第一話 登校
番外編(サクラ編)です。
いつもと変わらない道をいつもと変わらない足どりでいつもと変わらない時間で歩み続ける。
楽しくないわけではないが、楽しみが半減してしまった学校に行く気はそこまで無い。
まぁ、マサトが悲しむかもしれないから表には出さないけど。
「で、マサト。なんでいつも私と同じ時間にきているわけ?」
「それは、イツキがいなくて暇なんだよ……冒険者になったから、この学校に残っているのは僕たち二人だけだし。」
「だから、いつも早くに登校している私と同じ時間に通うために最近早起きを始めたってわけね。」
「なんでそこまで分かったの!?まさか、新しい魔法でも!?」
「バーカ。私もそこまでは強くないわよ。ただ丸分かりなだけ。」
マサトの目にはくっきりとしたくまができている。
最近寝ていないかのようだ。
「まぁ、それもあるんだけどね。いろいろやる事があってね……」
「なんか分からないけど、お疲れ様。」
「本当に疲れたよ……」
イツキが旅立ってからすでに2,3日たった。
これまでのイツキとの想い出に浸りたくても、時が無情にも過ぎていきいつもと変わらない日常を強要されている。
学校っていう物は難儀な物なんだなと上の空で思う。
ずっと、なにかがぽっかりと無くなったような気がする。
やっぱり……イツキがいなくなったからかもね……
「まぁ、そこまでサクラも気を落とす事はないんじゃないかな。」
「……マサトも心を読めるんじゃないの。」
「表情を見てれば考えている事なんて簡単に分かるって。けど、いつまでもイツキが旅立った事でウジウジしていてもしかたがないでしょ。」
「でも、どう区切りをつければいいのか……分からないの。」
つい……心の奥底で考えつづけていた事が漏れ出てしまう。
これまで……ずっと悩んでいた事。
イツキを助けるという目標を達成した今、何を目指していけばいいのかがよくわからない。
「……区切りを無理やりつけなくてもいいんじゃない?」
「それじゃぁ……今となにも変わらないじゃない。」
「変えなくていいんじゃないか?今もこの世界の中でイツキは生きている。また、いつか会えるさ。それより、今はこれから何をするのかを考えら方がいいと思うよ。次に、イツキに会う時のために。」
その言葉にはっとさせられる。
たぶん、次にイツキと会うときはさらに強くなっているだろう。
私が……まだイツキと友達となっていられるように……私も強くなった方がいいという事だろう。
「……まだ、完全には理解できないけど……なんとなく言いたい事は分かったわ。ありがとう。」
「まぁ、僕も頑張らないといけないんだけどね。それより、イツキもどうなるか楽しみだね。」
「なんかあるの?」
「いや~。イツキって少しかっこいいところあるからね……ハーレムでも作って帰ってくるかもよ。ってなんでそんなに邪悪なオーラみたいなのを出してるの?え?」
なんか……心配事が一気に吹き飛んだ気がする。
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