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最弱異端児は夢を見る  作者: 時雨
第一章 最弱異端児は・・・
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第十話 食卓

※飯テロ注意

「というわけでこの人がその道で死にかけていた少女なんだ。」

 

 

 あの後無罪を証明しながら、親に事情をかいつまんで説明した。

 ちゃちゃを入れられたりなどなかなか苦労したが、なんとか説得することに成功した。

 いろいろおばあちゃんの危ない面も見てしまったが……

 ついでに食事を出せないかとダメ元で頼んでみた。

 無理だったら自分で買い出しにいってなんとか調達する予定だったが、余裕でOKがもらえた。

 ついでに我が家での宿泊許可が出た。

 まさかここまで行けるとは思わず、目玉を落としかけたのは記憶に新しい。

 

 

「あらぁ~可愛い子ね~。食べちゃわないようにね~」

「食べないからね!絶対に!そしてそんな趣味ないからね!」

 

 

 以外とノリの良いおばあちゃんである。

 その横で黙々とものすごい勢いで食べつづけるシュナ。

 

 

「この飯旨いのぉ。どうやって作っておるのだ?」

「このカレーライスね~これにはつぶしてバラバラにしたスライムグミをいれてあるのよ~味の違いが分かるのはさすがねぇ~」

「それほどでもないのじゃ!スライムグミはとってもおいしかったから癖になっちゃったようじゃ!」

「スライムグミって本当は高級食材だけど、イツキがポンポン取ってきてしまうからねぇ~」

「お主、そんなにすごいのかぁ」

「いやぁそれほどでもぉ~ないけどなぁ~」

 

 

 褒められるのはまんざらではない。

 恥ずかしいけれど。

 

 

「モグモグ……あれこのサラダも歯ごたえがすごいいいのぉ。噛めば噛むほど味がでるし、歯の健康にも良さそうだのぉ。」

「これはねぇオークの肉を使ったサラダなのよぉ。この材料は流通量も多いけれど味が濃いから人気は少ないのよねぇ~だから安い値段で買えるし調理方法さえ分かればと~っても美味しいのに。」

「オークの肉ってあのモンスターのことじゃろうか?」

「あ!!!」

「どうしたのじゃ?」

 

 

 大変なことに気が付いてしまった。

 

 

「オークの肉持って帰るのを忘れてた!!!」

「あんなに大量のものどうやって持って帰るのじゃ?」

「魔法袋があるからだ。」

「いくら魔法袋でもあれは入らないじゃろう。そして思ったのじゃがなんでそんな高級品を持っておるのじゃ?それぐらいの物持っていたら余裕で王都に住めるじゃろう。」

「イツキはいろいろと規格外でねぇ。いろいろなものをもっているようでねぇ。」

「この魔法袋はいろいろと特殊でね。内容量がすごいんだよ。」

「へぇ、すごいではないか。」

 

 

 感心されても自分で入手したものではないのであまり嬉しくはない。

 

 

「せっかく、いっぱい倒したのに……」

「あぁいいじゃないのぉ?まだオークの肉の在庫はたくさんあるのだから。」

「やだやだぁ!もっといっぱい食べたい~!!」

「しょうがないわねぇ。」

 

 

 キッチンにもどってごそごそとなにかやりだした。

 なにかジュワジュワと音がしている。

 5分ぐらい経っただろうか。

 

 

「これでいいわよね。」

 

 

 キッチンからもどってきたおばあちゃんが手にしていたのは。

 

 

「それは……オーク肉のステーキ!」

 

 

 オーク肉はとってもかたい。

 かみちぎるだけでも一苦労する。

 おばあちゃんはそれを特製のたれに浸すことでやわらかくしている。

 だが、ステーキだとそうはいかない。

 たれをつけて焼いてもだめな事はないが、あれはサラダと一緒に食べる事で美味しくなるため、焼き肉向きではない。

 オーク肉の調理は焼いてる途中にほんのわずかな間だけやわらかくなるタイミングがある。

 それを見極めて、特製の焼き肉のたれ(自家製)をかけることで、中まで味がしっかりとしみこみなおかつやわらかくなり、絶品へと変わるのだ。

 本来ならこれが出来るようになるまで何十年も修行しなければいけないほどの難易度だ。

 だが、さすがは料理のプロ。

 たやすく作り上げてしまった。

 

 

