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大日本リーグ-大連戦記-  作者: 沼田政信
シーズン中情報
22/188

ドラフト結果一覧

各球団1位指名


東京

萱野 将之 大投右右 今季注目度ナンバー1の剛速球右腕

大阪

金 竜善 大外左左 朝鮮半島屈指のスラッガーと名高い外野手で強肩も魅力

名古屋

周 高亮 大投右左 台湾の無名大学出身だが長身でセンス抜群の隠し球

広島

野々村 浩輔 大投右右 コントロール抜群の右腕で大舞台の経験も豊富

横浜

三上 鵬介 大投右右 ゴツゴツした肉体から150キロ台の速球を放る右腕

京都

高畑 修介 高内右左 高卒屈指の長打力を秘めており内野守備も巧み



平壌

白坂 一郎 大投右左 全身をダイナミックに躍動させる独特な投球フォーム

開城

磯貝 美之里 高投右右 最速144キロの右腕だが野手としてのセンスも抜群

光州

磐田 聡文 大投右左 サイドに近いスリークォーターからmax147キロのクセ球

大連

竹松 龍徳 高投左左 昨年突如台頭してきた「熱河の昇龍」は未だに成長中

奉天

孫 定富 社投右右 右サイドスローからキレのいい球を投げ込む実戦派

新京

黄 嘉仁 社内右右 社会人3年目で対応力も身につけた強打のサード

ハルビン

章 慶源 高捕右右 高校通算52本塁打を放った満洲を代表する強打の捕手

チチハル

本野 貴明 大内右左 軽快な守備とシュアな打撃が魅力の大学ナンバー1ショート



福岡

井上 元気 高投左左 中央球界では無名も九州屈指の大型左腕と名高い

埼玉

顔井 笙平 大投右右 多彩な変化球を操る関西大学野球ナンバー1右腕

千葉

藤尾 貴彦 大投左左 大学ナンバー1左腕と言われる本格派

札幌

李 博人 社投左左 アメリカでのプレー実績もある隠し球左腕

神戸

海野 泰介 高外右左 シュアなバッティングに定評あるセンス抜群の外野手

仙台

高橋 元史 社投左左 最速153キロを誇る社会人屈指の本格派左腕

台北

音原 豊 高内右左 フィリピン人とのハーフでしなやかな打撃を見せる内野手

台南

趙 元悦 大投左左 地元台南出身の速球派左腕でスライダーも即戦力級



釜山

茶田 六麿 大外右右 鍛え上げた肉体から長打連発のスラッガー

京城

森崎 倫一 大内右左 広角に打ち分けるバッティングセンスは高評価

元山

佐藤 光人 社内右両 27歳にして指名された社会人屈指の守備名人

大田

後関 徳丸 大投右右 粗っぽいが力強いストレートが魅力のストッパー候補

安東

曹 大豊 高内右左 その名の通り高校通算45本塁打のパワーヒッター

吉林

林 由松 大投右右 大学に入ってから台頭した最速154キロ右腕



 27日に開催された第一次ドラフト会議はこのような結果になった。今年の目玉とされていた萱野、藤尾、野々村の大学生投手はそれぞれ東京、千葉、広島に交渉権が確定した。その他の指名選手も前々から指名を明言していた有名選手あり、まったく予想外のサプライズ指名ありでよりどりみどりだった。特に高校生はこれから始まる甲子園予選において、かなりマークされる存在となる。


 さて、大連は昨年の全満洲高校野球大会で衝撃的なピッチングを見せた「熱河の昇龍」こと黒水高校の竹松龍徳投手を指名した。ドラフト巧者と言われる大連らしい見事な指名だ。日本列島ではほとんど知られておらず「無名選手をサプライズ指名」と書いた新聞もあったが、多少たりとも大陸のアマチュア野球事情に詳しい者であれば誰もが納得する指名である。


 竹松は小学生の頃はサッカークラブに、中学生に入ってからは陸上部に所属しており、本格的に野球を始めたのは高校生に入ってからという珍しい経歴を持っている。しかしセンスを見込んだ黒水高校の姜錦栄監督による猛練習によって急速に成長し、今では満洲屈指の逸材と呼ばれるまでになった。竹松の特徴は何と言っても左腕から繰り出される力強いストレートである。189cm83kgの堂々たる体躯から投げ下ろされる豪球は最速149キロをマーク。角度もあり極めて打ちにくい。一方変化球はほとんど投げないが、それでも抑えている事こそ圧倒的なストレートと野球の素質を示すものである。


 感覚としては左右の違いはあれど2年前の松浦と似ている。一般的には無名でもその地域では名が知れていた逸材を大連が一本釣り。その松浦は今季2年目にして台頭。先発ローテーションの一角として早くも5勝を上げており、チームの躍進に欠かせない戦力となっている。


