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大日本リーグ-大連戦記-  作者: 沼田政信
シーズン150試合
95/188

熱河シリーズ第2戦 馬鹿試合

[ホーム]奉天

5横山

6田辺

9西崎

8長谷川

7市松

3蔡均森

4佐藤

2坂田

1長沢


[ビジター]大連

8水内(4-1)-星渡(1-1)

4近堂(4-3)

6棚橋(3-0)

5パウロ(4-2)

7アンジェロ(4-1)

3ドラグノフ(4-1)-林(1-1)

9ノーリー(5-2)

2清水(3-1)-金重男(1-0)

1瑞穂-北(1-0)-中西(1-0)-趙雅憲(0-0)-黄直哉-古池(1-0)-平野


大 200 002 000 06 ●瑞穂(2-2)-北(2)-趙雅憲(2-1)-黄直哉(1)-平野(1-1) 39勝26敗7分

奉 520 003 01- 11 ○長沢-片倉-小林-丸茂 41勝26敗5分


 熱河シリーズ第2戦は奉天との対戦。しかし首位攻防戦にふさわしいような締まった展開を期待したファンに冷や水をぶっかけるような、とんでもない乱打戦となってしまった。オールスター後に行われる対抗戦では今日のような恥を晒さないように気を引き締めてかかってほしい。


 大連の本日のスタメンは中盤に片仮名の名前が4つ続く奇妙な面子となっている。一軍の外国人枠は投手と野手合計4人までなので一見違反に見えるが、ドラグノフは生まれも育ちもハルビンの純然たる満洲人である。もちろん外国人枠など適用されるはずがない。ただロシア系の満洲人はサッカーやウィンタースポーツに走る傾向が強いのでドラグノフのような選手が少ないだけである。将来的には外国人枠撤廃をという考えもあるが未だに実現しそうにない。外国人枠の存在しないアメリカとの差はこういう部分にもある。


 初回、大連の先制攻撃。2番打者に入った近堂がレフト前ヒットで出塁する。棚橋のサードゴロでランナー入れ替わり。そして4番パウロが長沢のゆるいカーブにタイミングを合わせると打球はレフトスタンドまでひとっとび。怪力は健在とアピールするホームランで2点を先制した。しかし大連先発の瑞穂がピリッとしない。


 1回裏、先頭の横山に対していきなりサード内野安打を打たれる。すぐ二死まで奪い、4番長谷川に対しても平凡なレフトフライに打ち取ったはずだった。しかしレフトアンジェロがまさかの落球。これでおかしくなった瑞穂は市松にセンターオーバーのタイムリー2ベースを打たれて同点。さらに蔡均森のライト前タイムリーで逆転。佐藤のライト前ヒットと坂田の四球で満塁とすると、ピッチャーの長沢にまでレフト前にタイムリーヒットを打たれる。


 この回打者一巡で5失点。しかし自責点は0という内容。長谷川をレフトフライに抑えていれば。2回には3年目と新鋭田辺裕矢のライト線を破る3ベースと西崎のホームランでさらに2失点するなど今日の瑞穂は酷い出来で、序盤で試合は決まってしまった。


 大連は3回から2番手として北甲大を投入。北は31歳と中堅どころの投手で、ロングもこなせるリリーフとしてそれなりに重宝する。これという特徴はないがコンビネーションで抑える印象で、今日も3回を無失点に抑えてきっちり仕事を果たした。奉天の若武者長沢広之も初回以降は抑えるようになったので、割と平穏に過ぎていった。


 次に試合が動いたのは6回の事であった。先頭のパウロが四球を選ぶと、アンジェロのサード内野安打とドラグノフのライト前タイムリーヒット、さらにノーリーの一二塁間を破るタイムリーヒットで長沢をノックアウト。


 しかしその裏にまたも悪夢が待っていた。横山をサードゴロに打ち取ったかに見えたが横山の快速が勝り内野安打。田辺のライト前ヒットと西崎の四球でノーアウト満塁のピンチを招く。続く長谷川はファーストゴロと思いきやファーストドラグノフがトンネル。ボールがライト方向へ点々とする間に横山と田辺がホームイン。またも長谷川の打席で不要なミスで失点を重ねてしまった。蔡のタイムリーヒットも出てこの回3失点。8回には西崎の今日2本目となるホームランで11点目。


 9回、大連は代打として登場した星渡がレフト前に落として出塁。近堂が今日3本目のヒットで続く。棚橋が送って二三塁にすると、パウロを敬遠でワンナウト満塁となる。続くアンジェロは三振に倒れるもドラグノフの代打に登場の林がライト前に2点タイムリーヒットを放ち千両役者っぷりを見せ付ける。


 しかし反撃はここまでで6対11という酷い点差で試合終了。とにかくエラーがもったいなかった。やはり守備をしっかりしないとだらしない野球になってしまう。ドラグノフはサードでは無難にこなしていたがファーストはあまり向いていないのかも知れない。


 熱河シリーズはこれで終了。大連は2連敗に終わった一方、2勝したのは光州とチチハル。また、得失点差も+8、総得点11で差がつかず。そこで対戦相手補正を加えて優勝チームは光州と決定した。これは短期シリーズの時だけ適応される補正で、平たく言うと並んだ場合普段の順位が低いチームが勝つというものである。トロフィーと優勝賞品の馬肉1年分が贈られた。光州はシーズン最下位を独走しているが、久々に明るいニュースとなった。MVPには2本塁打を放った久保岡武徳内野手が選ばれた。


その他の試合結果

32勝37敗3分 開城 4-3 新京 36勝31敗5分

32勝36敗4分 ハルビン 1-2 光州 24勝43敗5分

35勝33敗4分 チチハル 5-0 平壌 32勝36敗4分

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