第十話 冷却
「えっと……飲む?」
「振って、シュワシュワが無くなったシュワップなんで美味しくないでしょ!いらないわよ……」
「そっか……」
マサトが残念そうな顔をしながら、私に向けていたまだ開けていない甘い方のシュワップをしまおうとする。
「って、ちょっと待って。まだ袋がたわんでいるけど、何か入っているわよね。何が入っているの?」
「これ?大した物じゃないよ。」
そういって、袋の中からまた、袋を取り出す。
その中には……
「一応、シュワップを冷やすために入れて置いた氷なんだけど……あれ?なんでサクラは小刻みに震えているの?」
「まーさーとー!」
そろそろいらっときてしまった。
最初っから……最初っから……
「最初っからそれを出しなさいよぉ!」
「うわぁ!サクラが怒ったぁ!」
マサトの頭を一喝し、氷を取ってねんざしたところに当てる。
これは……暑いからこそ、ひんやりとしたのが心地よく、ちょっとした贅沢の様に感じる。
気持ちいい……
「そういえば、マサトは試合はいいの?」
「先生にサクラの介護をしてと言われてね、明日の大会の為にも早く治してもらわないと。」
「マサトも明日の試合は出場するんだったわよね。」
「うん、頑張って優勝したいな。賞品も毎回変わるけどいいものが多いらしいし。」
話をしている間にコートの方で試合が始まる。
私たちが抜けてから、全然点が入れられていない。
やっぱり、私達があのチームの中で相当重要になっていたのだろう。
ボールもろくに止められてないし、頑張っている人が旨く飛ばしても、他の人が変な方向に飛ばしたりして全然ダメになっている。
……大丈夫かな……
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