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第一章

どれだけ世界が絶望にさいなまれようとも、どんなに世界が享受することを拒もうとも、夢はなくならないだろう・・・

たとえそれが儚い人が抱く夢だとしても



A・D 3000

 人類は永遠を手に入れた

A・D 3005

 突如人間以外の生物が急激に進化し始める

A・D 3006

 人間以外の全ての生物が進化の末、合一化する。

A・D 3006 12/2

究極有機生命体スピリットが人類を襲いはじめる

A・D 3010

 人類は総人口の9割を失った・・・・・・



廃棄されたある施設の通路を三つの人影が走っていく。本来白色であろう壁や天井は、ほとんどが破壊され無残にその外郭をさらし、ところどころコケにおおわれている。


「さだめ、まだなのか?」

「さあ、どうかしら。パクッたデータによるとこの辺なんだけど」


廃棄された研究施設にもぐってから12時間は経過する。遭遇するスピリットは驚くほど少ないが、それでもライフルの残段は底を尽きようとしていた。


「今地下905階だろ。帰るにも・・・帰るほどの装備がないぜ。・・・あっ、センサーに反応だ!P種が三体こっちにむかってくる。後ろからだ!接触まで120秒」


背後の暗闇に向かってレーザーを撃ちまくる。ホーミングによりまだ見えない敵にも当てることができる。遠くの通路でレーザーが当たり、死んだスピリットの肉体が燃え上がる。


「はぁ、ぎりぎりだぜ。接近されたら終わりだからなぁ・・・」

「黒陽、あなたのマガジンよこしなさい」

「なんでよ!そんなことしたらおれが」

黒陽があたふたし始める。

「あら?なにを言っているのかしら。姉の言うことに何か不満でも?」

「かんべんしてくれよ。おやつのことはごめんていってるじゃんかよ」

「この愚弟が。もう一度あやまりなさい」

黒陽がどげざする。

「ごめんなさい」

「!あまいわ!そんなんでこの私が許すとでも思ったの?かわいそうね」

「そんなぁ・・・」

さだめは、ドSなのだ。そしてそんな弟の黒陽は姉に頭が上がらない。

「さだめ・・・そのくらいにしておけよ、早く先へ進もう」

「そうね。愚弟!帰ったらしばくからね」


三人とも再び通路を進んでいく。あるマキナを探してこの施設に入り、軍から盗んだデターを頼りに最下層まで降りてきたものの目的のものはいまだに見つからない。


「本当にここにあるの?さだめ様?」

「愚弟、何回同じ質問をする気?」

「そんなにしたっけ?」

「まあいいわ、説明してあげる、ここ第三十三独立研究所はこの戦争が始まってすぐにスピリットに襲撃されたんだけどね、ここ自体が極秘だったから救助も派遣できずに全滅しちゃったらしいのよ。いままでも、一度もサルベージされてないの。」

「それで例のマキナがある根拠はなんだったんだっけ?」

「偶然見つけたこの施設の入室記録なんだけど、施設が駆動中だったころ特に研究にも関係ない人間が月に100人は搬入されてたみたいなの。その100人を調べてみたんんだけどみんな死刑囚だったり、罪びとばっかりだったのよ。月に100人よ、いくら検体に使うと言ってもこの人数は多すぎるわ。それで閃いたのよ、この時期ここまで優先される研究なんてあれしかないってね!」

「なるほどね」

「それにね、この情報を偶然見つけ場所がサルベージ部隊のデータベースだったのよ、軍は近じかここに派遣をするみたいなの」

「十分に可能性はあると」

「さすがだねさだめねえさん」

「あたりまえでしょ」


とはいうものの・・・基地自体のデータはほとんど残っておらず、施設の大まかな地図しかない。


「もうすぐ、最下層だな」

「ええ」

「この層に生命反応はないよ」

「スピリットはいないか」

「あるとしたらこの先よ」


大きな扉が通路の突き当たりに見えてくる。

白く頑丈そうな扉の横にはロックされていることをしめすコマンドが点滅している。


「ここよ」

「質感からいってチタン系の合金みたいだね、今持っている武装ではとても破壊できないよ。システムにアクセスできるみたいだからさだめ姉がハッキングしてあけるしかないね。」

