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プロローグ 『津叢蒼司は改造人間である!』 1

 『目標を確認した、追跡を開始する』

 俺は思考発信で通信し、今回のターゲットである男達の追跡を始める。

 制服のステルス効果で夜の闇に溶け込み、サイレント効果で足音を気にせずに動くことができる。そして、目標の三人は会話しながら歩いているのでこちらに気づく可能性は低い。

 今回の任務は奴等の取引場所を見つけ、取り押さえることだ。戦闘になることは避けられないのが前提で、その際には一人で鎮圧しなければならない。

 ――人員不足もここまで来ると考え物だな……。

 『ツムラくん、聞こえてる』

 「あ……」

 どうやら無意識のうちに思考発信してしまったようだ。

 『……はぁ……』

 少女の()れた溜め息が脳内に響く。

 ――わざわざ溜め息を思考発信しなくてもいいだろうに……。

 『ツムラくん、わたしは貴方ならこの任務を遂行できると確信して任せたのよ。大丈夫、ツムラくんなら出来る、それだけの実力がある』

 これは俺を気遣っての言葉ではない。そのままの意味、俺には多数を一人で鎮圧するだけの戦力が備わっている。

 ――ああ、やってやるさ!

 グッと拳を握りしめ、追跡を続ける。

 


 男達の追跡を続けると海辺の廃倉庫が建ち並ぶ場所まで来た。

 「いかにもって感じだな……」

 『余計なことは考えないで』

 『え、また思考発信してたのか?』

 『いいえ、そんな気がしただけ。そんなことより、追跡を続けて』

 『了解』

 男達は四番倉庫の中に入っていた。その中で取引をするのだろう。

 倉庫に近付き、隙間から様子を(うかが)う。

 倉庫の中には追跡した三人の他に、スーツ姿の男が二人いた。

 「ほら、頼まれた品だ。さっさと中身見て報酬と交換だ!」

 アタッシュケースを渡された二人は、中身を確認すると、自分達が持っていたケースを三人に渡す。

 「中身は確認した。君達もちゃんと報酬が入っているか確認したまえ」

 「ああ、わかってるよ………、すげぇ……おい!これでしばらく遊べるぞ!!」

 三人はケースの中身を確認し、歓喜の声を上げてる。

 まったく、これから捕まるってのに……おめでたい奴等だ。

 『取引現場を確認、突入の許可を!』

 『許可します』

 『突入する!』

 俺は勢いよくドアを開いて中に入った。



 「公安隊だ!速やかに投降しろ!」

 「投降しろ」は間違いではない。突入したら戦闘は避けられない、武力制圧するしかない。

 「公安隊だと!?まさか、つけられてたのか!クソっ!」

 「とっととズラかるぞ!」

 三人は、俺がいる方とは別の方向から逃げ出そうと走り出した。

 「遅いよ!」

 俺は常人離れした脚力で、一瞬のうちに男達の前に立ちはだかった。

 「加減するから我慢しろよっ!」

 三人の腹部に拳を叩きこんで気絶させた。

 「ぐおぁっ!?」

 「があぁっ!?」

 「げぼぉっ!?」

 最後の一人が吐血したので、内臓が破裂していないか心配になったが、今はそれどころではない。

 スーツ姿の大柄な男が蒼司に後ろから飛びかかろうとしていた。

 強化された五感で男の拳をかわし、振り向きざまに男の頬に左手の裏拳を叩きつけようとする。

 だが、男はそれを避け、後ろに跳び退いて体勢を立て直す。

 どうやら、こいつは一筋縄では行かないようだ。

 もう一人のスーツの男は逃げる素振りも無く、この攻防を見ている。

 これならコイツを倒すことに集中できそうだ。



 「その反応、アンタもお仲間か」

 大柄な男が俺に向けて言う。

 「なら容赦は要らないな、久しぶりに楽しませてもらうぜ!」

 そう言ってスーツを脱ぎ捨てる。

 薄着になって改めて分かったが、この男の腕は俺の倍かそれ以上の太さだ。

 だが、そんなことで(ひる)んではいられない。

 「悪いが、これで眠ってもらうぞ!」

 俺は男の顔面に目掛けて右ストレートを放つ。

 男はそれを軽くサイドステップで避けようとする。

 拳が男に届く寸前で、一気に引き戻す。そしてボディブローを叩きこむ。

 「ぐっ!」

 先程の三人を気絶させた時とは比較にならないほどのインパクトが響き渡る。

 常人なら内臓が破裂しているが、この男は“俺と同じ”なので心配無用だ。

 「やるな……今のは効いたぜ……」

 「驚いたな……倒したつもりだったんだが」

 「次はこちらの番だっ!」

 「やめておけ!」

 戦闘を見ているだけだった、もう一人の男が叫んだ。

 「グレイ、いつまで遊んでいるんだ。下がりたまえ、私が相手をしよう」

 「桑田さん!俺はまだやれます!」

 「いいから下がれ、時間の無駄だ……、外が騒がしい、もう警察も来ている、君は逃走の準備をしておきたまえ」

 「分かりました……」

 グレイと呼ばれた男はスーツを拾ってさがった。そして、入れ替わりに桑田が前に出る。

 「グレイに一発入れるとは大したものだ、だが私達も仕事でね、遊んでいる暇はないのだよ……、ふんっ!」

 桑田が身体に力を込めるとメキッ!メキッ!と気味の悪い音を立てて身体が変形していく、そして見る見るうちに暗い緑色に変貌していった。

 変貌した桑田の頭部には巨大な複眼と長い触角、両腕は人の首さえ落としてしまいそうな大きな鎌になっていた。

 その姿は特撮番組で見るような『怪人カマキリ男』そのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新シリーズはじめました!

ヒーローものです。

元ネタはわかる人にはすぐに解ります。


テイルギフト・オンラインも引き続き書いていきます。


感想、誤字脱字の報告を待っています!!

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