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大日本リーグ-大連戦記-  作者: 沼田政信
シーズン150試合
98/188

対抗戦開幕 折り返しは新たなるスタート

[ホーム]埼玉

4王本易

8黒山

6永島

5万剛福

3平野

Dフェルナンド

7赤村

2金良仁

9李友亮

1菱


[ビジター]大連

8星渡(4-1)

3柳中平(5-1)

6棚橋(5-1)

9林(2-0)-高遼二(1-0)

5パウロ(4-0)-ドラグノフ(1-0)

7アンジェロ(4-3)

D立石(3-1)

2金重男(4-1)

4本郷(3-2)

1赤坂-野藤-比山


大 000 300 010 4 ○赤坂(7-2)-野藤(1)-S比山(1)

埼 000 001 100 2 ●菱-岡上篤-許英傑


 今日から約1ヶ月間対抗戦が開催される。対抗戦とは、前年の順位がAクラスだったかBクラスだったかで2つのグループに分かれて別のリーグに所属する球団同士が対戦するというものである。8球団のカンファレンスからは4球団、6球団のカンファレンスからは3球団の合計7球団がリーグから選出されて、別リーグから選出された7球団と戦う。


 前年中央リーグ大陸カンファレンスにおいて8球団中4位だった大連はAクラスのグループに入る。他には奉天、新京、ハルビン、そして列島カンファレンスからは名古屋、大阪、東京がAクラスグループに加わる。グループ入りの基準は前年の成績なので今季は低迷している球団がAクラスグループに入ることもある。


 今回対戦する埼玉はその典型である。個々のパワーはあるが成績に結びつかないうちに今季は最下位まで落ちてしまった。もう黄金時代も20年前になるのか。あの頃は隙がなさすぎて「面白くない野球」とやっかみを言われるほどだったが、ここ数年はムラがありすぎる。ただ変質したのは野球そのものだけではない。埼玉黄金時代は必要な選手をあらゆる手段を講じて獲得する豪腕によって支えられていた面もあった。選手獲得に必須だった裏金使用が公になったことで(と言っても埼玉だけが使っていたわけではなく他球団も使用していたのは言うまでもない)かつてのように有力な選手を思うがままに獲得できなくなったのが落日の一因とも言えるかもしれない。まあ、そうは言っても有力な選手を抽選で引き当てる運は残っているし、今後は暗黒まっしぐらとは断言できない。ただ大味な野球をしている球団は大抵その後低迷するものだ。いい年もあれば悪い年もあるというのは真に強いとは言いがたいものがある。


 今日の埼玉のスタメンもどことなく弱々しく、なるほど最下位もうなずけるというものである。大連は右ふくらはぎの違和感で二軍落ちした近堂に代わって本郷がセカンドに入っている。また、海洋リーグが採用しているDHには代打の切り札立石が起用された。守備はほとんどできない立石だが打撃技術はまだまだ健在なだけに対抗戦では期待がかかる。そして先発はルーキー赤坂。前半戦で5勝3敗となかなかの成績を残している若武者を開幕に持ってきたが赤坂は落ち着いたピッチングで劉監督の起用に応えた。


 赤坂の実力に関してはもはや普段通りに投げさえすれば結果はついてくるといった段階に入っている。今日も金とのコンビが冴えてストレートをコーナーにビシビシと決めて埼玉打線をうまく封じた。打線の援護は4回。一死後にアンジェロが左中間を破る2ベースでチャンスを作ると立石がライト前に先制のタイムリーヒットを放つ。さすがの打撃技術だ。さらに金重男がレフト前、本郷が四球で満塁とすると、星渡のセカンドゴロ併殺崩れの間に1点追加。ツーアウト一三塁から柳中平がライト前に落としてこの回3点を入れた。


 埼玉は6回にホームラン王独走中の万剛福が今日もパワーを発揮。とにかく当たったらホームランかという勢いで量産しているが案外勝負所では弱く、ある意味最下位の象徴と言える。続く7回にツーアウトから李友亮、王本易の連打でランナーを貯めて、黒山のタイムリーで1点差まで迫った。しかし王が牽制で刺されて同点のチャンスを潰す。直後の8回表に本郷の今季初ホームランが飛び出して4対2と差が開き、野藤、比山が埼玉の反撃を抑えて対抗戦の初陣を勝利で飾った。


 大連の通算成績は41勝27敗7分となった。また、今日で150試合中の75試合とちょうど半分である。単純に倍にすると82勝54敗14分になる。これならプレーオフ進出は当確で優勝も見えてくるだろうが、まだ半分しか終わっていないとも言える。先の話はもっと後になってからしないと。

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