第十三話 強襲
午後の授業もなんなくこなし、いつもの帰路に着く。
マサトと共に、ゆったりと道のりを歩む。
「そういえば、サクラは明日の大会の準備はした?」
「準備って……昼の時にもいったけど、心の準備なら終わったわよ。」
「あ、二度目だったね、ごめん。」
「最近、マサトはボケた?なんか覇気がない気がするわよ。」
「イツキが居なくなってからちょっと調子が出なくてね……」
マサトが少し悲しそうな声を出す。
「明日は、大丈夫なの?調子が乗ってないと難しいかもしれないし。」
「たぶん、大丈夫。ちょっと、今日は頑張るから。」
「頑張るって……何をやるのよ……」
「ちょっとね、楽しみにしていた物が届くから今日でそれを作り上げるんだ。それをやれば、大抵うまくいくようになるからね。」
「なんだか怪しいわね……」
「なぁなぁ、そこはあまり気にしてもいけないところだし。っておっと!」
マサトがいきなり魔法陣を展開し、起動可能状態になった直後、起動して魔法を発生させる。
赤い玉が発生して、だいぶ早い速度で飛んでいく。
それは何者かに衝突し、緑の光をまき散らしながら吹き飛ばされていた。
……何が起きた?
「危ない危ない……」
「……何が起きたのか全く理解できないんだけど、何をしたの?」
「刺客だと思うよ、どうせカケルの。イツキへの攻撃ができなくなったから、僕らにって寸法だと思うけど。」
「あの緑の光は……」
「その刺客が構築していた魔法陣の残骸だと思うよ。全く、面倒なことばっかりしているね、あいつは。」
マサトって意外と強いわね……
冒険者選定大会にでても良かったんじゃないだろうか。
まぁ、それだとイツキと闘うことになってそうだけど。
「とりあえず、この人をこうやってと。」
無駄のない動きで、男の首筋に打撃を与える。
パタリと気絶する男……
ほとんど、力を入れているように見えないのに……
マサトって力が弱いんじゃなかったっけ。
第三章の予告10
強さと同時に弱さも……




