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大日本リーグ-大連戦記-  作者: 沼田政信
シーズン150試合
49/188

快勝のち辛勝

[ホーム]大連

8星渡(3-1)

7高遼二(2-0)

6棚橋(3-2)

9林(4-2)

5パウロ(3-0)-森茂

4近堂(4-1)

3柳中平(3-0)-折口(1-1)

2清水(2-1)

1張尊(1-0)-平野-石風呂(1-0)-小松原-野藤-比山


[ビジター]奉天

5横山

6ローマン

9西崎

8長谷川

7間口

2漢

3蔡均森

4佐藤

1宇治


奉 000 000 201 3 ●宇治-松本-張公吉 14勝10敗2分

大 003 100 00- 4 張尊(4 2/3)-○平野(1/3)-石風呂(1 1/3-2)-小松原(2/3)-野藤(1)-S比山(1-1) 14勝9敗3分


 前日の投手戦の余韻も覚めやらぬ対奉天の第2ラウンドは奉天が宇治、大連は張尊が先発マウンドに立った。宇治は初回に2四球を与えるなど前回と同じくコントロールが不安定。対する張尊はまったく磐石な投球。コントロールに加えてスライダーの切れ味が抜群で大きく曲がるカーブを見せ球にスライダーで打ち取るピッチングが有効に働いた。


 先制点はもちろん大連。3回、先頭の星渡がショートへの内野安打で出塁するとすかさず盗塁と送りバントで三塁まで進み、棚橋のセンター前ヒットで悠々ホームに生還した。さらに林のライト前ヒットとパウロへの四球で満塁としたところで近堂が左中間へのタイムリーヒットで棚橋と林がホームに生還。パウロもホームを狙ったがレフト間口の返球に阻まれる。この回は3点を奪った。


 続く4回には先頭打者清水が死球で出塁すると、バントの構えをしたピッチャーの張に対する2球目が暴投となってランナー二塁へ。4球目を張はしっかり送りバントを決めると、トップに戻って星渡がライトに犠牲フライで4点目。今日の張の調子を見ると崩れはしないだろうから大連の快勝か。そんな空気が漂ってきた5回表、張にアクシデントが襲った。


 一死後の漢隆太郎の打席である。初球のストレートを漢は強振し強烈なピッチャー返しが張の右足に直撃した。打球は左に転がったところをショートの棚橋が捕球してアウトにしたものの、軸足を痛めた張はここで降板してしまう。ここまで被安打1の無四球であとアウト1つで勝利投手の権利を得るところだったが致し方ない。奉天の打線は蔡、佐藤と左打者が続くので左キラー平野を登板させたが、緊急ゆえかコントロールが定まらず蔡に四球を与えてしまった。続く佐藤には散々粘られたものの11球目で三振を奪って終了させた。


 6回からは石風呂が登板。6回は3人で終わらせたので、その裏に打席に回ってきてもそのまま打たせたが7回に捕まってしまう。まず先頭の西崎にはストレートのフォアボールでみすみす出塁させると、4番長谷川には高さが甘くなったストレートを痛打、三塁線を破られて二三塁。間口の犠牲フライで1点を返される。漢にはライト前タイムリーを浴びて2点目。続く蔡はゆるいサードゴロだったがパウロが間に合わないセカンドに投げてフィルダースチョイス。


 ここで大連劉監督は石風呂をあきらめて小松原投入。小松原は佐藤に対して四球で満塁のピンチを招いたがピッチャー松本の代打浜口浩司を三振、トップに戻って横山をセカンドゴロに押さえ込みピンチ脱出。


 大連の攻撃は松本と張公吉の前に棚橋の1安打のみに抑えられる。そして9回表、大連のリリーフエース比山に奉天打撃陣が牙をむいた。先頭の間口がストレートを捕らえて三塁線を破る2ベースでいきなりピンチを迎えると、続く漢はレフト前ヒットでノーアウトランナー一三塁となり、蔡のライトフライで1点を返される。佐藤は四球を選んでランナー一二塁。ここで代打市松元気が登場。ヒットで同点、長打が出れば逆転という場面。


 市松は初球から積極的にスイングしてきた。空振り、ボール、ファール、ファールでカウント1-2とした後の5球目、決め球の完全にボール球のフォークを市松にすくい上げられる。レフトライン際、飛距離は十分。しかし惜しくもポールの左側を通過してファールに。あわやホームランという大飛球で観る者をひやひやさせたが、比山は落ち着いて151キロのストレートを外角低めに投げ込んで市松を空振り三振に仕留めてゲームセット。張尊の好投も降板もはるか過去の話と思わせるような辛勝だった。


 先発の張尊は安定したピッチングを見せたが、アクシデントによるまさかの降板で以降の継投策はややいびつな形となった。勝利投手は極めて微妙な状態だが、2年目の平野にプロ初勝利が記録された。28日には緑ヶ原高校の頃から平野とダブルエースを形成していた松浦がプロで初勝利を挙げたばかり。この2人のような若手投手が切磋琢磨していけば投手陣全体のレベルアップにもつながるだけに次々と台頭してきてほしい。


その他の試合結果

11勝13敗2分 チチハル 2-9 ハルビン 13勝11敗2分

10勝15敗1分 平壌 5-4 光州 5勝18敗3分

15勝7敗4分 新京 7-1 開城 11勝12敗3分

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