 二人に共通するのは知識や技術を吸収するスピードの速さだ。昨年の大会での竹松は、当初は光るものはあれどあまりにも荒削りだったのでそこまで注目を浴びる存在ではなかった。しかし日程が進むにつれて一足飛びに投手として洗練されていった。特に改善されたのはコントロールで、初戦では10四死球だったものが最後の準決勝ではわずか1四球。準々決勝では9回二死までヒットを許さずという快投を見せるなど、優勝した奉天学院をしのぐほどのインパクトを残した。本人は「大会で色々な投手を見て自分が至らないことを知ったので少しでも良くなるように試行錯誤した」と言う。成長に対して貪欲なので、松浦が早々と一軍で出てきたように竹松も早期の活躍が期待できそうだ。


 違いとしてはストレートの質である。柔の松浦、剛の竹松と言ったところか。松浦ほどのしなやかさは確かにない。しかし竹松はまさに豪速球、重い球とはこのような球の事だと確信させるようなゴツゴツした質感のストレートを放る。将来訪れるであろう大連黄金時代に君臨する松浦、赤坂、竹松というアジア最強の先発三本柱、などと夢想するのは私だけではないはずだ。それほどに魅力の尽きない左腕だ。




10月27日追記 第二次ドラフト会議結果


1位 竹松龍徳 黒水高 18投左左

2位 周海健 吉林産業大 22捕右右

3位 星野風太郎 ノーザンウインド 20投左左

4位 升田憲次郎 水谷学園 18内右右

5位 金海泰州 PDL電器 25投右右

6位 車峰秀 水原第一高 18捕右右

7位 馬智徹 瑞芳大 22外右左

8位 黒滝通 緑ヶ原高 18投右左


 本日10月27日に開催された第二次ドラフト会議の結果、大連のドラフト指名選手は上記の8名となった。このうち1位指名の竹松投手は6月の第一次ドラフト会議で指名されたので、今日大連は指名したのは2位から8位の7名ということになる。これから今日大連が指名した選手について簡単に説明をしたい。




 2位の周海健は、安定感抜群のリードと遠投120mという強肩が魅力の捕手。打撃もシュアで、鋭いライナー性の打球を広角に飛ばす。当初から狙っていたといわれる選手だけに、第二次ドラフト会議では真っ先に指名した。


 3位の星野風太郎は、札幌市にあるクラブチームであるノーザンウインドに所属する左腕。高校時代はサイドスローだったがクラブに入団後現在のスリークォーターにフォームを変更した事で球威が増した。現在はmax146キロのストレートとスライダー、スクリューなどの変化球で三振を奪える投手となった。


 4位の升田憲次郎は、これまた事前に指名されると報じられていた大型内野手。長打力に加えて、ショートも守れる守備力も魅力的。兵庫県の強豪水谷学園のキャプテンを務めるなどリーダーシップも抜群。将来的にはサードか。


 5位の金海泰州は、関西社会人野球の雄であるPDL電器でリリーフエースとして活躍している右腕。武器はmax153キロを計測するストレートで、それを内角にもガンガン投げてくる闘争心あふれる強気なピッチングが特徴。


 6位の車峰秀は、高校通算44本塁打という打撃と遠投110mの強肩に定評がある大型捕手。高い打撃力を生かすために野手コンバートというアイデアもあるが、まずは捕手として勝負する。勝気な性格はプロ向きと言えそうだ。


 7位の馬智徹は、台湾出身で身体能力の高い外野手。特に50mを5秒9で走る俊足が魅力的。一見細身だが手首のバネが強いのでホームランも狙える。技術はまだまだなのでじっくりと鍛えたい。ものになればとてつもない存在となりうる。


 8位の黒滝通は、松浦や平野の後輩で、全国的には無名ながら中国地方屈指の素材と注目されていた隠し球的存在。投手としてはmax142キロのストレートで強気に向かっていくピッチングが持ち味。身体能力が高く野手としても面白い。優勝に貢献した先輩たちに追いつけるか。




 即戦力のバッテリーとして星野、金海の両投手と周捕手を指名できたのは大きい。升田も基礎能力が高く、体作りが完成すればすぐに出てくるだろう。一方下位指名の車、馬、黒滝といった選手は即戦力というより素材を買われた指名で、数年後を見据えた補強と言える。


 投手4名、捕手2名、内野手1名、外野手1名となかなかバランスの取れた指名。鹿取奉善ゼネラルマネージャーは「まず獲りたかったのは周君だったので、無事に指名できてほっとしている。即戦力になる選手も5年後10年後を支える選手も指名できた。点数で言うと90点以上は付けられる。ほぼ100点に近い」と総括した。

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