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大日本リーグ-大連戦記-  作者: 沼田政信
シーズン150試合
55/188

力の差より心の差

[ホーム]チチハル

6万城原

5丸木

9吉住

3星野

7カーセロ

8和泉

4楚明英

2李秀一

1リー


[ビジター]大連

8星渡(4-1)

3柳中平(4-0)

6棚橋(4-2)

9林(3-1)

7パウロ(4-0)

4近堂(4-1)

5森茂(3-0)-水内(1-0)

2清水(3-0)

1瑞穂(2-0)-立石(0-0)-平野


大 000 000 001 1 ●瑞穂(7-2)-平野(1) 17勝12敗3分

斉 000 000 30- 3 ○リー 15勝15敗2分


 大連は瑞穂、チチハルはリッチ・リーが先発。大連は通常サードを守るパウロをレフトに置き、7番サードにユーティリティプレイヤーの森茂常弘をスタメンに起用してきた。これはおそらくリーとの相性に加えて、ノーリーに代わるレフト候補がなかなか決定打に欠けるという現状も考慮したものと思われる。パウロはダイナミックなプレーに定評があるが守備は粗いので外野コンバート案は常に言われてきたがついに実行の日が来たようだ。


 試合は投手戦。チチハルの本拠地はその立地を考慮してドーム球場となっている。そのサイズは両翼が102mセンターまで128mとメジャーリーグ級の大型球場で、ホームランがほとんど出ないNPB屈指のピッチャーズパークとして知られている。ただでさえそんなスタジアムなのに瑞穂とリーという安定感の高いエースが登板しているのだから投手戦にならないはずがない。


 6回までは瑞穂のコントロール、リーの豪腕が冴えて無失点で進んだ。7回裏、チチハルが先制。きっかけはレフトに入ったパウロの拙守だった。一死後、和泉康之の打球は平凡なレフトフライだったがパウロが落球。和泉はこの間に二塁まで進んだ。続く楚明英に四球を与えて、迎えたキャッチャーの李秀一に対してストライク、ボール、ボールをした後の4球目、カウントを整えるために投じられたストレートを完全に見抜かれてジャストミートされた打球は猛スピードでレフトスタンドに消えていった。


 李秀一は主に守備が評価されてレギュラーとなっている選手ではあるが179cm91kgと立派な体格を有しておりソノ手の人達から人気、というのは今は関係なくてツボにはまれば打球を余裕でスタンドインできる程度のパワーは持っているという事だ。1点を争う展開となるのは見えていただけに李秀一に対する攻めは安易だったと言わざるを得ない。


 8回まで3安打2四球に抑えられた大連だが、9回に一矢報いた。先頭の柳中平の放ったライナーはサード丸木のジャンピングキャッチに阻まれたが、棚橋がショート内野安打、林がライト前ヒットで最後のチャンスを作る。続くパウロはセンターフライとなったが棚橋が三塁まで進む。2アウトで打席には近堂貴久。リーの初球はファール、続いてボール、ボール、ファール、ファールと来て5球目、三振を取るための外角低めのストレートをパワー負けせず打ち返した。打球は三遊間を破ってレフト前に転がる。棚橋はホームベースを駆け抜けて完封を免れる1点とした。続いての打者、森茂の代打水内に期待がかかったがリーのパワーに負けてキャッチャーフライに抑えられて試合終了。リーがエースの貫禄を見せつけた。


 瑞穂は好投したがエース対決となると相手投手の後塵を拝す展開が多い。序盤はかなりの安定感を見せたものの終盤はややボールが甘くなる場面も出てきた。そして李秀一に全てを決めるホームランを打たれてしまった。甘さをなくしていくことがエースとしては肝要である。またパウロのレフト起用は考え直したほうが良さそうだ。少なくとも今季は守備のマイナスが大きくなる。チチハルは勝率を5割まで上げてきた。順位も4位に浮上しておりなかなか面白い存在と化している。


その他の試合結果

14勝15敗3分 開城 2-5 奉天 18勝11敗3分

8勝20敗4分 光州 6-1 ハルビン 14勝16敗2分

12勝19敗1分 平壌 0-3 新京 18勝10敗4分

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