「これは、美味しそうじゃのう。」

「五分クオリティだからそこまで味は保証しないけどねぇ。まぁ失敗はしてないよぉ。」

 

 

 さっそくかぶり付く。

 柔らかすぎず硬すぎずの絶妙なバランスの歯ごたえに噛めば噛むほどあふれてくる肉の味。

 それに特製のたれ(中身は不明)が混ざり合って最強のうまみを生み出している。

 ジュワジュワと音を立てているたれもそこから出ている匂いも食欲をそそる。

 

 

「やばすぎる……こんなの初めてだ……」

 

 

 おばあちゃんはいつもオーク肉でサラダばかりを作っているので、このステーキを作った事はない。

 こんなものまで作れるとは予想外だった。

 

 

「これに使ってるたれの材料が意外と高くてねぇ。なかなか作れないのよぉ。だから今日だけは特別ってこと。」

 

 

 これは毎日でも食べたい。

 

 

「これは……うますぎて感想が出てこなくなってしまったようじゃ。」

 

 

 シュナも絶句してるようだ。

 

 

 そのままものすごいスピードで食べ続けてあっという間に完食した。

 

 

「「ごちそうさまでした。」」

「お粗末様でした。」

 

 

 長年の慣れかちゃっちゃと手際よく片付けていく。

 手がぶれて見えるのは気のせいではない気がする。

 

 

「手伝った方がよいのだろうか?」

「いや、手を出さない方がいい。体が吹き飛ばされるぞ。」

「なんでだ?」

「あの速さにぶつかったら……」

「「骨が折れるな(じゃろう)。」」

 

 

 変なところで息が合った。

 机の上からの高みの見物は罪悪感を感じるがしょうがないだろう。

 おばあちゃんが即興で作ったデザートはとても美味しい。

 スライムグミが好物と聞いて作ったものの様だがゼリーがここまであうとは思わなかった。

 スライムグミの独特な甘みがゼリーの透き通るようななめらかな甘さと旨く混ざっていて絶妙なバランスになっている。

 中に入っている果物、オランジの酸味やガンリのみずみずしさがその甘さをさらに引き立てている。

 ゼリーのプルプルの食感がガンリの固めの歯ごたえ、スライムグミの程よい硬さの歯ごたえと合わさってとても素晴らしい出来になっている。

 見た目も宝石の詰め合わせの様で美しく作られている。

 

 

「これもとっても旨いのぉ。どうやったらこんな風に作れるのかのぉ。」

「おばあちゃんはとても料理が上手だからね。絶品だよ。」

 

 

 かたずけている様子を眺めながら贅沢にデザートを食べている。

 もはやおばあちゃんの腕にあらためて感心するしかなかった。

 

 

 片付けも終わり、食卓に飲み物が並べられる。

 

 

「シュナちゃんはコーヒーがいい?紅茶がいい?」

「イツキが飲んでいるのはなんなのだ?」

「えっとねぇ、コーヒーに砂糖を多めに入れた甘めの飲み物だよ。」

「しょうがないじゃないか!苦いのはそこまで飲めないんだから!」

「ならば、わらわはコーヒーをいただこう。お主に威厳を見せつけてやる!」

「いや、子供が意地張っても後々後悔するぞ。」

「大丈夫だ、問題ない。」

「それ前にも言ったよな……」

 

 

 出されたコーヒーをとても渋い顔をしながら飲み干す。

 目の端に涙が浮かんでるのが見えている。

 

 

「大丈夫じゃ……おいしかったぞ……」

「意地張ってもここまで来たら無駄だぞ……」

 

 

 その根性に拍手を送りたい。

 涙目になっているが。

 

 

 無言でおばあちゃんが出したお絞りを受け取り顔を拭いている。

 威厳もなにも無くなっている。

 

 

 ちょっと深呼吸して持ち直したようだ。

 

 

「少しお話があるのじゃがよろしいか?」

 

 

 急に改まった風になった。

 

 

「息子殿を婿に下さらないか!」

 

 

 爆弾発言を投下された。

 

 

「待て、僕は一言も同意していない。」

「あらあら大歓迎よ。じゃんじゃん持って行きなさい~」

「まって、おばあちゃんまで共犯!?」

 

 

 これから大変そうだ。

夜中に飯画像を見てむしゃくしゃしてやってしまった。

後悔はしていない。

※誤字訂正 鉱物→好物

※ガンリの正体は19話の後書きへGO(書き忘れただけ)

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