負けに等しい引き分けとは
[ホーム]広島
6楚英仁
4東江
9井尾
5トレンシー
3黒原
7岩持
8丸井
2石浜
1ハリントン
[ビジター]大連
8星渡(5-1)
7アンジェロ(3-0)
6棚橋(4-1)
9林(4-2)-高遼二
5パウロ(4-2)
4近堂(3-0)-森茂
3柳中平(4-1)
2清水(1-0)-金重男(2-1)
1フローデセン(2-1)-水内(1-0)-小松原-野藤-立石(0-0)-比山
大 000 001 120 4 フローデセン(6-3)-小松原(1)-野藤(1)-比山(1-1)
広 300 000 001 4 ハリントン-上尾-シュルト-中川和
関西を後にして広島へ向かい、その地で連戦。月曜日の休養日を経て横浜に移動しての2連戦で交流戦は一回りする。今日から対戦する広島は市民球団としての歴史もあることから広島人の熱狂的なサポートに恵まれている。80年代には機動力投手力打撃力に秀でた強力なチームとして君臨していた。しかし近年は低迷している。原因は資金力不足だ。毎年黒字はいいのだが選手獲得もままならない。また、育っても他球団に移籍する選手が後を絶たず、低迷に拍車をかけている。それが結果的に若手選手の出番を増やしており、フレッシュな布陣による戦いはなかなか清新な魅力があるが優勝となるとやはり駒不足。特に大砲不足は深刻だ。代わりに機動力や守備力は高い。また、外国人の特に投手獲得には定評があり、今季も今日先発のハリントンと、剛速球を武器にして抑えに定着したサーフェイトは成功と言えそうだ。
広島が得意としている集中攻撃が初回に炸裂した。今日の大連先発フローデセンはややストレートの走りが悪く、先頭の楚英仁にセンターへ抜けようかという当たりを打たれる。棚橋がよく追いついたものの内野安打となり出塁。東江が送り、3番に座る井尾がレフト前ヒットでランナー一三塁。この井尾の潜伏期間は10年を越す。なかなか出番に恵まれなかったが外野手の怪我人続出の今になって存在感を増してきた。4番新外国人トレンシーがフローデセンの高めに浮いたストレートを完璧に捕らえてフェンス直撃の2ベースで2点先制。さらに黒原も左中間へタイムリーヒットを放っていきなり3点をスコアボードに刻んだ。
大連はハリントンのピッチングになかなか対応できず凡打を重ねてしまう。スライダー、チェンジアップなどの変化球を投げ分けて打たせて取る技術に長けている。また例えば3回、一死後に清水を四球で歩かせた後にフローデセンがストレートを痛打し一三塁のチャンスを作った。ここでもハリントンはまったく落ち着いており、星渡にはチェンジアップを振らせて、アンジェロにはアウトコースへのスライダーを投じての連続三振で切り抜けたようにパワーもかなりのものだ。
その後は安定したハリントンと立ち直ったフローデセンの投げ合いとなった。6回に大連は棚橋のソロホームランで1点を返した。7回には先頭のパウロが左中間フェンス直撃の2ベースと犠打でチャンスを作った。柳はファーストゴロでランナー自重。ここで清水に代打金重男が告げられた。大阪戦での好調が記憶に新しい金は今日もついていた。ストレートに詰まった打球はフラフラと左方向へ上がり、ショートとレフトの隙間を埋めるようにグラウンドに落ちた。続いて登場した代打水内はライトフライに倒れてこの回はここまで。
7回裏、ハリントンの打席で代打が出たのでここで降板。しかし広島のリリーフ陣は先発と比べると不安定。その不安要素がやはり出てしまった。まず登板してきた上尾はここ数試合それなりの投球を見せてきたがセットアッパーとしては不足しており、いきなり先頭の星渡にライト前ヒットを打たれる。続くアンジェロにはストレートのフォアボール。この体たらくに野々村監督憮然、早くも上尾を下げてシュツトを繰り出した。しかしこのシュルトも今季はまったく安定感がない。
棚橋の打球もヒヤリとさせたが丸井がよく追いついてセンターフライ。しかし林には打たれた。ライト線に落ちる絶妙な打撃を見せて同点に追いつくと、続くパウロもセンターへ強烈なライナー性の打球を飛ばした。アンジェロがホームに突入し、クロスプレーとなったが生還。4対3と大連が逆転に成功した。なおも追撃の手を緩めずに試合を決めたい大連だが近堂はセカンドゴロダブルプレーに終わった。まったくの打ち損じでもったいなかった。これが試合の最終盤に響くのは野球においてよくある話である。
7回は小松原、8回は野藤がきっちり抑えたところで逆転。もちろん9回は比山登板である。比山は4番トレンシー、5番黒原とやっかいな打者を打ち取り勝利が明確に見えてきた。しかし6番岩持がライト前ヒット。ここで風向きが急変する。7番丸井もストレートを積極的に振りぬいてセンター前。さらに石浜は四球を選びツーアウト満塁となった。ここで代打に登場したのは前山智信。天才と呼ばれ続けた男も今年40歳を迎える。しかし彼の球歴を思えばここまで現役を続けられただけで驚異的とさえ言える。度重なる怪我に苦しめられたが打撃へのこだわりと執念でここまで立ってきた。選手生命はもはや晩年。だからこそ今のうちに見ておきたい選手の一人である。
対するピッチャーの比山は元々ハートが弱いなどと言われてきた投手。前山のオーラに圧倒されたか、比山が3球目に投じたフォークボールがあろうことか暴投に。岩持の代走金昇吾がホームに突入して同点に追いつく。なおもサヨナラのチャンスだったがなんとかセカンドゴロに打ち取ってゲームセット。点を取っては取り返され、取られては取り返し。どちらも譲らぬ試合の結末は痛み分けに終わった。大連の通算成績はこれで24勝14敗6分となった。




