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大日本リーグ-大連戦記-  作者: 沼田政信
シーズン150試合
92/188

逆転サヨナラ 総力戦の勝利

[ホーム]大連

8星渡(3-1)

3柳中平(3-0)-太刀川(1-0)

6棚橋(4-0)

9林(3-1)-大上

7アンジェロ(4-2)

5ドラグノフ(3-0)-ノーリー(0-0)

4近堂(3-1)-古池(1-0)

2金重男(3-1)-清水

1赤坂(1-0)-山元(1-0)-野藤-平野-比山-立石(1-1)


[ビジター]開城

8西平

6竹端

4笠原

7高弘美

5肥後

9グレス

3吉田

2浜野

1田中


開 000 200 000 2 田中-タチトナ-●黒垣 31勝35敗3分

大 010 000 002 3 赤坂(7-2)-野藤(1)-平野(1/3)-○比山(2/3) 38勝24敗7分


 昨日に続いて投手戦が繰り広げられた。今季は使用するボールがそれまでより飛ばなくなったのでこのような試合が多くなる。しかし最後にものを言うのは打線が何点取れるかである。打者にとっては受難のシーズンが続くが本当の実力があるなら問題ないはずだ。


 先制したのは大連。2回にアンジェロが田中の初球ストレートを強振するとそのままレフトスタンドへ。今日の試合チーム初のヒットがこれ。まさに出会い頭の一発といった風情の先制点だった。しかしこれは事故のようなもの。今日の田中は持ち前の安定したコントロールと多彩な変化球が冴えていた。四死球は0で、5回に連打と送りバントでワンナウト二三塁となったピンチも星渡を内角へのストレートで見逃し三振、柳中平をスライダーを打ち上げさせてのセンターフライに抑えた。


 好投の田中に応えたい打線が奮起したのは4回。先頭の3番笠原がセカンドとライトの間に落ちるヒットで出塁。4番高弘美は三振も肥後がレフトオーバーのタイムリー2ベースで同点に。さらに二死後、売出し中の吉田大輔がライト線を破る逆転のタイムリー2ベースを放った。全体的に赤坂のストレートを狙って力強く振りぬく攻めを見せたが、これは赤坂-金重男のバッテリーの特徴を知った上での戦略である。


 その後の試合は淡々と進んでいった。赤坂、田中の両先発はともに7回で降板。リリーフ勝負となるが、ともに9回にドラマが待っていた。先攻の開城はこの回の先頭打者グレス、次は吉田と左打者が続く。大連は左打者が得意な平野を投入するが代わり端の初球をグレスに引っ張られて2ベースを許してしまう。さらに吉田の送りバントでグレスの代走美尾公平は三塁に。さらに浜野の代打で金順基が登場した。大連は平野に代えてストッパー比山仁を投入。


 比山は落ち着いていた。去年までならプレッシャーに負けて自滅していたであろう場面も役割を固定され、実績を積み重ねることで自信が生まれた事で実力を発揮できるようになった。金をランナーが進めないようなサードゴロに打ち取ってツーアウト。続く代打行元に対しても終始優勢なカウントで攻めていって、最後はフォークボールで三振。本当に頼りになる投手になった。


 その裏、開城もストッパーの黒垣を投入してきた。黒垣はけれん味のないストレート一本槍の豪腕で、はまった時は強力だが調子が悪いととてつもなく心臓に悪いピッチングとなる。今日は後者だった。先頭の林はボール球が続いた後のストレートをライト前に弾き返して出塁。大連はもちろん代走に大上を投入した。


 続くアンジェロに対してもいきなりボールが続く不安定さで、ストレートを打ち損じてレフトフライに倒れるも大上が盗塁を決める。ここからは大連の代打攻勢。まず登場したドラグノフの代打ノーリーは老獪に際どいストレートをカットしていき四球。続く古池は三振でツーアウトとなったが金にまたも四球で満塁に。金に代走として足の速い捕手としても知られる清水が送られ、代打には立石。


 立石はコントロールの乱れた黒垣のストレートをよく見極めてカウント3-1とした。ここで黒垣が投じた外郭高めのストレートを狙い済ましたようにレフト前へ。大上が、そしてノーリーがホームへ還ってきた。1対2から3対2に、ベテラン立石の逆転サヨナラタイムリーで大連が劇的な勝利を飾った。ベンチにいた野手のほとんどを使う猛烈な代打攻勢が実った、まさにチームで掴んだ1勝である。


その他の試合結果

36勝28敗5分 新京 5-4 奉天 39勝25敗5分

31勝34敗4分 平壌 9-3 ハルビン 30勝35敗4分

21勝43敗5分 光州 1-7 チチハル 33勝32敗4分

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