「わかっているわ」


さだめが持っている端末を壁のロックシステムに接続してハッキングし始めた。


「あるといいっすね、切」

「なきゃこまるんだけどな」

「それもそうっすね」

「この愚弟、安易にいろいろ言うんじゃありません」

「ごっごめんなさい」

「それより切、ここの扉のロックはここだけじゃなくて司令室からもされていて、そっちからも外さないと開かない仕組みになってるわ」

「司令室はどこに?」

「この階の反対側の突き当たりよ」

「じゃあ黒陽はここで待機していてくれ。扉が開いたときどうなるかわからないからな」

「了解」

「行くよ、さだめ」

「わかったわ」


二人は再び暗い通路を走り出した。

その場所には走り出して20分ほどで着いた。


「司令室のロックはさっき外しておいたわ、触るだけで開くはずよ」

「了解」


ここも研究所のと同じ素材でできているようだ。冷たい扉を触ると、機械音がなり、ゆっくりと両側に開いた。


中にはミイラ化した死体が1体、机にもたれかかるようしてたおれている。

左胸には司令を示す紋章刻まれている。


「軍に見捨てられ、ここにいることで生き残ったはいいものも食料がつきて餓死してしまったようね」

「各階の防御壁を閉じて最後までここを守ろうとしたみたいだ・・・まあそのせいで来るのが大変だったがな」

「関係ないわ、私のおかげですぐに外せたんだから」

「・・・」

「何よ?」

「いや何でもない、早くあっちのロックを外してくれ」

「わかってるわよ」


司令のミイラを横にずらし机の上にあるPCからアクセスをかける。


「うわ、この司令ここに引きこもってからずっとギャルゲーやってたみたい。考えられないわ!どうして男ってこうなのかしら!もっとやることがあるでしょ!?」

「・・・」

「なんかいったらどうなの切?」

「・・・いや、何ていうか・・・飢えてたんだなこのおっさん」

「はぁ」


コンピュータの画面には何回もウインドウが閉じたり開いたりしている。こんな話をしていてもさだめは常人の何倍もの速度でコンピューターをハッキングしていく。


「よしっと・・・できたわ」

「じゃあ、早くもど」

ガシャン

照明が異常を知らせる非常等の赤色へと変わる。

スピーカーから機械的なアナウンスが入る


緊急警戒システム解除 緊急警戒システム解除

閉鎖隔壁開放開始

各技術員は点検を開始してください


「言うの遅れたけど、あそこの扉開けるには防御システム解除しなきゃいけなかったから。そういうことで」

「え・・・それってヤバくね?」

「あたりまえじゃない、上の階層で足止めしておいたスピリットがおしよせてくるわよ。早く行きましょ」

さだめが全速力で走り出す

「先に言えよ!」

すでに施設全体にスピリットが移動する轟音が響きわたっている。

ここからあの扉まで約300メートル

距離的には問題はないが、扉が壊れて開いていなかったらそれで終わりだ

「開いてなかったら終わりだぞ」

「大丈夫よ!愚弟が何とかしているはずよ!」


上の階層とつながっているシャフトを通り過ぎると、スピリットが流れ込んでくるように最下層に進入してきた。


「うおおおおおおお」

「いっぱい来ちゃったわね、切!もてる男は辛いわね」

「そういうもんだいじゃねー!!」


扉まで50メートル

すでに扉は開いている。

どうやら進入してきているのはP種ばかりのようだ。

もしT種が混じっていたら後ろに着かれたじてんでレーザーで黒焦げにされていただろう。

背後に手榴弾を投げながら扉に滑り込む。

「閉めろ!!!黒陽!!」

閉まりかけていた扉が完全に閉じてロックされる。


「よくやったわ!愚弟」

「まあね」

「それより!あいつはあるのか?ここに!」

「うん。そんなにあせるなよ切。えーっとね、すぐに使える機体が一体とまだ装甲が未装着の機体が一体。それにマキナ用の航空戦術母艦が一隻あるよ」

「よしっ!コンバートシステムは?」

「今、軍で使われているコンバート形式とは若干違うみたいだけど問題なくいけるよ!」

「じゃあコンバートを始めてくれ」

「いい切?はっきり言って一度コンバートしたら二度と肉体に戻ることはできないわ、わかってるのよね?」

「わかっているさ。やつらに勝つにはそれしかないんだ」

「わかった。すぐに始めるからそこのカプセルに入って」

ガゴン

入ってきた扉が内側にへこんでいる。

「あまり時間もなさそうだからさっさとやってくれ」

「OK」

透明なカプセルにはいると蓋が閉じて電子分解液で満たされる。

「くっ!」

手や足が溶け出しているのだ。断片がパソコンのディスプレイのように光っている。

光る断片は全身に広がった・・・

すでに肉体が失われているはずなのに頭に音声が流れる。

[肉体分解完了]

