大連戦力分析 野手編
予想メンバー
8 星渡
7 ノーリー
5 パウロ
9 林
3 柳中平
4 近堂
6 棚橋
2 清水
大幅な変動がありそうな投手に比べると野手の動きは少ない。昨年4位に終わった原因のひとつである二遊間は未だに固定されておらず不安定な部分も大きい。若手選手の奮闘がチーム浮上の鍵となる。星渡に続いて台頭する若手野手は現れるのか。
捕手は今季も清水尚起(31)となりそうだ。よく響く大声でチームを鼓舞する光景はスタジアムの名物となっている。投手陣からの信頼も厚い好人物で、意外性のある打撃も魅力。「清水なんかがレギュラーだから優勝できない」という声をここらで吹き飛ばしたい。
第二捕手だった伊勢田亨(39)は昨年限りで引退したが、その代わりとなりうる選手が今季トレードで獲得した金重男(33)である。打撃力の高い捕手として知られており、バックアップとしては十分すぎるほどの実力を持っている。場合によっては清水を追いやって正捕手となるかも知れない。
中西定治(24)や南翔介(19)といった若手も控えている。打撃力の評価が高い中西や強肩の南がどこまで一軍に迫れるかにも注目したい。このポジションは特殊性が高く、怪我人が出ると一気に厳しくなるので体調管理には気をつけてほしい。
一塁手は柳中平(29)で安泰だろう。190cmを超える長身を軽妙に動かしての守備はまさに鉄壁で、チームに安定感を与えている。「去年までは柳中平といえば守備の人、みたいに言われてたけど、今季は打撃の中平にイメージチェンジしたい」と本人も言うように、春季キャンプではバッティング練習に精を出す姿が印象的だった。今季は3割2桁本塁打とゴールデングラブ賞を目標に定めている。
昨年は代打の切り札として大いに名を売った古池吉郎(24)も面白い。そのパワーは首脳陣からも認められているだけに、技術を磨いて持ち前のパンチ力のあるバッティングを安定して発揮できるなら柳を脅かす存在となるだろう。
二塁手は昨年森茂常弘(31)や大上徳博(23)が健闘したが力不足は否めなかった。やはりここ数年低迷しているものの潜在能力の高さに疑いのない近堂貴久(28)の復活に期待したい。4年前に.302 21本64打点を記録した打棒を取り戻す事こそが大連最大の補強となる。守備のうまい森茂、スピードに定評のある大上とうまく使い分ければなかなか強力な布陣となるが。
三塁手は地球の裏側、ブラジルから来た褐色の大砲パウロ・ミネイロ(24)が定着している。20歳で入団して以来、高い身体能力で驚異的な活躍を見せている。ただ送球が大暴投となるなど技術的に荒っぽいのは事実で外野コンバート案も取りざたされている。もしパウロが外野となった場合の三塁手はユーティリティプレイヤーのクラウド・ノーリー(35)が想定されている。昨年は主に遊撃手を守っていたので三塁手も難なくこなせるだろう。
太刀川勇太(20)、佐々沢辰巳(20)といった若手が二軍で力を付けつつ一軍昇格を狙うがレギュラーとなるとまだ先の話。内野手の層ははっきり言って薄いので、内外野そつなく守れるノーリーが離脱となった場合かなり危険な状態になってしまう。体調管理術に関しては選手間でも尊敬されるほどプロ意識が高いノーリーだが、もう30代中盤と肉体的に衰えが始まっても不思議ではない年齢となっている。そろそろポストノーリーを考えるべき時期に入っていると言えるだろう。
遊撃手は決定打に欠ける。横浜から移籍した20年目のベテラン立石篤志(37)は春季キャンプでベテランらしい妙味を見せているものの年齢が年齢だけに多大な期待は禁物。内野手のリザーブとして期待するのが無難であろう。
遊撃手候補の中で劉監督が一番期待しているのは昨年二軍の首位打者となった棚橋和隆(23)だ。三拍子揃った大型遊撃手として期待されながらここまで一軍では結果が出ていない棚橋だが、その潜在能力は二軍成績からも証明されている。一軍の水に慣れることが出来れば面白い。
また昨年前半に台頭したものの怪我で後半戦を棒に振った俊足豪打の本郷建筑(25)も5月の復帰を予定している。棚橋か本郷か、チームの将来を占う上でも今季の遊撃手争いは極めて重要になりそうだ。場合によってはノーリーを起用という線も考えられる。
外野手は左からノーリー、星渡晃兵(23)、林葉輔(38)となる。21年目のベテラン林は首位打者1回、本塁打王と打点王は2回という実績を持つ大打者。すでに2000本安打は達成しているがまだまだ通過点。年齢のせいかパワーは多少衰えたものの打撃技術はむしろ深まっており、昨年はカンファレンス3位の.326を記録した。
今季の目標については「前の首位打者は若さと勢いだけだったけど、今は代わりに経験や技術がある。(二度目の首位打者を)狙いたいね」と気負いなく語る林には達人の風格さえ漂う。今季も不動のクリーンナップとして活躍するだろう。
中堅手の星渡は女性人気チームナンバーワンの若き実力派。美形。昨年から潘一鶴打撃コーチ(56)と取り組んだ打撃改造が実って長打力が向上した事で「トリプルスリーに一番近い男」とも呼ばれるようになった。「トリプルスリー?意識していません。大事なのは去年の成績(.294 23本38盗塁)を超えること」と謙虚に語るも、将来の話になると「本塁打王と盗塁王を同時に取れる選手が理想。その目標に近づいていくうちにおのずと(トリプルスリーは)付いてくるでしょう」と色気を見せた。
磐石の3選手だが、彼らとて安泰とは言い切れないほど控えの層も厚い。打撃に定評のある河剛紀(23)や折口元文(30)、俊足強肩の水内賢(24)、守備範囲の広い高遼二(26)など多彩な選手が揃っており、今のレギュラーに取って代わろうとする野心に満ち溢れている。
打順に関して、まず確実といえるのは二番ノーリー、四番林、そして八番清水である。オープン戦を見てもこの3人はほぼ固定されている。一方、その他の打順はかなり流動的で、開幕してからも実験は続くかも知れない状況である。
レギュラーの中では一番俊足の星渡は一番で起用される可能性が高いが、伸びてきた長打力を生かすために三番という線もある。ただ、そうなると一番打者の候補がいなくなるのでやはり星渡が一番か。
昨年主に三番を任されたパウロは身体能力の高さが魅力だが、同時に荒っぽさも持ち合わせているので打順を下げて自由に打たせる案もあるという。また三番候補として劉監督が真っ先に名を挙げている棚橋はオープン戦で及第点の活躍を見せているが、シーズン通してとなると未知数な部分も多く多大な期待は禁物。あるいは現在オープン戦で打撃好調の近堂を三番という手も考えられるか。
昨年は五番が多かった柳だが、オープン戦では二番で使われたり七番に置かれたりと読みにくい。巧みな打撃技術を持ち、何番に入っても対応できる強みを持っているのでシーズンでも様々な打順に座る事になるのではないか。とにかく、チームとしては三番打者を固定させたい。そうすればおのずと他の打順も決まってくるはずだ。




