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大日本リーグ-大連戦記-  作者: 沼田政信
シーズン前情報
2/188

大連戦力分析 投手編

[先発]

吉野

張尊

瑞穂

フローデセン

赤坂

松浦


[リリーフ]

黄直哉

野藤

趙雅憲

石風呂

小松原

比山


 大胆なトレードを敢行したことは投手陣に刺激を与えたようで、ブルペンは例年以上に活性化している。そのトレードで加入した瑞穂智幸(26)は紅白戦、オープン戦で安定感抜群の投球を披露しており、首脳陣の評価を日増しに高めている。「コントロールはいいし、決め球のスライダーも強力。最低でも8勝はできる実力を持っているし2桁勝利も十分可能」と天沼智久投手コーチ(43)もその実力に太鼓判を押している。


 また、新外国人のウィル・フローデセン(28)は2mを超える長身から投げ下ろされるストレートと切れ味抜群のチェンジアップで評価が高く、エース吉野大吾(29)、コントロール抜群のベテラン張尊(36)に次ぐ先発入りは確実視されている。


 残り2枠はサバイバルとなっている。新人の赤坂忠徳(22)、2年目の松浦心(19)といった若手に加えて趙雅憲(32)、原克馬(33)ら経験豊富なベテランも虎視眈々と機会をうかがう。大学ナンバーワン投手と言われ、ドラフトで競合の末に引き当てた赤坂は長身から繰り出されるストレートとフォークが武器。キャンプのシートノックでは星渡、清水という主力打者相手に50球を投げ込みヒット性の当たりが1本と、実力の片鱗を見せた。


 松浦は伸びやかなフォームから放たれるストレートの伸びが魅力的な好素材。昨年1年間二軍で走りこみ中心のハードなメニューをこなした成果が出て、下半身が見違えるほどたくましくなった。赤坂や松浦のような若手投手の成長なくしてチームの浮上はおぼつかないだけに期待がかかる。また、ロースター漏れの外国人投手を獲得に動くという話もある。


 リリーフは昨年までのストッパー西坂有司(30)がトレードで退団した穴をいかに埋めるかが大きな課題である。劉瑞生監督(48)はストッパー候補として比山仁(25)と小松原泰誠(27)の名前を挙げ、この2人を調子によって使い分ける構想を立てている。


 確かに両者には西坂に勝るとも劣らない球威を備えている。しかし、比山は精神面のもろさ、小松原は怪我の多さという弱点を指摘されており構想通りに事が運ぶかは未知数である。あるいはストレートに定評のある松浦をリリーフに起用という案も考えられるだろう。


 中継ぎには趙雅憲、黄直哉(33)、野藤秀親(30)、石風呂幹伸(26)などタフで試合を作る能力に長けた投手が揃っているものの、ここ一番の場面で痛打されるケースが目立った。特に小金井、星野といった左打者との相性が悪かった。


 そこで期待されているのは育成枠出身でこのキャンプから支配下登録されたサウスポー平野錦(19)だ。公称170cmの小柄な体をさらに小さく折りたたむサイドスローから繰り出されるクセ球は左打者にとっては極めて打ちにくい。まずは左キラーとして活路を見出したい。また、昨年は怪我に泣いた伊東聡司(34)、北甲大(31)といった選手も復帰してくればブルペンは充実してくるだろう。


 それ以外に期待できる選手としては、昨年46試合登板の斎場次巳(24)、初先発初勝利を記録した王貞成(20)、希少なアンダースロー投手永市邦彦(27)といった名前が挙げられるか。こういった選手が一皮剥けると投手のやりくりは一気に楽になってくる。


 昨年甲子園を沸かせた汐風有希(18)は将来の大連投手陣を担うであろう才能。育成枠のマシュー・リンド(24)は昨年終盤二軍で連続完封を記録するなどパワーのあるところを見せた。即一軍で通用するストレートを持っているだけに安定した制球力が身に付けばシーズン途中での支配下登録も期待できる。

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