[コンバートシステム起動]

[変換術式 MK-00 に固定]

[変換開始]

体の周りを光が流れていく

[変換率50%]

水の中に浮いているようだ

正面に光の球が見えてくる

[変換率100%]

[変換終了]

[転送先 ティターマキナ TM‐01 中枢保存領域 ]

[転送開始]

光の球に吸い込まれていく

[保存開始]

光の球に取り込まれる

「うおおおおお」

[保存終了]

[マキナ起動開始]

[神経接続開始]

[マキナ起動]

キィィィィン

感覚がだんだん開けていく

長い眠りから目が覚めるように

もう肉体としての目がないのに目が痛く感じる

「ここ・・・は?」

聞きなれた声が聞こえる

「ティターマキナの中だよ、今は戦艦の格納庫だよ」

「黒陽・・・か」

「そうだよ、体調はどう?」

「大丈夫」

「それならいいけど、まあもう体ないけど」

「せつ!運艦長が命じます!」

「いつから艦長になったんだ?」

「私以外誰ができるというの?」

「なんでもいいよ。で何を命じるんだ?」

「これより戦艦 出雲 出港します」

「で、どうやってここから出るんだ?」

「ただいま、地上につながるシャフトは大量のスピリッツよって占領されています。そのため、この艦はシャフトに進入後この艦の主砲 流体波動砲〈カグツチ〉によって敵を一掃。シャフトを急上昇後、地上に到着しだいマキナを射出。残存勢力を掃討と同時に戦線離脱  以上です」

「今の誰?」

「出雲の人口知能よ」

「よろしくな出雲」

「こちらこそよろしくおねがいします 以上」

「作戦開始するわよ」

「主砲 流体チャージ完了 以上」

「ゲートオープン」

「戦闘空母 出雲 発進!!!!」

ゲートがゆっくりと両側へと開いていく

敵の数はセンサーの測定限界数を越えている

「流体エンジン 出力安定 いけるよ」

「カグツチ 発射!!!!」

戦艦の先端が急激に光りだす。

流体は実体がないため武器として使用する際には事象そのもののレコードを書き換えて使用する。

流体が加速され前方へと射出される。次の瞬間、スピリットと衝突した流体が束縛から解放され爆発しスピリットを吸収し地脈へと戻っていく。

「残存勢力ゼロ、凄い!一瞬でこんな」

「上昇開始」

「マキナ転送準備開始 演算開始 終了  転送準備完了 以上」

「切 いくわよ、準備OK?」

「ああ、OKだ」

「転送開始!」

機体が光だし一瞬で地上に移動する。

「転送終了 以上」

「転送損失率0.0003 許容範囲内 以上」

「機体全システム正常 システム戦闘モードに移項!!」

外を見ると廃棄された町のビルの窓に反射してマキナの全体像が見える

初めて見ることになるこれから自分が生死をともにする機体に感慨深いものがある。

「ひさしぶりだな」

意識するだけで手足のように機体が動く。

「さあ始めるぜ!」

[スピリット多数接近]

[大型P種 1000 T種 500 B種 2 ]

「大量!大量!エンジン出力全開」

[命令認証 流体エンジン臨界]

機体の出力が飛躍的に上昇する

「そういや、こいつの名前なんていうんだ?」

「TM-01 名称 白銀 以上」

「白銀か、いい名前だ!!」

背中のブースターを爆発させスピリットの船団に突っ込む

ティターマキナは通常のマキナとは違いスピリットと接近戦をすることができる

「おらおらおら!!どきやがれ!」

背後のパックから対艦刀を引き抜きマウントポディションにホールドする。

「切り裂きな!」

大型P種を肩口から一気に叩き切る

グリップのスイッチを押して刀の真の力を呼び覚ます

「対艦刀 周波数最大」

刀自体がエネルギー体になり光輝く

刀を虚空に向かって振り切る

エネルギー波が空中を走り敵をなぎ払う


ドゴーン

出雲が隔壁を破って地上に現れた

残りはB種2体

「切!後は任せてカグツチで吹き飛ばすわ」

「了解!」

[転送開始]

機体が光に包まれ消える

「カグツチ発射!」

流体が巨大なB種2体を破壊しその残骸を地脈へと吸収する。

「出雲 全速離脱」

出雲は背後に流体を展開してその巨体を急速に前へとすすめる

ステルスシステムが起動し出雲はその姿を消した


辺りは光の粒子で満たされている

スピリットの屍が急速な劣化とともに光りながら空気に溶け出していた



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