していない)をほのめかすことを言えば言いふらしたりはできないだろう。

 

 

「お主……なんかすごいゲス顔になっておるぞ。」

 

 

 しまった。計画がばれる所だった。

 いったん思考を切り替えて、魔法道具を作動させる。

 

 

認識スキャン

 

 

 体に軽い電流がはしる感覚。

 いつもの事だ。

 

 

「ありゃ。背中にぞわっときたぞい。」

 

 

 シュナにも認識が通ったらしい。

 目の前に紫色の窓が現れる。

 これまでになかった状況だ。

 

 

 そこを見ると、

『認識範囲内に登録対象者以外の人物の存在が確認されました。作業を続行してよろしいでしょうか。』

 二つの選択肢が出ている。

 

 

 登録していない人が空間にいたからだろうか。

 ほとんど迷うことなくYesのボタンを押す。

 するともう一枚紫色の窓が現れた。

 

 

『空間内にいる全ての人物を登録しますか?』

 

 

 これはすごく迷う。

 シュナの事はまだ完全には理解していない。

 つまり、完全には信用しきれていないというわけだ。

 だが、シュナは僕自身をだいぶ信頼してくれているようだ。

 ちょっとは応えてあげないとなと思いこれもYesを押す。

 

 

『登録しています……登録完了しました。』

 

 

 数秒で完了した。

 いつものように目の前に扉が現れる。

 

 

「これは……なんじゃ?」

 

 

 少し驚いたような声でたずねてきた。

 

 

「少し変わった魔法道具さ。空間生成魔法が使われているようなんだ。」

 

 

 扉を開いて中に連れ込む。

 これからやる研究に胸が高鳴る。

 この少女の協力があれば、研究はさらに進むだろう。

 

 

「お主……顔がすごいニヤけておるぞ……わらわに何をしようというのじゃ。」

 

 

 なんか残念なものをみる目で見られた。

 好感度が少しながら下がった様だった。

ほのぼの系はいったん終了……かも

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