第十二話 給食
つまらない授業を淡々とこなし、給食の時間になる。
学校の物はなかなか絶品だから、外部からの人気も高い。
今日は……ビーフシチューわね……
この町の名産物で勇者が伝えたといわれた料理の一つだ。
まぁ、この町で食べられている物の大半が勇者産だけどね……
全員に、料理がいきわたったところで給食は始まる。
班のメンバーでいつもは食べるルールなのだが、同じ班のメンバーだったイツキとマサトで三人組の様な扱いを受け、同じエリアの中に大きな壁ができているような感じだった。
今は、イツキがいないので、マサトと二人きりだ。
「サクラ、このサラダいる?僕、これちょっと苦手で……」
「なら、ビーフシチューの肉といっしょならいいわよ。」
「えー、ちょっとだけならいいよ。」
たわいのない会話を繰り返しながら給食の時間も過ぎていく。
マサトと話すのも楽しいのだが、イツキがいなくなってからなんだか味気ないような感じがする。
「そういえば、明日の大会の心の準備はどう?」
「私はまぁ、頑張る予定だけどね。」
「僕も全力で頭を動かせるように、親に朝ごはんを多めに作ってもらう予定なんだ。」
「それもいいわね。後で親にお願いしてみようかしら。」
「それにしても、一つ気がかりな事があるからね……」
「何?なんかあるの?」
「これまでは、ちょっとだけルールの隙とかを突くのが得意なイツキがいたけどね……」
「なによ、私がバカだと言いたいの?」
マサトにだけは言われたくない。
あんな馬鹿な事をしていたんだから……
「そう言うわけじゃないんだ。サクラだって純粋に頭もいいし。けど、僕らはルールに乗っかった状態での戦いがメインでしょ。イツキの様に、外に片足を突っ込んだ状態でできる人がいないよね……」
「たしかにそうだわね……」
「さらに、そこまで友好的な人が多いわけでもないし、どうしようもないでしょ……まぁ、全力でやるしかないからね。」
食べ終わった食器を片付けて、再び本を読み始める。
同じように、マサトも本を読み始める。
少しだけ……暖かく平和な時間が流れた。
第三章の予告10
予定ですが、とっても長くなりそうなので、前後篇に分けるかもしれません。
全150話ぐらいかな……




