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大日本リーグ-大連戦記-  作者: 沼田政信
シーズン150試合
77/188

打線爆発 広島に大勝

[ホーム]大連

8星渡(5-3)

7アンジェロ(4-1)-高遼二

6棚橋(5-3)

9林(4-2)

5パウロ(4-2)

3ドラグノフ(4-2)

4近堂(5-0)-森茂

2清水(3-1)

1吉野(2-0)-本郷(1-1)-伊東


[ビジター]広島

4東江

6楚英仁

8丸井

3黒原

9天田

7岩持

5阮忠徳

2石浜

1ジオン


広 000 010 000 1 ●ジオン-菱本-弦悠希-上尾-青井

大 030 120 03- 9 ○吉野(8-1)-伊東(1)


 大連と対戦するのは現在不調にあえいでいる広島。ここの状態は非常にまずい。ただでさえ薄い選手層なのに怪我人続出で一軍なのか二軍なのかわからない、例年なら9月になってようやく見られるようなスタメンを6月の時点で組まざるを得なくなっている。特に打撃が悲惨で、先日50イニング連続無得点という不名誉なリーグ新記録を打ち立ててしまった。対する大連の先発はエース吉野。今の広島打線にこの劣勢を覆す力など残っているはずもなかった。


 広島の先発は2年目の外国人ジオン。球速はそれほどでもないが、変則的なフォームから繰り出される不規則に動くストレートと多彩な変化球で目先を変えつつ抑えるタイプの投手。しかし今日の出来は今ひとつ。初回からアンジェロに四球、棚橋にレフト前ヒットを浴びるなど危なっかしいピッチング。コントロールが不安定で嫌な予感が漂ったが、それは2回に早くも現実のものとなってしまう。2回、先頭は大連移籍後初のスタメン起用となったドラグノフ。そのドラグノフに対する3球目、スライダーがすっぽ抜けた暴投がドラグノフの頭部に直撃。即刻退場を命じられた。


 緊急登板となったのは菱本。しかしまだ肩が出来ていないようでコントロールがいつも以上に不安定だった。近堂をレフトフライに打ち取ったが、清水に四球を与えてピッチャー吉野には送りバントを決められてツーアウト二三塁。そして星渡、アンジェロに連続タイムリーを浴びて大連が3点を先制。この時点で今の広島にとって厳しい点差となったが、これはまだ始まりでしかなかった。


 3回は0で終了したが菱本3回目となる4回に次の動き。8番清水から始まった事もあり二死までは簡単に奪ったが星渡が外角の高めに浮いたストレートを振りぬいてレフトスタンドに飛び込むホームラン。直後の5回表、広島は40歳の大ベテラン阮忠徳がタイムリーヒットを放ち1点を返したがすぐに反撃を食らう。


 2番手として登板した弦悠希はストレートで押す強気のピッチングが身上のルーキー右腕だが、コントロールに課題が残る。一死後、林の右中間への2ベースとパウロへの四球でピンチを招くと、ドラグノフにレフト線へ落ちるタイムリーヒットを打たれる。続く近堂は大きなライトフライで二塁走者のパウロがタッチアップで三塁へ。そして清水がセンター返しでタイムリーを放ち大連6点目。今日の弦は変化球のコントロールが甘く、ストレートもあまり走っていなかった。


 とどめは8回。先頭打者として出てきた吉野の代打本郷がレフト前ヒットで出塁すると、星渡はライト前に落として一三塁。アンジェロは三振だったが棚橋がセカンド東江の頭上を越えるタイムリーヒットを放って7点目。林はセンターフライで星渡が三進。そしてパウロの痛烈なレフト前ライナーで星渡生還。さらにドラグノフが一塁線へのタイムリーを決めて9点目とした。9回、広島の攻撃は大連の2番手伊東が3人で抑えてあっさり試合終了。先週の貧打とは何だったのかというほどの圧勝で広島を下した。大連の通算成績はこれで28勝19敗7分となった。


 星渡と棚橋が猛打賞、初スタメンのドラグノフはいきなり顔面に死球を受けながらも2安打2打点と見事な数字。投手も吉野は相変わらず力強いストレートとスライダー、さらに小さく変化するシュートが効果的で安定感抜群だった。まったく問題のない試合展開で快勝。観客のフラストレーションもかなり解消されただろう。一方広島はどうすべきか。怪我人が多すぎて真の実力をまったく発揮できずにいる。もっとも怪我人の多さも含めてチームの実力だと言われるとその通りだが。とにかく野球選手は動けてなんぼなので怪我には注意しないといけない。

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